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根無し草が想うこと

皇居三の丸尚蔵館で所蔵品を見ていた時のこと、一緒に入ってくださったヘルパーさんがこう言った。

「日本の技術ってすごいのよねぇ」

彼女はそれ以上でもそれ以下でもない意味で言ったのだが、私は「そうね」と心を込めずに言った。なんだか違うと思ったのだ。何が違うのかずっと考えていた。

多分私が少し偏屈なせいなのだ。もしくは非愛国者とか、外国かぶれとでも言った方が良いのかもしれない。
どうやら私は「日本の」という点に違和感を抱いたのだった。

日本の技術は世界に誇るものだと思う。欧米にはない、そして共通の文化を持つアジアの国にもないものが日本にはある。それは日本が島国で地理的に独立しているからというわけではないのだろう。
しかし、私ならきっと「これを創った人すごいねぇ」と言う。「個」の時代において、「日本の」というナショナリズムに私はゾワっとしたのかもしれない。
その文脈において、私はスポーツの国際試合が好きではない。日本がすごいのではない、その選手がすごいのだ、そのチームが素晴らしいのだ、そんなふうに思う。

私には愛国心とか、母国や住んでいる場所に対する愛着がない。かといって、外国の方が日本より素晴らしいとも思っていない。そんな根無し草からすると、「日本の技術ってすごいのよねぇ」に選民思想や中華思想を感じてしまう。
もちろん、これを言ったヘルパーさんにはそんな気持ちはなく、その言葉通り受け取るべきなのだろう。

おそらくどの国、どの集団においても”選民”的価値観はあるのだと思う。自分たちは素晴らしい、誇れる集団だ、という意識はきっと必要だし、自然と生まれ出ると思う。私にはそういうものがないというだけなのだ。

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