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頭も体もフル活用して挑んだオフサイト研修@佐賀県唐津市。グリーンビジネスプロデューサーへ手応えを掴みつつあるGBP生が地域で事業プレゼン

GREEN BUSINESS PRODUCERS 1期生は香川県三豊市のオフサイト研修から早くも約1ヶ月が経ち、1月には2回目かつ最後のオフサイト研修に出発。選択式で半数ずつに分かれた1期生は「課題&可能性の探求×連環=ソリューション」をテーマに、佐賀県唐津市を訪れました。

耕作放棄地だったエディブルガーデンにて草抜きなどのアクティビティ後の一枚

前回のオフサイト研修よりもパワーアップしたGBP生。一人一人が「私」を主語に、最終日にプロジェクトのプレゼンに挑むことになったのですが、この2泊3日で何が起こっていたのか、みていきましょう。

初日、まず一行が向かったのが唐津市湊風力発電所(以下、湊風力発電所)と玄海原子力発電所。

かつては耕作放棄地だった場所に佇む風力発電所。直径78mの風車が回る独特な音が響く中、風力発電計画当初から現在に至るまでの隠れたストーリーに耳を傾けました。

「音は正直大きい。だけどもう愛着感が湧くくらい」と今では地域住民の方も風力発電を地域の一部として認めるまでになっていますが、建設計画当初は地域住民からの反対ももちろんありました。
2014年施行、農山漁村RE法(=「農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律」)を活用し、「唐津市再生可能エネルギー促進による農山漁村活性化協議会」にて、売電収益の1%を地域農業の保全および地域の将来を見据えた農業活動の支援に還元することを取り決めました。
地域の合意形成を見事に獲得して、現在、自然電力が関わった1基のほか、近隣には複数の風力発電が稼働しています。

玄海原子力発電所では、併設する玄海エネルギーパークにて原子力発電の仕組みや、これまでの原子力発電の事故とその対応、現状などを見学。
館内からは、湊風力発電所(玄海原子力発電所より30km先に立地)と原子炉が見渡せ、まるで唐津市の次世代エネルギー転換の狭間にいるようでした。

研修一発目となるプレゼンテーマは、ドローンを活用したまちづくり。日本一の空の道を、唐津市の隣、「多久市」でつくる活動を続ける笹川俊一さん。

13年前からまちづくり協議会で町おこしのイベント、パンまつりやまるごとデッキなどを開催してきたものの、まるで打ち上げ花火のようにイベント限りで終わっていました。
町の日常の変化が感じられないと試行錯誤を繰り返す中、世界中の空でドローン飛行を可能にする株式会社トルビズオンの代表取締役 増田氏と出会います。

会ったその日に多久市でも空の道を整備することで、日常に変化をもたらす可能性を感じ、すぐさまドローンを活用したキャンプ場客向け食品配送「手ぶらでドローン・すっぽん鍋」の実証実験を実施。
実験が成功すると、2年間で10本の道を作ると宣言。医療、デリバリー、防災の道と開拓、1年4ヶ月という前倒しで達成しました。

その後も、ドローンの道をきっかけにSCOL RICEとしてお米の販売を手がけるようになったり、多久市の空の道をつくるきっかけになったトルビズオンのスクールを建てたりと、これからもドローンを通して広がる事業展開に目が離せません。

初日の懇親会に現れた唐津市 市民環境部環境課環境計画係長の小田信也さんからは、唐津市内全域に、風力・太陽光・バイオマス・水力など多岐にわたる種類の再生可能エネルギー導入が進む背景から唐津スマートレジリエンス拠点構築事業の紹介をしていただきました。

会場では、陶芸家 村山 健太郎さん、イノシシ油のバーム「boarboar」を製造する株式会社鶴商興産 坂本 ⻯一さん、唐津市議会議員 原 雄一郎さん、無農薬・減農薬の水耕栽培を行う株式会社グッドリーフ 楢﨑 大生さんなど、市内の多様なプレイヤーと直接話す機会がありました。

