見出し画像

ロック・トレインに乗って。


Now & Here  #27

2022年6月12日(日)
佐野元春& The COYOTE BAND
Where are You Now Tour 2022
at 神奈川県民ホール

前夜まで降っていた雨も上がり、
今朝はお天道様も顔を出しいいお天気。
週に1度の早朝ジョグも距離を
1キロ減らして今夜のライヴに備えた。

お昼頃から空の様子が思わしくなく
雨雲が一気に広がり始めてきた。
そうしているのもつかの間、
暗い空を眺めていると土砂降りの雨。
通り雨のようですぐに雨は上がり、
再び陽が照り始めました。

空の様子を見ながら家を出て、
いつもの赤い電車に乗って横浜駅まで…。
今回はこの駅から港に沿った臨港パークを
のんびり歩きながら神奈川県民ホールへと
向かおうと決めていた。

東口から運河を渡り貨物線を
歩道橋でまたいでから臨海パークに
沿って山下公園へと向かうコース。
先ほどの土砂降りの雨も上がり
公園にはたくさんの人々が思い思いの
午後を過ごしていた。
気持ちのいい潮風と暖かな日差しを
受けた人々の隙間を縫ってぶらぶらと
歩きながら思っていたより時間を
かけて山下公園に到着。

神奈川県民ホール前にはすでに
今夜のオーディエンスが扉が開くのを
待って長い列を作っていました。

午後4時半過ぎ、まだ外は明るく港の
賑わいを感じながら 徐々に列は前に進む。
一連の感染防止手順を済ませて入場。
いつも通りに早速、席を確認。
今回は何と前から4列目!藤田顕さん側!

しばらく腰掛けて今回のツアーのために
選ばれたBGMに浸りながら
これからショウが始まるステージを
ぼんやりと眺めていました。
今回の開演前のBGMは、
最近のヒット曲に疎いぼくには
全く聴きなれない曲ばかりでしたが、
とてもナチュラルでアコースティックな
響きが心地よかった。

開演時間が近づくとスタッフの方々が
慌ただしくステージ上を出入りする。
会場に聴きなれたThe Bandの
「The Weight」 が流れてきた。
開演を待ちわびたオーディエンスの
心に灯がともり、その楽曲にみんなの
手拍子が徐々に重なる。
続くオールディーズサウンド、
流麗な弦の響きと女性ボーカル。
このツアータイトルにちなんだ楽曲
「Where are You Now, My Love 」
(Jackie Trent)
バンドのメンバーが各々の場所に立つ。
佐野元春がセンターに立つ。
カウントがコールされサウンドがあふれ出す。

「彼女はデリケート〜ハッピーマン
〜Bye Bye C-Boy〜I'm in Blue
〜Vanity Factory」

かつて十代だったぼくの青臭い心を
ヒットした楽曲たちが軒を連ねて、
ずいぶん遠くまで来た今のぼくの心を
激しくノックした。

「HEART BEAT」スローなグルーヴ、
ストーリーを紡ぐヴォーカル、
キャンディアップルレッドの
ストラトキャスターを脇にずらして
ブルースハープを奏でる。
たたずまいとハープの響きと
繊細なサウンドにグッと来た。

それらは、佐野元春サウンドを
知り尽くした最新のコヨーテバンドの
音さばきとコーラスが、アレンジは
そのままでいながら格別なグルーヴを
今この時に響かせていた。

最新アルバム
「ENTERTAINMENNT!」からの2曲は
ライヴで聴いてみたかった楽曲。
とてもライヴに映えるコヨーテなら
ではのバンドサウンド!

続くコヨーテバンドがこれまでに
築き上げた楽曲たちは、ぼくらが今日
ここに集えた事を祝福し、今この世界で
起こっている状況への意識を
明確に掲げながら、立て続けに
そして畳みこむように火花を散らして
ぼくらを抱きしめていた。

「禅ビート」今も続いている
戦争への意志表明
「愛が分母」でのマイクアクションに
滲み出る矛盾への苛立ち。

そして、今までリリースされた
楽曲の中でも陰に埋もれがちだった楽曲
「食事とベッド」が演奏された。
スライドギターや多彩なリズムで
伸びやかさと、じれったさを同居させた
とてもユニークでソリッドなサウンド!!

すぐ近くでは、笑顔と幸せな
気持ちにあふれた女神たちの無邪気で
元気いっぱいのダンス!
艶やかで優雅なダンス!

アンコールでは、
遠くの空、豪雨の前に轟く雷鳴、
ここにいる事を祝う花火、
砲撃を喰らったかのような
ドラムスのフィルイン。 
時の重さを背負ったイントロが地を這う。
どれだけ歩き続ければいいのか
わからない道のりを、
そこで生き延びてきた魂を、
叶わぬ願いを、
そしてここにいるぼくらの生を、
「SOMEDAY」の旋律と
アンサンブルとコーラスが
軽やかに、そして暖かく照らしていました。

ライヴ演奏の合間に桑田佳祐さんと
「時代遅れのRock&Roll Band」の
ことに触れた。

「彼とはデビューも近く、
メインストリームを行く桑田佳祐、
オルタナティブを行く佐野元春との
違いはあれど80年代から続く
同じ汽車に乗って同じ景色を
見てきた仲間だとずっと思っていた。」

すべての音楽ファンはこの素晴らしい楽曲と
5人のコラボレーションを
企画して行動して立ち上がった
桑田佳祐さんに感謝して賛同して
拍手を送っている。

80年代、90年代、2000年を駆け抜けて、
途方もない災害、
そしてパンデミックと戦争......。
ずっと荒地を駆け抜けてきた
ロックトレインの最後部車両に
振り落とされないようにしがみついて
何とかここまでやって来た。
そして今夜も、つたない言葉と
おぼつかないリズムを古びたバッグに
詰め込んで過去から今、そして未来へと
流れていく車窓の外の景色を眺めてた。

積み重ねられた大切な日々。
時々 疲れ果てて、嫌気がさす。
夢と現実の境目がぼやけている。
「何処にでも行けるけど、何処にも行けない Gee Bop Do be Doo......。」

次に立ち寄る駅ですれ違う
誰かの深いため息と
微かな微笑みを感じながら
「今、ここ」にいるじぶんの
よりよい行き先が何処なのか考えてたら....... 


眼がさめた。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?