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「会社四季報」で最低限チェックしておきたい項目ってどこ?改訂版


四季報の内容ってどこが大事なポイントなの?

「会社四季報」は年4回の発行で、季節ごとに記述の仕方が少し変化しています。
夏号は6月17日発売となります!

四季報を初めて読む方や、何度か読んだけど
「あまり活用できていない」方向けに、
読む際に頭に入れておきたいポイントを簡単に纏めてみました。

四季報の見出しや記事欄には文字数制限あるので
企業の最新情報のほんの「一部」しか掲載することができません。

私自身、初めて買った時はどこをどのように見ていけば良いのか解りませんでしたが、
気になる企業について、HP等と併用していくことで、「企業精査」の楽しさや必要性を知る事に繋がりました。

四季報を、ただ漠然とペラペラと読んだだけで「直ぐに利益に繋がる」のであれば、周りの人みんな億トレですよね。
そんな事は期待してはダメで、
四季報では「企業を知り」「未来の利益に繋がる銘柄」を発掘する切っ掛けにすれば良いのではないでしょうか。

「新年度大バケ期待の銘柄はこれだ!」のような銘柄には飛び乗る前にしっかり「精査」をし、納得したうえで投資対象にしましょう!

◆四季報独自の記載ルールがあります!

①コメント欄の記述は「近い将来の話である」
これから起こり得るであろう近い将来の予測/予想であり、企業側が発表したコメントではない。
会社四季報の取材班が取材した内容を基に
予測/予想した内容になり、「現時点で事実と異なる!」と思うこともあります。

また、紙面版の「灰色のアミ掛け箇所」は、
四季報独自の予想であり、コメント同様に企業側が発表したものではありません。

その為、四季報のコメントは常に「未来を先取りしている」と捉えて読むとしっくりくるのではないかと思います。

◆それではページを開いて見ていきましょう!

早わかり!四季報を12ブロックで読み解く
①業種 
②基本情報 
③業績/材料記事 
④業績数字
⑤前号比/会社比マーク 
⑥配当 
⑦株主 
⑧役員/連結会社 
⑨財務
⑩資本異動/株価推移/特集企画/業種時価総額順位/比較会社
⑪株価チャート 
⑫株価指標

Amazonサイト「四季報2023夏号」商品ページより

◆先ずは記事欄から

③の業績記事/取材記事
「連続増配」
等の文言に続き、企業の近況や新事業の取り組み、案件の推移などについて記載されています。
例えば、2024年夏号で「東京精密/7729」を確認してみると、
「柱の半導体製造装置はAI半導体(中略)SiCパワー半導体向けも拡大」との記述があります。
ここで大事なのが、その内容を更に深堀してみるという事です。
SiCパワー半導体向けって?具体的な内容や拡大の規模までは四季報を読んだだけでは解りません

読み進めていく段階で、気になる企業があった際は、「決算説明資料」でその内容を把握しておきましょう。
ただし、その場で手を止めて作業を進めると、
四季報をそのものを読む時間が削られてしまいます。
とにかく、気になる記述や文言をチェックする。
付箋を活用したりするのも良いかと思います。

2024年夏号より(オンライン版)

◆最低限見るべきところと手順

先ずは、自分がわかりやすい業界から見てみましょう。
①企業概要
②財務状況
業績は良いか?チャートは右肩上がりか?PERはどうか?など、パッと見た印象も大事です。
どんなに業績が良好であっても、事業内容、テーマがまだ注目されていない銘柄もありますので、数字だけで判断しないようにしましょう。

①企業ピックアップ
②気になる企業の気になる項目を短信や資料で精査
③チャート確認
④ファイルに入れる
⑤株価アラート設定

私は現在「1日1銘柄精査」を継続しているので、特にこの時期に一気に読み込むということはなくなりましたが、
オンライン版で選定銘柄は都度再確認しています。

また、この時期は多くの人が四季報を読んでいるので、一般的にどの部分、どのセクター、どんな事業に注目をしているのかを読み取り、Tradeに活かせるようにしています。

財務の項目(下記の赤い欄)では、
時価総額、自己資本比率、有利子負債、ROE、キャッシュフローなどの確認ができます。
財務内容はとても重要ですので、下記で詳しく説明をしてあります。

◆具体的にこんな感じで見ています!