1日目の唐津市内のエネルギー関連を中心としたインプットを経て、2日目。早朝と午後にフィジカルアクティビティを予定しており、プレゼンを聞いて頭で理解するばかりでなく、体を使って唐津市に関わる感覚を味わいます。

日本三大松原に指定される虹の松原。
NPO法人 唐津環境防災推進機構 KANNEを筆頭に
地域ボランティアが活動に参加して景観保全活動が日々行われています。

早朝の移動車内で、KANNE 事務局⻑ 藤田和歌子さんより、虹の松原についてレクチャーを受け、眠気覚ましに落ちた松ぼっくりと枝葉拾いをしました。

学生団体KARATSUのみなさんをはじめ総勢40名ほどで作業を行うと、松の木の下から砂浜の白い地面が一気に顔を覗かせてくれました。

芯から冷えていた体もいつの間にか温まり、NPO法人Switchが運営するお試し移住のためのシェアハウス「根の家」へ向かいます。

青空教室ならぬ、青空プレゼン

GBP一期生でもある、NPO法人唐津Switch 移住コンシェルジュ 三笠 旬太さんと埼玉から移住して唐津市に飛び込んだ、空き家コーディネーター 関 綾乃さんより、市内移住のお話を伺いました。

NPO法人唐津Switch 移住コンシェルジュ 三笠 旬太さん
空き家コーディネーター 関 綾乃さん

次に国産オーガニック化粧品メーカー 株式会社クレコスの工場 「FACTO」(唐津コスメティックファクトリー)の見学です。
FACTOは唐津市が掲げる唐津コスメティック構想の一環事業として実現。全国各地域の素材を化粧品の原料として、研究・開発・製造・出荷まで通して行える社会派化粧品のハブです。

地域の子どもたちと一緒にDIYした館内を巡り、代表取締役社長 暮部 達夫さんより、社会派化粧品を生み出してきたクレコスの歩みをお聞きしました。

その後、地元で親しまれるイタリア料理屋odecafeでのランチを挟み、呼子町よりほど近い良縁寺・LihiTerra(リヒテラ)へ。
GBP1期生でもある靈山侑菜さんより、ご自身が嫁いだ良縁寺で余った御供物の廃棄を切り口に、唐津市の見えない貧困児童を日本社会で取り残さないようにする活動、任意団体LihiTerraの足跡を話してくださいました。

LihiTerra代表 靈山侑菜さん

靈山さんの思いを汲み取った一行は、LihiTerraが開拓するエディブルガーデンにてフィジカルアクティビティを2時間ほど体験。

桑や鋤を手にして土を耕したり、巨大な丸太を移動させたり、草抜きをしたりと、自然とリンクしながら実直に作業を進めます。

これまでもこれからも、外から来た人たちも参画して、エディブルガーデンが形になっていく過程を応援したい・見守っていきたい、そして、時にはまたここに戻ってきたい気持ちになりました。

2日目の懇親会も、1日目に引き続き市内で活躍するプレイヤーが集合。自然電力 エルボーグ・マーティンさん、大場農園 大場 博紀さん、有機農業農園 そらみどふぁーむ 加茂 宇宙さん、古民家カフェ&一棟借し宿 CALALI 店主 徳永 明寛さん、NPO法人唐津Switch 関綾乃さんなどが参加されました。

深夜1時ごろ@CALALI

終了後には、明日に控える最終日のプロジェクトシート発表に向けて、各々プロジェクトシートの推敲や相談、話し合いが深夜まで続きました。

3日目、唐津銀行頭取 大島小太郎の旧邸宅、旧大島邸でのヨガからスタート。よくイメージされるリラックスヨガではなくて、運動ヨガで体から心も健康になってほしいという島村アオイ先生のもと、「自立神経を整える」ヨガをみっちり1時間しました。

