ドサクサ日記 6/12-18 2023
12日。
スタジオでミックスダウンのためのEDIT作業を延々と行う。画面と向き合い続けると首やら肩やら腕やらがパンパンになる。身体の不調は働き方の問題が原因である可能性が高い。途中、気分転換を兼ねてホームセンターでキャンプ用品の買い出し。予備のランタンや電池などを買う。そんなにたくさんのものを買っていないが、いよいよキャンプを趣味にしないといけないような気がしてきて恐ろしい。
13日。
取材のあと、友人に資金集めの相談。地元の皆さんの協力が集まりつつある大正時代の石の蔵の保全、改修、スタジオ化だけれど、音楽スタジオというのは設備の面でも機材の面でも大変な資金が必要になるので緊張している。特にガワの問題は大きい。防音や遮音という機能はスタジオにとっては価値だけれど、施設がスタジオでなくなった瞬間に廃棄物と化してしまう。ここにスタジオ閉鎖の悲しみがある。別の用途での使用を考えれば音の反射を考えた天然木の壁もゴミだろう。ただ、そのゴミも、作り上げるには技術や経験、莫大な費用が必要なのだ。それを文化と考えて、伝統あるスタジオを守っている人たちが世界中にいる。潰すのは簡単だけれど、潰してしまったら回復するのが難しい。再建が不可能なことを知っているからだ。俺の独力では守れない。多くの人の「思い」を集める方法も考えなければ。
14日。
サーフブンガクカマクラの「半カートン」が配信開始。友達のバンドのカバーである「湘南エレクトロ」は完全版には入らないけれど、年内には実現するだろうLPには収録する予定。「半カートン」は当初、独立した6曲入りEPのかたちで企画されたもので、同時に「サーフブンガクカマクラ」に組み込んでも繋がるように工夫している。ゆえにまずは6曲からの公開。様々なオマージュが散りばめられているので、それを探しながら楽しんでくれたら嬉しい。2008年の「サーフ〜」は楽曲やアルバムの構造的に、俺のソロ色が強い。15年の時を経て、ゴッチの思いつきに付き合わされたメンバーの「サーフ〜」に対する思い入れや理解が高まって、どう聴いてもアジカンでしかない仕上がりになったのが感慨深い。来月発売の完全版では、俺たちの「サーフブンガクカマクラ」になったところを確認してほしい。
15日。
週末からロンドンに行くので、その準備をしている。とはいえ、ロンドンにいるのは数日で、グラストンバリーで行われるロックフェスに参加する。10代の頃からこのフェスに出演するのが夢だった。残念ながら出演者ではなく、取材としてだけれど、このフェスを中心とするようなUKロックの文化に触発されなければ、今の自分はなかったと思う。キャンプは苦手だけれど、堪能してきたいと思う。
16日。
「西方コーストストーリー」のMVが公開になった。サブタイトルは公表されていないけれど、「非チャコの湘南海岸公園物語」ということになっている。完成したビデオを見ていると、登場する女の子がどんどん魅力的になっていくことに驚く。最初は「普通じゃんなぁ」とか思っていると、クロールの真似事をするあたりにはズキューンと撃ち抜かれて、なんだかとても甘酸っぱい気持ちになる。素敵。
17日。
羽田からヒースローへ。10代からの俺の夢、グラストンベリーフェスに取材へでかける。まあ、出演するのが夢だったけれど、彼の地を踏まずに死ねるかというわけで、14時間かけてイングランドへ。肩痛い、眠れない、俺の席にCAが来る頃には機内食の選択肢がない、などの「ないない'23」状態をなんとかくぐり抜けたけどロンドンは何もかも高い。この後、キャンプで6泊。右手がもげるかもしれない。
18日。
イギリスの田舎に移動。同行/アテンドしてくださる方のロック伝説を聞きながらロンドンから西へ向かうのだけれど、話が盛り上がるポイントでインターチェンジに差し掛かることが多く、その度に話の盛り上がりによって誤った選択をし続けてしまった。予定通りにはいかない道中だけれど、お陰で素敵なパブに寄れたり、2度と行かないようなイギリスの田舎道を走ることができた。この日はホテル泊。