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※無料記事※一級建築士製図試験対策#5:私が試行錯誤したこと~課題発表後編~

※この記事は令和5年度試験用の内容です※

こんにちは。
今回の記事は、ランクⅠをしばらく取り続けた後に陥ったランクⅢⅣの沼から、どのようにもがいて本番を迎えたか・・・という様子をお伝えしたいと思います。一通り製図は出来るようになったけど、なかなかランクⅠに届かない・・・というスランプ気味の方に向いている内容かと思います。



いきさつ

課題発表前あたりはスタートダッシュが効いてランクⅠが比較的取れていたものの、課題が当年度の用途になり、更にさまざまなひっかけ要素も加わるようになってから、毎回必ず何かしら大きいミスをやらかして、ランクⅢⅣが続くようになってしまいました。一方、クラスメートは徐々に「30枚の壁」を突破して、ランクⅠをとるようになってきます。
シルバーウィークに入り、最後の仕上げに入る時期になっても、ミスが続きました。模試でもランクⅠは取れません。

自分のミス振返りノートは「この文言には注意する」とか、「この斜線はこれこれにひっかからないようにする」など、毎週課題をこなす度に行が増えていったのですが、毎回、異なる内容のミスがただ積み重なっていくだけのノートになっていたので、このままでは本番も、今までやっていないひっかけにひっかかってしまう可能性があると思いました。

そして、本番直前になって、私のミス振り返りのやり方は場当たり的、対処的な対応であり、根本的な対策になっていないことにようやく気付いたのでした。自分の製図スタイルを今一度客観的に見て、大元を直さないとだめだと、本番まで残り2週間くらいで気付いたのでした。


根本的な対策とは何か

場当たり的ではない対策とは何か。それは、当たり前の事ではあるのですが「読み取り」「チェック」の精度を上げることでした。大体のミスは、読み間違い、読み飛ばしによって起こり、チェックをする事で防げます。
自分では「読み落としがないようにしっかり読もう」「漏れがないようにしっかりチェックをしよう」と毎回強く思って課題に取り組んではいるものの、強く思うだけじゃだめでした。具体的に行動を変えないといけなかったのです。でもどうしたらいいのか私には分かりませんでした。


自分の力ではどうにもならない時は、周りの力を素直に借りる

1)周りの人に聞いてみる、できるだけ具体的に。

幸い、私が通ったクラスは人数があまり多くなかったこともあり、お互いを添削しあったり、作図を壁に貼って全員で全員分の講評を聞いたりする時間をしっかりとって下さる形式で進んでいきました。
本試験近くの長期コースともなると、さすがにもう基本的な事は全員出来ており、全員が、いかに読み間違いや読み飛ばしをなくし、ミスをチェックでつぶせるかを訓練するモードに入っていました。

なので、「私はここを読み飛ばしたけど、どうしたら読み飛ばさないようになるのか分からない。みんなはここを読み飛ばさないようにどうしたの?どうやって読んだの?」と質問をしました。


2)課題文とエスキス用紙のシェアが有用

質問すると、クラスのみんなは優しくて(涙)、自分の問題文を広げ、マーキングやチェックした箇所を見せながら説明してくれました。話を色々聞いたり、写真に撮らせてもらったりしました。
彼らはミスをする度に自分なりに対策を考えて、実践して、定着させる事を繰り返して今に至ったことを知ります。自分が停滞している中、ランクⅠをキープし続ける人が廻りに一人、二人と増えていったのですが、彼らはそうやって努力を積み重ねてきたのです。

交換添削やグループミーティングでは、まず作図、記述用紙などの"答案"をシェアすると思いますが、ミスをなくすには、むしろ課題文、エスキス用紙のシェアの方が、後半戦には大事になってくるのです。


3)みんなの様子をよく見る、そして真似てみる

製図の講義では、前の方の席を使っていたのですが、ある日どうしても6.5h中に中抜けしなければならなくなり、一番後ろの席に座りました。そうすると・・・他の人の様子がよく見えるんですね後ろって。(カンニングじゃないよ!)
あの人、いつもエスキスめっちゃ短時間で終えてるけど、どうやってるんだろう・・・と思っていたら、全然エスキス用紙を使っていなくて、腕組んで空中を見てるだけ・・・とか、あの人めっちゃ作図早いけど、ほうほうあんな感じで描いてるのね、とか。あの人の使ってるあの道具よさそうだなあ、とか。(カンニングじゃないよ!)

