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アメリカの場合の就学相談

前回の軽度知的発達障害児が特別支援学校に居場所を見つけるまでの長すぎる軌跡-5-を読んだアメリカに住む友人が、アメリカの就学相談について教えてくれたので簡単にですが、紹介したいと思います。彼女は3人の子どもを育てる母親で、そのうちの一人に知的障害があります。日本で就学相談を受けしばらく日本に住んだあと渡米しているので、両方の就学支援を経験しているのでとても興味深いことがたくさん聞けました。

日本では顔の見えるやり取りがなく、さらにプロセスも見えなかったけれど、初めてで分からなくて流れに乗って順序踏んでた。

アメリカに来てから、心理士、OT、ST、などなど7人くらいの専門家による検査と、各専門家から担任や保護者への聞き取りやアセスメントと会議で決めていくプロセス経たら、日本でのあの就学相談は?って改めて思った。

アメリカでは誰が何の検査をしているかは明確だし、結果もシェアしてくれるし、やり取りはメール、電話、zoomだし、質問すれば答えてくれるし、結果に不満があれば一定の期間置けば再検査もできるし、メジャーじゃないけど特定の検査はしない選択をして、でも学校と話し合いで必要なサービスを受けている人もいる。

あの密室感、結果次第で怒った親が変な行動するのを防ぐためなのかなと言った差別意識が根底にあるのではとか考えてしまう。

日本より進んでるアメリカでもいろいろあるのが現実。修学支援のシステムは州ごと、地域によって差はある。 法律はあれど、こちらも教育弁護士を使わなくてはならずそれが出来る人と出来ない人とで差が出る。

ただ、特別支援PTAはしっかりしていて、何か問題があれば相談できるし、彼らから教育委員の上層部に圧力かけてもらえるし、教育委員会の上の方に自分たちで直接話して学校に連絡してもらったりもある。

娘は日本でIQが30台だったの。心理士に、言葉の遅れで低く出てるかもって言われたけどアメリカに来たら、 心理士「アメリカ初めてでほぼ日本語で育ってるのね。はい、では非言語の知能テストしますね!」 私「非言語?」 心理士「そう。移民してきた子も、アメリカ生まれでも外国語で育ってきた子も、話さないノンバーバルの子も、みんな言語能力によってIQが左右されないテストよ!」そして出た結果70だった。

日本では、指定された検査は基本的に受けなければならなかったと思います。その検査は受けませんと断る保護者はほとんどいないと思います。というのも、就学後特別支援学級の親同士の交流会の時に、WISCの話になり、みんな自分の子の数値を知っていたからです。

さらに、顔の見えない専門家による集団行動観察が行われ、そこの大体の構成員はなんとなくわかっても、ST(言語聴覚士)、OT(作業療法士)がいるのかの情報が親に共有されることはなく、その人たちから直接フィードバックをもらって、それに対して質問するということはできませんでした。

各専門家から担任や保護者へのヒアリングはもちろん日本ではありません。
専門家たちの話し合った内容を保護者に一方的に伝えるというものでした。

連絡手段に関しても、共働き人口が大半を占めるようになっているのに、Zoomなどのオンライン会議はおろか、メールも無かったことに今気づかされました。もっぱら電話か面談。記録として残る形のものでは結果を渡されることが無かったことに対して、何か不都合があったのかと思われても仕方がない方法をとっていると思いました。

と面談のみを連絡・伝達手段として使うのは時代錯誤甚だしくいつまでこのようなやり取りがなされるのだろうかと思ってしまいます。就学相談を受けたのはもう5年も前なので、記事は過去の記録をすべて遡って書いているのでメールでのやりとりが無かったのは事実であり、現状がどうなっているのかはわかりませんが、つい数か月前、教育委員会とやり取りしたときも電話と対面での面談で、この内容をメールで送っていただけますかと聞いたときやはりできないと言われたのを思い出しました。電話と面談でのやり取りは、気になった時にいつでも投げかけれるメールとは違って質問しにくい状況を作り出してさえいるようにも感じました。

就学相談を受けるほうが立場が弱く、専門家集団の方が強い立場にあるように日本の場合は感じました。どうすればこの子にとって最善の教育環境が与えらえるだろうかということを真剣に考えてくれるならば、もっと平等な立場で忌憚なく意見を交換できる環境が整備されると良いなと思います。

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