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【掌編小説】毎朝

 今朝、新聞配達を終えたばかりの空は、陽に向かって雲が斑に赤く、まるで向こうに眠らない別の街があるようだった。

 きっと、気付かなかっただけで昨夜から明るかったのだ。だから、眠らない街でいい。

 日曜日の早朝に歩くのは、年寄りばかりで、6月も半ばに差し掛かろうというのに皆が春先の装いをしている。朝の年寄りは年中厚着だ。

 遠くからトラックのエンジン音が聞こえて、姿を見せないまま音は去っていく。

 カラスが息の止まった道路に散らばる生ゴミを冷やかす。

 季節が移ろうのは昼間だけで、早朝には季節がないようにすら思えるほど、毎朝同じ音だ。

 毎朝、年寄りは厚着だし、

 毎朝、見えないトラックは走ってるし、

 毎朝、カラスはあてもなく彷徨いている。

 このまま、日常のまま、明日があるかのような様子のまま、この街は終焉を迎えるのだ。

 雲の赤が揺らめきながら、迫ってくる。

 バラバラとプロペラの音がうるさくなる。

 向こうに見えるのが、戦火だと言うことは、朝刊にも書いてない。

 僕は明日があるかのように、からのバイクを新聞屋へと走らせた。



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【罪状】動物愛護法違反

 年寄りが毎朝カラスに消化不良を起こしかねない餌をあげていた為。

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