いろいろな気付きがあったので、「ねえねえ、エスキスの時全然書かないでどうやってるの?」と気になったことは聞いてみました。作図が早い人には「何を工夫しているの?」と聞きました。聞いて、教えてもらって、真似できそうなら「真似させて!」と真似てみました。

いつもと違う席に座るというのも有効だという話、通学をされてない方は、会場模試を是非受けて下さい。開始前、開始後などに回りの人をよく観察するとよいと思います。


4)ラスト一週間、もう自分のスタイルを変えるなと言われたけれど。

「試験当日は、やったこともない手順で解かないように。いつも通りの手順で解きましょう」と言われます。試験直前で慌てて手順を変えようとする私に、今からスタイルをいじると収拾がつかなくなるから止めたほうがいいというアドバイスも受けました。
ただ、良くない解き方で固めても受からない、だったら収拾がつかなくならないように、この1週間で新しい解き方をしっかり身に着ければいいんでしょ、と思って、変えたやり方を定着させるように毎日トレーニングしました。仕事は有休を全ぶっこみし、毎日トレーニング。最後の足掻きです。
製図用のゴロ合わせを慌てて作り、毎日単語帳でアナログに反復したのも、本当に最後の2週間くらいでした。


見直したもの1:読み取り時のマーキング

製図1年目の私は、S資格の3色分けで、大事な文章をダーっとマーキングしていました。 (→こちらの記事中の写真のように)

たとえば、「駐車場は、平面駐車とし、車椅子使用者用として2台分、サービス用として1台分のスペースを設ける。」という文章があったとしましょう。

太字がマーキングだとすると、最初はこんな感じでした↓
駐車場は、平面駐車とし、車椅子使用者用として2台分サービス用として1台分のスペースを設ける。」
3つのブロックに区切る感じです。

これを、
「駐場は、面駐車とし、車椅子使用者用として2台分、サービス用として1台分のスペースを設ける。」
と、最低限の大事な文字だけ、細かくくぎってマーキングするようにしました。これだと6か所のマーキングです。

後者のほうがチェックの確実性が上がるのがわかりますか?
前者だと、読み流してしまう場合があるのです。車椅子用とサービス用の台数が逆になってたとしても、「あー、車は2台と1台。OK」と。確かに3つチェックはしてるんです。けど間違ってます。
このようなチェックにならないよう、出来るだけ細かく、チェックする文字だけを塗るように訓練しました。


見直したもの2:エスキス チビコマ+αで検討

いわゆる1/1000の検討では、私はチビコマでエスキスを行っていました。
私の製図の先生は、1/400に行く前に、3平面を重ねて確認をするように指導されていました。
もちろん私もやってみたのですが、2回位試して、重ねプランだけで15分位かかり、かつ重なっているが故にどれが何の線か分からなくなって頭が混乱し、それ以降は重ねをやりませんでした。
しかしながら、プランⅠを連発しているクラスメイトは、重ねをやるようになってからミスが激減したと言い、中には重ねプランで大体の位置を決め、1/1000はやらずに、重ねプランを見ながら直接1/400を作っている人もいました。
PC梁の組み方がおかしくてランクを落としたり、丘立ち柱を書いてしまったことがあったのですが、「1/1000、1/400、最終の計3回のチェックの中でミスをつぶそう」ではなく、「1/400に入る前に確認をして、大丈夫だったら1/400に進」まなくてはならないと気付きました。チビコマでPC梁に色を塗るという対策は行っていたのですが、ズレに気付かなかった時もあり、なんらかの形で重ねをしなくてはならないと考えました。

