見出し画像

ハイライトみたいで素敵

髪を12~13cm切った。
ブリーチとカラーで傷みきった部分は見るも無残で、結わいてまとめておくしかない程広がってしまっていた。後ろを鏡で見ると、カラーをしていない部分は艶があり、傷んだ部分は箒か豚毛の歯ブラシのようにボソボソで、切ることに全く抵抗を感じずバッサリと切っていただいた。

その際に、ポツポツと生えている白髪をカットしてくれるよう美容師さんに依頼した。彼女はニッコリ笑ったあと、こう言った。

白髪って、ハイライト入れたみたいに立体感が出て素敵だと思うんですよね。羨ましいです。

20代くらいに見える、私よりうんと若い美容師さんである。


ハッとした。
白髪のまま染めずに、グレイヘアにしている方や、真っ白になった髪を上品にまとめたご年配のヘアはとても素敵だと思うが、私のような中途半端に疎らな白髪は、”そういう年齢”を感じさせて嫌だなと思っていた。私より若いヘルパーさん達が、「白髪、全然少ないですよ」と言ってくれても嬉しくないし、確かに彼女たちの私よりも多い白髪を見ても、自分の白髪の少なさに感謝なんてしたことはない。
母はもうだいぶいい感じの”高齢者”だが、グレイヘアとも呼べない程黒髪の方が多い。私の白髪の少なさは遺伝や体質であり、有難いことなのかもしれないが、やはり「白髪」はパワーワードである。

しかしだ。私よりもうんと若い美容師さんの「白髪って素敵」は、お客を立ててネガティブなことをポジティブに言い換えるのとは違うような気がした。”だから私も早く白髪になりたい”というわけではないだろうが、「ハイライトみたいな立体感」という捉え方に、目からコンタクトレンズが落ちそうになった。

細くて傷みやすい髪に薬剤は酷であることは重々承知で、気分転換や白髪隠しのためにカラーはしたい。同時に艶も欲しいなどという欲張りさんに、彼女はちょっとした発見をくれた。
しばらくこのままでも良いかな。


「ハイライトみたいで素敵」

鏡の中の私に白髪を見つけた時、嫌だなと思う前に、そんな呪文を唱えてみよう。


#毎日note
#note
#日記
#障害者
#車椅子
#身体障害者
#グレイヘア
#白髪
#美容師
#美容院
#年齢

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?