見出し画像

ルル、彼女はファンキー!!(佐野元春&TheHoboKingBand at Billbord 横浜)

Now&Here #29
2022年10月7日(金)Billbord LIVE
"Smoke&Blue 2022"   2nd Stage

おとといからそこそこ降り続いた
雨も夕方には上がり、
傘をさすほどでもなくなった。
Smoke&Blue LIVEは3年ぶり。
季節の変わり目、
雨が降るごとに日差しも空気も
ゆったりと入れかわる。

2012年から開催されている
Smoke&Blue LIVE
ずっと東京の六本木で観ていた。
会社帰りに立ち寄って
一番安い5階のカジュアルシートで
ビールをチビチビやりながら
のんびりと楽しんでいました。

久しぶりのホーボーキングバンド
今回は横浜の港まで来てくれた。

ビルボード横浜 
ぼくもはじめて訪れる
まだ新しい会場です。
確か本当は40周年お祝いの
キックオフイベントで
演奏するはずだった会場。

チケットを手にしてから
気持ちの昂ぶりワクワク感が
日に日に増してきていた。
相席にちょっと抵抗があったので
今回選んだ席は
2階のカジュアルセンターエリア。
ステージから見て左寄り。
天井から円錐状のデカい
シャンデリアが3つ並んでる。
そのシャンデリアは開演直前に
ズズイッと天井に折り畳まれた。

ほぼ定時にメンバーが定位置に着く。
佐野元春は噂通りの真っ白なスーツ!
バチッとキマってる。
カッコいいなぁ!!

1曲目はハッピーエンド
もともとの原型"ブッダ"を
思い浮かべる。
続けて"ぼくにできること"
"夏草の誘い"
そしてアルバム「The SUN」から
"地図のない旅"

すべての楽器の音が
ダイレクトに届いてくる感じがする。
ぼくの席からはステージに
向かって右側の古田たかしの
ドラムスと井上富雄の
ベースがよく見える。
そう、ドラムスは客席に
向かって横置きなので普段は
見る事の出来ないバスドラの
キックをよーく見ることが出来た。

マイティたかしのキックが
跳ねる!跳ねる‼︎
TOMYの指がベースの指板を
これでかって感じで駆け巡る‼︎
長田さんの姿は今回は少し
見えずらい位置でしたが、
紫の煙が漂うギターリフ。
まるで油絵のようなダイナミックで
いて繊細なグラデーションを
描き出していました。

あらゆる鍵盤と
エレクトリックギターを操るDr.Kyon 。
大きな身体で安定した的確でいて、
時にエレガントに、
時にとてつもなくファンキーに、
バンドのグルーヴを導いて、
ひとつひとつの音の響きを
丁寧に深く豊かな景色として
この横浜の夜のひと隅に
さりげなく置いていた気がした。

そして佐野元春のすべての演奏と
唄は言うまでもなく
バンドの揺るぎない信頼の上に
成り立つ自由でこのバンドの
持つ高いクオリティと共に
眉間にシワを寄せるわけでもなく、
さりげなく当たり前のように
エレクトリックピアノの
ウーリッツァーを奏でて楽しく
魅力的な調和をポップに描く。
観客はそれらを充分に感じ取り、
高度な演奏の中でも
ゆったりと心が跳ね上がり
安心して小気味いいサウンドの
グルーヴに魂を委ねられてた気がします。

時折り佐野がエレキピアノの
ウーリッツァーで、Kyonの鍵盤の
フレーズに絡んで
「どうだ!Kyon!!」って感じで
絶妙なフレーズを繰り出す。

全体のサウンドはPAで的確に
コントロールされているけど、
ドラムスをはじめすべての
楽器の生音が、生コーラスが、
そして佐野元春の生声が
ここビルボード横浜の会場内で
混ざり合い不思議な心地良い
空気に包まれてる感じがした。

まるで世界中のホーボーキングたちが、
このビルボード横浜に集い、
ただただ今は迷子になって
彷徨うしかないぼくらにかけがえのない、
いつしか聴きそびれていきそうな
響きを丁寧に上手に拾い集めて
この夜を照らしてくれている
ような気がしていました。

今夜だけはみんな
各自の席で楽しそうに揺れている。
どうもありがとう......。

誰かのために生き続ける
尊い日々の営み。落ちて行く暮らし。
比べれば比べるほど情けなく、
嫌気が倍増。
欲深い、面の皮の厚い
すっとぼけた人たち。

ファンキーなルルは、
きらめく回転木馬に戯れる。
彼女が金色の輪をつかむまで
バンドはブギウギなサウンドを
絶やすことなく奏で続けた。

今夜、ぼくらはきっと
このしんどい日々を乗り越えるための
まだ形にならないアイデア、
笑い飛ばせるような強さを
手にしていたかもしれません。

最後に佐野さんは
「この横浜に来るといつも、
あぁ帰って来たんだな...と思う。
まだ夜は長いからこの後も楽しんで!」
って言ってたけど、
ぼくはひと気のない港の通りを
横切って、いつもの何もないけど
住み慣れたねぐら
帰るための最終バスに飛び乗った。

関連プレイリスト
地図のない旅

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?