試行錯誤を重ね、「大きい部屋」「コア」「PC梁」だけ重ねて確認する、というやり方をとることにしました。自分にとってはぎりぎり頭が混乱せず、時間も短く済む方法でした。


見直したもの3:エスキス 1/400に入る前のチェックを見直す

S資格では、チェックの呪文を教わりますよね。1/1000後チェックはオレンジ色と法規3つを、1/400後ではピンク追加し法チェック、作図後は黄色追加と法チェックという手順も教わると思います。それでも抜け落ちるものがあるからランクⅠにならないので、どのタイミングで何を追加でチェックするか、色々考えました。

模試や課題で、作図中にミスに気付き、緊急オペをして間に合わせる、という事が連続してありました。大きな部屋の室面積不足や、階段が不適切、など。緊急オペは30分くらいロスしました。作図2時間が2時間半に延び、一応描き終わりはするのですが、最終チェックが1時間から30分になると、チェックの精度がかなり落ちてしまいます。

そこで、自分が見落としがちなものをゴロ合わせにして追加チェックすることにしました。

ウラ指導のエスキスチェックリストもありますが、暗記が苦手な私には多すぎて・・・「カタセハピコ」なら、トリ頭の私でもなんとかなりました。
そして、本番のエスキスはこんな感じになりました↓

重ねプランと「カタセハピコ」

ちなみに、緊急オペの経験は、作図中にミスを発見してもなんとかなるという経験にはなったので、肝っ玉は鍛えられたと思います。どの位の失敗はどの位の時間ロスになり、時間配分をどう組み直すか、という練習になるので、もし今後の学習で、途中で大失敗に気付く事があったら、時間内にリカバリーする練習が出来るチャンスだと思って、諦めないで最後まで描き続けることをおすすめします。(ただし時間内まで。時間内でどうにかする練習なので。)


見直したもの4:チェック呪文に追加アレンジ

S資格で教えてもらう法チェックの呪文は、アレンジして唱えてました。
これもクラスメイトが追加呪文を布教してくれまして(笑)。その布教と全く同じにはしませんでしたが参考にして、語感よく足していく感じで呪文の最初や最後に加えていきました。


見直したもの5:作図 作図用紙を製図板からはずす作戦

私が通っていたクラスはフリーハンドの人はいませんでしたが、何人かは途中で作図用紙をはずして完成させていました。(後ろの席になった時に知りました)
聞いて教わり真似した試行錯誤の末、部屋名、家具を描く前ではずし、最後に外構の目地やフェンスを描くタイミングでまたつける、というスタイルにしました。
"またつける"のにはコツがあり、目地やフェンスは細線でいいのでしっかり製図用紙を止める必要がありません。一度はずしたドラフティングテープを再利用して、一番上の真ん中を止めるだけ。それで充分でした。

製図板から作図用紙をはずして用紙を回転できると、姿勢を崩さずに描き続けられるので体力的に楽でした。立ったり座ったりの動作もはずしている時は減るので、多少は時間を縮められたかもしれません。


見直したもの6:(全ての)チェック時 体と用紙の位置取りを変える

私の初期のチェックは、チェック印はつけているものの、間違ってるじゃんチェック出来てないじゃん、という状態が結構多く、なぜなのか考えてみました。
そうすると分かったことがありました。例えば1/400エスキスのチェック。課題文とエスキス用紙を見ますよね。その時、私のチェックは「課題文が主、エスキス用紙が副」という位置取りになっていたようなのです。課題文のマーキング部分が視界の大半を占め、横眼でエスキスを見て課題文にチェックを入れる、という状態でした。(言いたい事が伝ってるかしら・・・)
自分の体の真正面に課題文を置き、エスキス用紙はその横、つまり自分の体の右斜め前とかに置いてチェックしてたんですね。

