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【閑話】 ビジネススクールの課題で「未来思考」について改めて考えてみた

こんにちは。ごさとです。

この9月まで大学院で「社会デザイン」を学んでいたのですが、ふと思い出して6〜7年前に取り組んでいたビジネススクールの課題を見直していたら「今のご時世に当てはまることや参考になることも多いのでは?」と思ったので公開します。

● 課題の内容

「未来思考(創造的発想法)」の授業で「バックキャスティング」や「シナリオプランニング」といった手法を学んでいた際の課題です。

・テーマは「30年後の教育」(自分で設定しました)
・PEST分析をベースに提供サイド(学校とか)と受益サイド(生徒とか)に影響が大きいと考えられる事象を洗い出す
・将来起こりそうなシナリオをマトリクスで整理し、ビジュアルと実現するための要件を具体化する

・各シナリオに応じた事業アイデア(ラフなもの)を考える

このような手順で作成していったスライドを並べて説明していきます。
(資料の体裁が時の流れを感じさせます・・・)

当時、海外赴任でテクノロジーの進歩と社会生活への応用を目の当たりにして珍しくテンション高めだったことと、東日本大震災後に帰国して日本の教育制度の手詰まり感や環境変化に対応しきれない様子に素朴な疑問を抱いていたことが相まって取り組みました。

● PEST分析

社会動向を「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Social(社会)」「Technology(技術)」の4つの観点で洞察・推察していきます。

スライド1

ざっと見てみると、まさに現在、起きていることや今後に向けて議論されていることなどがチラホラ書かれています。

・「Politics(政治)」の箇所では外国語推進、プログラミング導入、制度としての学校や教師の在り方
・「Economy(経済)」の箇所では異業種から教育に参入するプレーヤー
・「Social(社会)」の箇所では企業の通年採用へのシフト
・「Technology(技術)」の箇所では「MR=Mixed Reality(複合現実)」に該当するであろう授業の変化や「通学せずにオンラインで卒業資格を得られる」という学校の変化

今も同じ考えですが、当時「学び」という行為について、様々な立場、特に卒業後の世界から影響を受けることで、もっと自由に、もっと充実した体験にすることはできないものか?という課題意識を持っていました。

枠外にある「リアルの場で学ぶ、通学する必要のある学校の意義は何が残るだろうか?」の一言が “with / after コロナ” を想定したみたいです・・・

● ビジュアライズ(未来のイメージを膨らませる)

先述の分析や考察を踏まえ、4象限に整理したうえで、まず言葉ではなく「(実現した想定で)未来の教育」をイメージで表現しました。

スライド2

どうやら「オンライン」と「オフライン」が関係しそうですが、ビジュアルだけだとまだ分かりにくいですね。

● シナリオコンセプト検討(仮説立て)

横軸と縦軸に将来起こりうる変化を象徴する言葉を置き、それぞれの象限を補足していきます。

スライド3

この課題では横軸に「仮想(オンライン)」と「現実(オフライン)」を、縦軸に「公(制度で成り立つ)」と「私(主体性を重視する)」を置きました。

・「従来型教育システム」は、これまでの教育の在り方が未来も続くシナリオ
・「サテライト教室」は教育を提供する「学校」や「教師」は従来通りですが、提供する方法がオンラインになり、受講する生徒も世界中に広がるシナリオ
・「集合実践型教育」は知識偏重ではなく、経験を重視した「職業訓練校」や就労経験者がさらに高度な学びを得るための教育が充実するシナリオ
・「知の結合・相互教育」は「教師と生徒」や「教室と講義」という概念がなくなり「知りたいことを、知りたいタイミングで、専門家から教えを受ける」ことができるようになるシナリオ

「ネット配信する通信制の学科」は “●高等学校” であったり、「学び→経験や実践へシフト」はリカレント教育のような位置づけであったり、「それぞれが先生であり、生徒である」は皆で知見を共有しあう昨今の社会動向であったりと捉えることもできそうです。

● 実現のための要件定義

ここでは、再度PEST分析も参照しながら「各シナリオの実現に必要な事象」を検討して当てはめています。

スライド4

2020年現在、まだITインフラは整備されたとはいえませんし、タブレットも行き届いていません。
このような「情報・学習環境格差」も、今回の新型コロナの影響で露呈されてしまいました。

でも “●本電産” が教育に参入したり、プラットフォームとして “オンライン学習” のサービスが徐々に浸透したりと、新しい潮流も確実に生まれています。

● シナリオに応じた事業の可能性模索

シナリオプランニングの手法としては、次の手順のように続きます。

①現実世界における各事象の実現度を観測して
②想定した「未来シナリオ」の行方を見定めることで
③組織としての対策を検討して備えを進める

「新規事業(Start)」だけでなく、既存事業について「続ける(Stay)」「やめる(Stop)」「転換する(Sift)」の可能性を検討します。

そして以下が考えたラフな新規事業アイデアですが、当時は20代で社会経験も未熟だったので、甘々な印象ですね。。

スライド5

スライド6

スライド7

さて、課題の出来はどうあれ・・・

SF(サイエンス・フィクション)と科学技術開発を結びつける議論もあったり、「こんなこと良いな、できたら良いな」と夢見たことの実現にチャレンジする方々もいらっしゃったりする世の中です。

突如として訪れた見通しの悪い時代だからこそ “少し先の未来” を想像しながら “今からできることを考える” マインドを持つように心がけたいなと、当時を振り返って思いました。

きっと、この状況を乗り越えようと、自ら進むべき道を切り開いていく人や組織によって次の時代がつくられていくのだろうな・・・と。
(自戒も込めて)

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