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コーポレート・ガバナンス関連ニュース(2019/11/27)

東証の市場改革、1部企業横滑りの懸念-実効性、専門家に聞く

【注目ポイント】金融庁の金融審議会は12月中に東京証券取引所の市場改革を巡る提言をまとめる方針。東証1、2部や新興市場の現在の4市場体制を3市場体制に再編するとともに、東証株価指数(TOPIX)の採用銘柄も絞り込むことなどが盛り込まれる可能性があるとのこと。市場改革によって、海外の投資家を呼び込みたい考えだが、果たして東京市場の魅力を高めることにつながるか。

【コメント】記事内でマネックスの松本さんも指摘されているように、現在の上場企業は一度上場してしまえばよほどのことがない限り、上場廃止や市場変更を強制的に行われることはない。そのことが日本企業の経営者のリスクテイクの乏しさに繋がっている点は、まさにその通りだろう。今回の市場改革案が、果たしてどの程度企業にとって厳しさを求めるものかが注目である。もちろん、その中にはコーポレートガバナンスに関する要求基準も含まれる。


「自社株買い」過去最高ペース 投資家の目を意識

【注目ポイント】日本企業の自社株買いが増えている。SMBC日興証券の集計によると、令和元年度の自社株買いの設定金額は10月末時点で5・5兆円と前年同期の1・7倍のペース。背景には、コーポレートガバナンスの強化により、株主還元の圧力が強まっている影響も存在する。ソニーが今年5月、2千億円を上限とする自社株買いの発表を行ったり、8月にはリクルートホールディングスが同様に800億円の自社株買いを発表するなど、大企業を中心に同様の動きが今後も広がる可能性がある。

【コメント】自社株買い自体は株主にとって望ましいことではあるが、本来は、企業に対して資金を預け、リターンを増やしてもらいたいという意図があるので、自社株買いだけでなく、再投資にこそ力を注いでもらいたいというのが本音だろう。一方で内部留保が積み上がり、なかなか投資に踏み切れない企業も多くあり、自社株買いのトレンドが一巡した段階で、将来に向けた積極的な投資を求める圧力が増すと考えられる。


関電社長、社外のみで人選

【注目ポイント】関西電力役員らの金品受領問題で、関電は次期会長・社長の人選を審議する人事・報酬等諮問委員会の決議を社外委員のみで行う方向で検討しているとのこと。現在の岩根茂樹社長は決議の際に退席するなどして加わらない方針。審議・決定の客観性を担保し、人選を可能な限り社外主導で進めることで経営刷新を目指す考えがあるようだ。また、これまで会長が担ってきた取締役会議長を社外取締役が担う改革案も既に検討しているとのこと。

【コメント】お笑い芸人の税金未納問題や桜を見る会問題などで、すっかり勢いを失ってしまったが、関西電力のコーポレートガバナンス不全はかなり深刻な状況にあるといえる。そうした中で社外委員が主導する委員会で、次期経営トップの選任を審議すること自体は、非常に良いことだろう。ただ、あくまで委員会は諮問委員会なので、委員会決議事項に法的拘束力がある訳ではなく、あくまで取締役会が最終的な意思決定機関である。本来は、こうした不祥事が生じた段階で、取締役会自体の機能不全が明らかであるのだから、取締役会の刷新こそ議論すべきだ。その上で、今後の経営を担う経営トップは誰が相応しいか、という議論になるのだろう。

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