試しに「体の前に置くのをエスキス用紙にして、視界の大半はエスキス用紙。課題文はその脇」と、位置取りを入れ替えてみた所・・・あら不思議、すごくチェックしやすくなりました。
私だけかもしれませんが、ちょっとしたことで精度が変わることが分かったので、試験本番までチェック時の用紙と体の位置関係には気を配りました。


見直したもの7:最終チェック ペンを変える

初年度の製図の3回チェックは、1/1000チェック(/)と1/400(\)と最終チェック(〇)というように記号を変えて、シャーペンでチェックをしていました。
これもクラスメイトの真似をして、チェックのペンを変えるようにしました。1/1000はシャーペン、1/400はフリクション青0.5、最終チェックはフリクションカラーペンのバイオレット。

最終チェックを太いペンで行うと、チェックしたかどうかが一目瞭然になります。これも効果があったように思います。

チェックの仕方と前述のマーキングを見直して、どの位成長したか。1年でこのように変わりました。
左が令和3年、右が令和4年の製図問題用紙です。試験当日実際に使ったものです。(掲載許諾を頂いております)

「要求室」の部分
「要求図書」の部分

令和5年度からは道具入れが禁止されるので、ペンの数を絞る工夫が必要になると思いますが、最終チェックは目立つペンをお勧めします!

ちなみに、令和4年度の「要求室」のほうの写真、下の方にシャーペンで書き込みがありますが、やってない方はコレもおすすめです。説明しますね。


見直したもの8:エスキスに入る前に、設備を計画してメモしておく

これは課題発表前からやってたので、以前の記事に入れるべきでした・・・
課題文を3度読みする間に、設備関係の計画を課題文の余白に書き出してからエスキス、作図をするようにしました。
空調、換気、給水、電気」について、「①方式/②設置する部屋・広さ・階/③設置するスペース・広さ・階」をマトリックス表にします。
一覧にしておくと、何かあった時にここを見にくればいいので便利です。


見直したもの番外編:仕事をセーブする

環境によっては仕事をセーブしたくても出来ない方もいらっしゃると思います。でも相談はしてみたほうがいいです。
私は製図1年目、最初は仕事をセーブせずにいました。夏休み明け位からだんだん授業内容についていけなくなり、シルバーウィークの特別講座で解けなさすぎてギャン泣きし、会社に連絡して次の日から試験まで有休全ぶっこみしましたが、当時の自分の実力からするとそれでも時間が足りませんでした。
製図2年目は、課題発表後からは週5の仕事を週4にセーブし、シルバーウィーク後からは有休全ぶっこみにしましたが、これで仕事も製図もなんとか回すことが出来ました。
仕事はいろんな人と協力して進めるので、事前の根回しが大事です。
(と1年目は相談より前倒しで休んだ私がどの口で言うか・・・反省)
仕事量の調整をして下さるかもしれないので、早めに相談しましょう。


あとがき

いかがだったでしょうか。
自分のつたない問題用紙をさらすのは恥ずかしいですね・・・
恥ずかしいついでで言うと、製図2年目で作図がある程度できるようになってから、「課題文の『要求図書』も一つ一つチェックするんだ!」と気付く位、チェックの仕方をわかってませんでした、製図1年目は。(「要求図書」部分の比較画像を見るとよく分かります)
問題用紙の左半分をチェックすれば、右半分も網羅できるとでも思ってたんでしょうかね。そんなんじゃだめなんだよおうううぅ。

・・・さて次回は、学科から製図にストレート受験する方向けの内容をまとめようと思っています。私は製図1年目、ランクⅢで不合格。1年目に頑張ってよかったこと、こうすればよかったなあと思う事を書いていこうと考えています。
長らく書き続けてきたnoteの記事ですが、次回の記事で試験対策は一旦終了になります。その後は、公開済の記事を年度単位でメンテナンスしつつ、試験に関することがあれば不定期に追加していこうと思います。

このnoteの記事は、個人での学習利用を目的としています。無断転載、転売等はお断りいたします。もし間違い等ございましたらご連絡頂けると嬉しいです。

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