下記の「高砂熱学工業/1969」を例に説明していきます。
左が「会社四季報紙面ページ」で右は「決算説明資料」になります。
今回の四季報「記事欄」には「最高益」の文言の後に「大型再開発案件も寄与」「施工効率化が進む」との記述がありますが、
大型案件って具体的にどんな?

「見通し」の文言の中には、
「自社株買い含め株主還元も強化。」と記述がありますが、具体的には記載されていません。

そこで、「決算説明資料」が役立ちます!
詳細は四季報だけでは把握できない為、
下記「決算説明資料」で内容を把握してみましょう!
資料では四季報の記述より更に詳しく記載されています。

このように、更に深く精査すると企業に対する理解力も深まり、
保有に至った場合の「握力」も高まり、日柄調整など多少の下落の際に、安易に手放してしまうようなこともないでしょう。

2024年夏号より

◆映像クリックで資料に飛びます!

2024年5月15日「2023年度通期決算説明資料」
「株主還元」についての詳細ページより

◆時価総額について

時価総額は、企業価値や会社の規模を評価する指標になります。
1000億円以上の企業になると、
機関投資家など大口投資家の資金も入ってくると言われていています。

◆自己資本比率について

自己資本比率は、貸借対照表の負債と純資産を合わせた総資産に対して返済不要の自己資本(純資産)がどのくらいの割合かを表したものになります。
一般的には30~40%以上あると安全な企業と言われています。
資産には、株主等から調達した「返済しなくても良い資産」と、借り入れ等で生じた「返済しなければいけない資産である負債があります。
その合計が総資産で、「総資産から負債を引いたものが純資産」になります。
総資産に対する純資産の割合が、自己資本比率になります。

有利子負債とは、「短期借入金」や「長期借入金」など、利子が発生する負債になり「財務諸表」で確認できます。

負債額については、純利益の10倍以内なら安全であると一般的には言われています。
有利子負債が多過ぎると、経営上、利息の返済が大きな負担となり、企業の健全性を測るうえで重要な指標になるため、しっかりと把握しておきたい指標になります。
10倍を超えると有利子負債が多いと判断されています。

◆ROEとは

ROEとは、自己資本純利益率です。
純利益÷自己資本× 100)
自己資本を使ってどれだけの利益を出すことができたかを表す指標になり、企業の稼ぎ方「効率的に利益を得ているか」など、経営内容をROEから判断することができます。
一般的な基準としては10%以上あると良いと言われています。
自己資本比率とは相反する指標になりますが、自己資本比率、ROE共に高い会社もあります。
たとえば、現状ROEが低くても毎年改善している企業であれば、その価値が上がる可能性は期待できると考えても良いかと思います。
気になる企業は、
企業IR資料で「ROEの目標が記載」されているかを、確認してみるのも良いでしょう。

◆キャッシュフローについて

キャッシュフローは、企業の現金の流れを表す指標です。
例えば、黒字であっても倒産に追い込まれる企業が存在しますよね。
そこを把握できるのがキャッシュフローになります。
営業キャッシュフロー」
「投資キャッシュフロー」
「財務キャッシュフロー」
の3つに分類されます。

◆キャッシュフロー詳細

営業キャッシュフローは、
商品販売やサービス提供で得た収入から、
仕入れや営業活動に必要な諸費用を差し引き、本来の営業活動から得られた金額になり、
プラスが望ましいとされます。
営業キャッシュフローの項目をしっかり見ていくと、
「売り上げ計上はされている物の、入金がまだ入っていない状態」なども把握することができます。
キャッシュフローを見ることはとても大事ですので、併せて決算書を確認
してみましょう。

投資キャッシュフローは、固定資産等の増減に伴う現金の収支をチェックする項目です。
有形固定資産(土地や建物)を取得した際には、「支払った額がマイナス計上」され、「売却した際にはプラス計上」となります。
業績が悪化してしまった際など、事業再編で資産売却が多い場合はプラスになります。
他には、「子会社取得の費用」もここに計上されます。

財務キャッシュフローは、社債や借入金等が多いとプラスになり、返済が進行している過程ではマイナスとなります。
有利子負債の項目でも記載してありますが
純利益の10倍以内であれば問題ないとされていますので、
財務CFがプラスというだけで「財務が悪い」という評価はできません。
また、みなさんが大好きな「配当金」の支払いも、この財務キャッシュフローの項目に計上されます。
他には、「自社株買いはマイナス計上」されます。

◆まとめ

四季報活用法については、私も様々なやり方を試してみました。
先ずは最も簡単な「付箋貼り」(2017年から)
       ↓
「付箋貼り」+「大きなメモ付箋貼り」
(2018年から)

