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6週間だけ透明になりたい

冬はASDにとって非常に過ごしやすい時期だったりする。寒いので外出も控える事が多いし、結婚式やキャンプなどのイベントごとも少ない。カナダの冬は寒い。酷い時は-30度くらいになったりする。下手に外に出れば凍傷になりかねないそんな時期に困ったことが一つある。それは寒さとは関係ない。クリスマスというイベントだ。勘違いしないで欲しいのは個人的にクリスマスは好きなのだ。毎年7日から10日くらいの連休があるし、七面鳥も食べれる。しかし、みんな大好き『パーティー』の時期でもある。このワードを聞いただけで不機嫌になりそうなのは俺だけじゃないはず。

カナダでは10月に入り勤労感謝の日(Thanksgiving)が終わると、お店にはハロウィーンとクリスマスのグッズが現れ始める。なんとも2か月もの間クリスマス商品は店頭に並び続けるのだ。街は色鮮やかになり活気も出るので傍観する側の俺の気分はハッピーである。

ハッピーなはずなのに、一つだけ心に引っかかるものがある。

このシーズンは仕事場にも変化を及ぼす。掲示板のような場所には大きく書かれた『クリスマスパーティー』の文字。クリスマスで止めておけばいいのに、パーティーまで付け足す人たち。パーティーの文化が頭に刷り込まれている人たちには何を言っても無駄なのだ。

そんな俺も今の職場の最初の年とその次の年はクリスマスパーティーに参加したが、その後はなんやかんやと理由を付けて拒否し続けている。

日本ではどうかは知らないが西洋の良い会社のクリスマスパーティーは、レストランかイベント場を貸切ったりする。自社のロゴの入った便利グッズやらが景品で貰えるゲームに、おいしい食事を頂いたり、同僚とお酒を飲みながら楽しい会話をしたりする。しかも困ったことに、パートナーと共働きであればパートナーの職場のクリスマスパーティーにも参加できてしまう。

HSPの嫁は子供を溺愛しているので、仕事を辞めて子供の面倒を見る選択をした。結果的に俺が心配しなければいけないのは、俺の働く会社だけとなる。しかしクリスマスパーティーまで2か月もある。正確にはクリスマス前にやることが多いので6週間といったところだろうか。この地獄の環境を6週間も生き延びなくてはならない。

なんで地獄?と思われる方もいるかも知れない。それには1人の男が関わってくる。ここでは敢えてMr.C(ミスターC)と呼ぶ。

ミスターCは良い人だ。背が高く(190cm以上)すらっとした体系で、髭を生やし、プードルのようなクルクルの髪質、そして非常に頭の良さげな話し方をする。そして多分女性好き。既婚であるが女性と話すのが好きらしく、チャンスがあれば女性の会話の輪に入り込み楽しそうに会話をしている。コミュ障の俺から見ると頑張ってるなぁと思う。笑 まぁそれは個人の自由で勝手にしてくれればいいのだが、その彼が問題なのだ。

ミスターCはそのクリスマスパーティーを企画する側。企画といっても毎年同じようなイベントなので、集客するのに力を入れているだけなのだが。そんな彼は子供もいてクリスマスパーティーに積極的に参加『しない』俺をカモだと思っているのか何度も誘ってくる。

俺個人に1対1で話してくるならまだしも、周りに同僚が居る場所で大きな声で誘ってくる。周りも一緒になって俺を誘ってくる。一度なら困難でもなんとなくやり過ごせる。しかしこれがこれからの6週間の内、何度も起こるのだ。

そんな彼はおしゃべり上手なのでグループになって話すときなんかは、ベラベラとずっと話しているので俺としては有難い存在なのだ。ただ、この地獄の6週間のように距離が近い時があるのだ。マジで、もうちょっと向こうに行ってくれ。


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