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「光の小旅行」 2023年 夏 / 静岡で…。今、何処 TOUR 2023(佐野元春& TheCoyoteBand)

Now&Here #31  2023年7月8日(土)
佐野元春& TheCoyoteBand
今、何処ツアー2023 静岡公演

朝の関東南部の空は曇り。
でも心は晴れやか!
自宅から駅までの道のりは
早足で地面から16mmくらい
浮かびながら歩いていたと思う。

様々なライヴ会場にこれまで
何度も訪れていますが
今回のように地元を離れて
行くのはまれで、以前に名古屋で
開催されたホーボーキングとの「Rock&SoulReview
以来22年ぶりの遠征となりました。

横浜駅から東海道線の普通列車で
のんびりと車窓を眺めながら
静岡へ向かう。

鉄道好きの男の子
海釣りをする装いの男性
街へ買い物の女の子たち
無口な二人連れ
気高く孤独な乗客

熱海駅で乗り換えて静岡駅まで
まだもうしばらく揺れて行く。

静岡の空は雨雲とその切れ間から
時々少しだけ日差しが漏れてくる。

街の空気に身体を慣らすために
会場の確認をあわせて駿府城公園と
その周辺をぶらついた。
公園内にある小さなお店で
かの有名な静岡おでんを食べた。

いゃー美味しかった!!

雨はバラっと降ったりやんだり…
傘をさすとやんで、
たたむと降り出す。

何かパッとしなかったり、
モヤモヤした気分の時…。
英国では  " Every cloud has a silver lining."
「いつだって雲の裏地は銀色に輝いているよ。」
って言うことわざがあるらしい。

いい感じだな。

LIVEではどんな席でも
楽しみきれると自負してる。
今回チケットに記された席は前から
8列目だけど上手の端っこ。
バンドに近いけどちょっと深沼さんが
見切れてしまうなぁ…
って思いは正直言って拭えなかった。
まぁ、こういう廻りあわせもありだと
思っていた。

今回、目をつけていたグッズ
パンフレットとマグカップを
手に入れて少しだけ客席を
ぶらついてから、席に着いた。

グッズを抱えて席で高まる気持ちを
抑えながらくつろいでいたら
コンサート運営のスタッフの方から
席の移動を勧めて頂いた。
おかげさまでただでさえ
特別な日なのにさらに掛けがえの
ない心に残る夜となりました。
お気遣い本当にありがとうございました。

開演の定刻にバンドのメンバーが
各自の位置へと向かい
佐野元春が電子ピアノの
ウーリッツァーの前に腰かけると
小松しげるのドラムで幕を開けた!

的確で繊細なタッチで鳴らす
コヨーテバンドのアンサンブルが
生み出す計り知れない熱を帯びた
ロックサウンドとしなやかなで
したたかな映像、
絶妙な言葉(タイポグラフィ)の
融合がアルバム「今、何処」を、
さらにダイナミックで
立体的な世界としてぼくらの目の前に
果てしなく繰り広げられた。

まだちょっとマスクを外すのは
憚れる気がしたけど、
指笛を気持ちよく鳴り響かせて、
きらめくサウンドに紛れて詩葉を
ちょっとだけマスクの中で
口ずさんでいた。

後半の継ぎ目なく
畳み込むかのように
雪崩れ込んでいった
コヨーテバンドが奏でるロック!

サウンドの流れに拮抗して
会場内のすべての気高い心が、
魂が、舞い上がっているのが見えた。

さまよう今のぼくらの生。それぞれが
「行きたいと思う道を目指す」こと。

試練、絶望、
華やかな世界の深い闇、
夢の共有、友情、
出会いと別れ、
挫けてしまいそうな心、
気高い孤独。

誰もがまだ旅の途中……。

アンコールで紹介された
Sweet Baby 阿部ちゃん!

小松さんのドラムスの
イントロフィルインに
導かれた「Someday」
彼が奏でるピアノのフレーズに
誰だって誰もが瞬時にそれぞれの
過去から今までの複雑な回路を
経て、感情があらわになり、
かけがえのない日々の中の
経験として静かに無意識の
心の奥のひだに触れて確かな
自分をあらためて感じることが
出来たのかもしれません。

ひと気の少ない通りをでっかい
余韻に揺られながら
トボトボと宿まで歩いた。

このまま眠ってしまうのが
惜しかったけど
いつの間にか夜が明けていました。

ぼくはこの大きな余韻と
掛け替えのない記憶の半分を
穴の開くことのない頑丈な
ポケットにしまい込んで、
残りの半分はこの先、
何処までも翔けて行く
佐野元春&ザ・コヨーテバンドに委ねて、
いつもの日常が待っている
大事な場所へと帰る列車に揺れながら、
もうじき梅雨が明けて夏がはじまるのを
待っている静岡の街に
さようならをしました。

どうもありがとう。
佐野元春&The CoyoteBand
With SweetBabyあべちゃん!!
ぼくを迎えてくれた静岡の街。
最高のサウンドと映像を
組み立ててくれたエンジニアのみなさま。
今、何処ツアーを最高の形で
実現してくれたデイジーミュージックの
スタッフのみなさま。
運営をつかさどる
サンデーフォークプロモーションの
スタッフのみなさま。

この素晴らしい夜を分かち
あえたことを決して忘れません。

あわせて 
今回お世話になった宿の
最高に美味しかった朝ごはんに
どうもありがとう!!

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