       ↓
「付箋貼り」+「セグメント別項目コピー貼り」
(2020年から)

 今は付箋は使いませんし、コピー貼りもしていません。
セクター別ファイルに入力して保存」しています。
セクターは常にローテーションしますので、
「今はここが来ているな~」「次はここかな!」と思ったなら、
そのセクターの情報ファイルを開いて、「個別銘柄情報を確認」するようにしています。
しかし、オンライン版にはオンラインの良さが、紙面版には紙面版の良さやがあるので、使い易い方を選択すれば良いかと思います。
また、オンライン版+四季報プロ500(価格1500円)と組み合わせている人も多いようです。

会社四季報プロ500 2024年 夏号
Kindle版/紙面版共に定価1620円

◆最後に

やっていて良かったとずっと、今でも継続しているのが、
「セクター/テーマの記載」です😉
特にセクターが重複している企業も多くありますので、どのセクターに属し、そのセクターがセグメントのどの程度の割合なのかを把握するのは、
大事ではないでしょうか。

四季報が発売された時だけ、調べるのではなく、
「気になる銘柄」があった時には、直ぐに確認してみる~そんなスタンスで向き合うのが長続きのコツたと思います。
四季報を購入せずとも、中長期投資で大きな利益を得ている方は沢山いますし。

記載した内容については、個人的な考えや表現もあります。
あくまで私はこうしてきた、こうしているという事を書いているだけです。
私のやり方が正しいなんて思っていませんし、
まだまだ試行錯誤中です。

みなさんのやり方も知りたいと思っています。

◆質問と回答(前回記事の)

Q>個別の質問申し訳ありません。
四季報について。 
評価のコメントが最高益と連続増配、
ならばどちらを好みますか?
もしくはどのように評価しますか? 
どちらに興味深いが沸きますか? 
いまいち違いがわかりません。
なにかのコメント頂けるとありがたいです。

A>最高益と連続増配について
長期間にわたって「増配を続ける」のは簡単なことではない為、多くの方が注目している箇所だと思います。

個人的には「連続増配」では、継続年数を把握するようにしています。
「増配を続けている」と言う事は、長期的に業績を伸ばしていると判断することができますし、万が一何らかの理由により、一時的に業績が落ちたとしても、
しっかりと配当を出せるように「利益を蓄積させている優良企業」との判断ができるからです。
他に重要視しているのは、
「連続増配期間」だけでなく、「増配率や配当性向」も判断材料に加えています。
その理由は、連続増配期間が長くても増配率が極端に低い場合ですと、配当額が大幅に増える事は、あまり期待できないからです。

「最高益」について。(下記*参照)
多くの投資家が「連続増配」同様に、
「最高益」にも敏感なのですが、
「特別利益の計上」などで、一過性の利益で最高益となっても評価はされませんので、
「利益の内容」をしっかり把握することが重要になります。

*企業の業務内容に直接関係なく、特別に発生した金額的にも大きな利益、臨時的な利益、
該当の期にのみ限定して生じる一時的な利益、
所有する車両、建物等の固定資産を売却した時に生じた売却益や、投資目的で保有していた有価証券を売却した時の売却益、他には保険金を受け取った時に生じた利益等は「特別利益に分類」されることを覚えておくと良いでしょう。

新事業やテコ入れしたセグメントに起因しての「最高益」であるならば、それは好感しています。
したがって明確にどちらを評価するとの明確な回答はできないですが、
敢えて言うならば、同じような内容であった場合の選択肢としては、「得意分野」「得意なテーマ」に属している方を選ぶようにしています。

◆会社四季報関連サイト

☞1936年創刊の『会社四季報』 X公式アカウント

『会社四季報オンライン版』

四季報プロ
3800以上ある全ての上場銘柄から、有望な500銘柄を厳選。  

最後まで読んで下さりありがとうございます!
少しでも初心者さんの為になれば幸いです♡

気が付いた事、忘れている事があれば追記していきます。
お時間あれば下記「無料note」もご覧ください。
👇決算説明資料の読み方等について解りやすく纏めてあります。

イイネ&コメントは励みになります!

2024年6月15日(土曜日)

gordon_lapin🐰

◆初心者さん向け「学びシリーズ」


◆デイトレードを始めてみたい方向け

●基礎Tradeの勧め

●コツコツトレードの勧め

(有料版)


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