ヨガインストラクターのGBP生 吉田さゆりさん。ポージングが美しいです。

明日の筋肉痛を覚悟することになってしまったGPB生ですが、自分達のプレゼンを目前に控える中、2名の情熱と信念に溢れるお話を聞きます。

株式会社バーズプランニング代表 松尾 聡子さん

株式会社バーズ・プランニング代表 松尾 聡子さんは、唐津市出身の”地域デザイナー”で、加唐島の椿油を使った化粧品をプロデュース。
人口90人と高齢化が進み、後継者不足で椿生産が廃れる可能性もあった加唐島でしたが、化粧品を通じて人が、島が、息吹を取り戻していきました。

椿油のみを使用したシンプルな化粧品ブランド TBK (出典:HPより)

その過程で、何度も加唐島へ通い、聡子さんが自ら地域内で動き、行動し続け、地域の人たちが協力して同じ方向を向いて進んでいける状態に。
そこから一気に駆け上がるように、地域素材を使った美容商材のコスメアワード「ジャパンメイド・ビューティー・アワード優秀賞」など数々の賞を受賞。また「食べるコスメ」として食用椿油の商品も展開します。

さらに今回の研修の直前には、Karatsu WILL Project 企画アイディアコンテスト最終審査会で、地元の高校生と椿油の搾りかすと虹ノ松原枯枝チップを使ったコンポスト作りを提案し、最優秀賞を受賞するなどタイムリーな話題も。
参考:「唐津商高が最優秀賞 市の事業創出アイデアコン 捨てられる物に付加価値を ツバキ油かす利用し生ごみ堆肥化 /佐賀」毎日新聞(2023年1月24日)

糸島エコビレッジを作るNPO法人いとなみ 代表理事 藤井芳広さん

糸島エコビレッジを作るNPO法人いとなみ 代表理事 藤井芳広さん。
森と川、河口が一つの町で完結するというユニークな特徴をもつ糸島にて、食べられる森「糸島 food forest」や、みんなの共有財産として森を共同購入して管理する「糸島コモンフォレスト」といった森を中心にした社会づくりをしています。森から河口に至る雨と土壌のメカニズムや皮むき間伐によるメンテナンスから森の再生の大切さをお話してくださいました。

プレゼン発表前に最後の壁打ちタイム、地域の人と一緒に考えます

今回の発表では、投票でどのプレゼンが秀逸であったかを評価し合い、優秀者にはそれぞれ

・地域の課題や可能性の視座が秀逸な人に送る「ベストディスカバリー賞」 ・発見した課題や可能性をユニークな切り口でビジネス化した人に送る「ベストアイデア賞」
・課題や可能性の発見とそのビジネスアイデアがバランス良く考えられたプロジェクトシートを作成した人に送る「ビジネスバランス賞」

が贈られます。

ベストディスカバリー賞には、湊風力発電所の風車音をきっかけに環境音を使った楽曲提供や音楽FESをするプレゼンをした横川ルナさん。

ベストアイデア賞には、自分の研究分野である水産を武器に、未利用魚や廃棄物を使った化粧品の開発を発表した倉橋康平さんと、点在する観光スポットを電動自転車を使って回れるようにし、再エネによる充電スポットの設置をするソリューションを展開した小林亮太さんの2名が選出されました。
(小林亮太さんは、ビジネスバランス賞とのダブル受賞でした!)

こうして二泊三日のオフサイト研修が終わりを迎えましたが、3月の最終発表に向けてここからが本番。
三豊・東松島・唐津のオフサイト研修地を舞台にチームが結成され、チームごとのプロジェクトを3月に最終発表することになります。

これまで出てきたプロジェクトシートをさらにブラッシュアップし脱平凡化しながら、グリーンイノベーションを巻き起こす発表へ向けてGBP生は駆け上がっていきます!

次回のnoteは最終回となる最終発表。一体どんなプロジェクトが生まれるのか、お楽しみに。

▼ 活動レポートは第一期マガジンからご覧ください!


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