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ドサクサ日記 3/14-20 2022

14日。
「やりきった!」と全身が主張しているが、別のエネルギーを振り絞って現場へ向かう。Gibsonのギターの魅力を語る企画に参加した。P90というピックアップに出会ってから、マローダーというアイコニックなギターとは別の角度で、Gibsonギターの沼にハマったように思う。レスポールSPの弦をカポタストで軽く叩くとき、これは自分のギターで、自分の音だと思う。他のギターでは出ない音。

15日。
スペースシャワーTVから素敵な賞をいただいた。とても嬉しい。映像メディアの役割は時代によっていくらか変わってきたと思うが、ポップミュージックにおけるスペシャの功績はとても大きいと思う。業界の良心だと言える。ここ数年のインディーシーンも、スペシャの様々な下支えがあってこそ。そうしたメディアから、25年のキャリアを祝福してもらった。賞に恥じないように歩んでいきたい。

16日
CBSでレコーディングの手伝い。マイクやマイクプリアンプのセレクト、録音レベルの確認など、ひと通りのレコーディングが行えるようにセッティングを手伝ってから、この日は休日とした。仲間の音楽にエンジニアとして関われるのは、とても嬉しい。人生というぶっとい持続音。その響きがいくらか豊かになるような感覚がある。これからもできるだけ、素晴らしい音楽が生まれる現場に居合わせたい。

17日。
大きな地震のニュースで心も体もザワザワとしている。最近取材した福島の酒蔵も被害があったそうで、オンラインのミーティングが中止になってしまった。様々な人々の暮らしが、速さだけでなく温かさを持って復旧することを願う。日本中、どこにいても地震への心配は尽きない。プレートが沈み込む一帯で生きること。地震からは逃れられないとしても、助け合う技術だけは積み上げ続けたい。

18日。
都内でレコーディング。目まぐるしいスケジュールだけれど、録音スタジオでの作業は楽しい。この時間が無限に続いたらいいのにと思うこともあるけれど、そういうわけにはいかない。録音の間もひとりの生活者としての側面が、音楽だけに埋没することを許してくれない。インターネットによって、日本中の、世界中の出来事が眼前に届く。その端っこで、自分にこそ、温められるものはなんだろうか。

19日。
神戸でSDGsのイベントに参加した。藤原辰史さんの『分解の哲学』を思い出す。サステナブル(持続可能)という言葉が使われるときには、「作る」という力点ばかりが注目される。支点の反対にはゴミと廃棄物の問題が積み上がり、分解や発酵や腐敗といった循環のための役割は見過ごされがちだ。神戸のイベントは廃棄によるロスを減らしたり、再利用についてのピッチがたくさんあってよかった。

20日
MO'SOME TONEBENDERの百々さんのイベントに出演。とても楽しかった。朗読したのはヴィスワヴァ・シンボルスカの『終わりと始まり』。一緒にセッションしようという連絡をもらったときに、百々さんのギターを間近でたっぷり聴きたいなと思った。百々さんと艶やかさと危なかっしさを持ったフィードバックノイズに乗せて、ポーランドの詩人の言葉を読む。Imagineを歌うときと同じ気持ちで。