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デザイン・リサーチの報告〜Work From Homeについて思うこと〜

このnoteについて

この4月、社外のデザインリサーチ活動にプロボノ参加していました。
リサーチ活動を通じて、感じたこと、思ったこと、新たな発見があったので、noteにまとめてみます。

どんな活動だった?

プロジェクトの内容は、Work From Homeの状態を余儀なくされた、私達をふくむみんなが、どう感じ、どう行動しているか?を調査することでした。

本プロジェクトの目的は、人々の生活がCOVID-19によってどのように影響を受け、人々がそれにどう対処したかについての物語や洞察をまとめることによって、いくつかの新しい可能性を見つけ出すものです。そして見いだされた可能性は誰もが自由に利用できる形でWebサイトで公開したいと考えています。

プロジェクトの流れは以下のとおりで、ふだん僕たちのやるデザインプロジェクトと同じ、インタビュー〜インサイト抽出、着眼点の作成をおこないました。デザイン界から様々な人があつまり、 a〜fチームに分かれて活動を実施しました。

1. 概要説明
2. リサーチ手法に関するレクチャー(希望者のみ)
3. リサーチガイドラインの提供
4. リサーチ実施(2-3セッション)
5. リサーチ内容分析
6. インサイト抽出
7. 新しい可能性を見出す(HMW作成)
8. 取りまとめてWebサイトで公開

私はteam bとして参加しました。メンバーは私の他は、事業会社のデザイナーの方やHRの方、機械学習のエンジニアの方でした。
基本的にSlackを中心に、必要に応じてZoomやMiroを使いながら進めていきました。

なお、まとめは後日公開されるとのことなので、私はチームのこと、私自身のことを書こうと思います

リサーチ活動

まずチームでのリサーチ活動をはじめようとしました。
リサーチどうする?というところを決めるところから、本リサーチのテーマであるWork From Homeのお困りごとが出て来ました。

参加のメンバーのアクティブな時間帯が違って、時間を同期して集まることがそもそも困難かもしれない、という状況です。
思わずSlackで・・・

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こうして洞察されたのは、
・個々人の働き方の都合の違い(アクティビティの違い)
・家族との時間の区別
・コミュニケーションの同期・非同期使い分け
といったところでした。

ほかにも、リモートに抵抗や困難を示すメンバー、不慣れなリモート強制で心身の体調を崩すメンバーがいたりなど、リモートワークにおける高いレベルでのウェルビーイングをかなえるにはハード面の「制度」や「機器」の充実だけではない、ソフト面の課題解決が重要そうである、との認識をメンバー間で共有しました。

こういった洞察から、メンバーの知人という恣意的グルーピング・バイアスから離れて、多様性の理解と受容のプロセスが欠かせない、と考えた我々メンバーは、広くアンケートを募ることにしました。

世の中のリアルを探って(対象者を狭めず大きく聞く)、
そこからおもしろそうなところを深堀りし、
声を集めてから絞って行く。
結論、まとまらなかったー!でもよきかな、というスタンスです。

アンケート

アンケート項目は、GoogleDocsのアンケート機能をつかってリアルタイムにディスカッションしながらまとめました。

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アンケートは様々な役職・職業の方から回答いただくことができました。回答をいただいた皆様、ありがとうございました。
お陰様で、多様性の理解と受容という目的が達せられました。

アンケート結果より、約8割の人はCOVID-19による外出自粛要請を受け、在宅勤務を取り入れはじめたそうです。それ以前から取り入れている方の場合は、家族の都合や業務都合といった回答が得られました。
在宅勤務をして良かったことのトップは、通勤時間の減少。次いで、家事や家族との生活のバランス、業務パフォーマンスの向上、健康維持に関わることでした。
一方、在宅勤務をして気づいた懸念点には、コミュニケーション、パフォーマンス、自宅環境、情報漏洩、運動不足などが見られました。
「皆通勤は悪という概念を魂に刻み込んでいる」という感想もチーム内で出ました。

以下は回答の一例

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インタビュー

そのあと、アンケート対象の方のなかから、 Zoomでデプスインタビューを実施していきました。インタビューご協力ありがとうございました。

アンケート結果は一旦定量分析としてシートにまとめたうえで、インタビューについてはMiro上に付箋オブジェクトをつくってまとめていきました。
(この時点で、結構このプロセスは成功だったな、着眼点出せそうだな、と思っていました。)

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リサーチの分析

一旦、チームのエンジニアさんが考察をつくってくださっていたのですが、どうしてもエンジニアの方は、演繹・帰納的に「想定した結論にあてはめていく」アプローチから離れられない様子でした。
これはこれで必要だと思いつつ、最終的にHow might we〜?の着眼点をまとめることになっていたので、Miroに貼った付箋の内容を、親和図法でまとめる回が必要と感じました。いちおうそれを売り物にしている私が、ファシリテートを買って出ました。

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結果、それぞれが深い洞察に至ることができ、How might we〜?の候補をたくさん出すことができました。

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リフレクション

このリサーチ活動を通じて感じたことをいくつか書いていきます。

①距離感のコントロール

インサイト探索でわかったこと、それはよくリモートワークで語られる「コミュニケーション面で課題がある」というものの本質でした。
私達はふだん、リアルの場での「雰囲気」と呼ばれるものに、私達が思っているよりもすごく依存しているのだなということ。ツールを介しての文字・音声での伝達を超えた、非言語コミュニケーションの重要性と、非言語コミュニケーションのもたらす「心理的安全性」が、チームワークには重要なのであろうということでした。

それには3つほど要素があって、

「関係性の構築」
初対面のかたとの間でいきなり議題に入るのではなく、雑談やチェックインなどで、お互いの心理的距離を縮めることを最初に重点を置くことが重要に感じました。

「距離感のコントロール」
リアルの場では席順・序列や前後のやりとり等で可視化されていたヒエラルキーがいきなり見えなくなります。声をかけられてもいい雰囲気や、声をかけられたくな雰囲気をどのように作り出すか、も難しい問題です。
難しいことですが、心理的距離感を最初にどうとるか?でかなりそのチームのワークパフォーマンスに差が出るように感じました。チェックイン、これはやる、これはやらない、のルール化が大事な要素かと思います。

「プロトコルの共有」
その集団の決まりや、なんとなく皆が共有していたルールみたいなものも、大事な要素。オンラインで再構築していく、または新たな場ではまずそこの構築に主眼をおく必要があるのかなと感じました。

②働き方改革とはなんだったのか

コロナ禍以前は、働き方改革は「ワーク・ライフ・バランス」「リモートワークの活用による、ライフの充実」みたいなものがありました。
いざ在宅強制の世の中になり、強制的に改革されたのですが、そこで発生したのが、「ワークとライフの融合」「どうやっても働きすぎてしまう」ことでした。
そして、それすらも多様性として受け入れていく社会になる必要があると感じます。
自営業の方以外にも、サラリーマンにおいても。趣味のように仕事を楽しみたい価値観があることを考慮しながら、在宅勤務を楽しむ、ということができていくとよいのかなと感じました。
一方で、それらは人事・管理者の方からは、危険に見えると思います。これらをうまく解決できる方法があるとよいのですが。(Webタイムカードシステムではないことだけはたしかです)

③物理的距離、心理的距離

じつは物理的距離が規定していたコミュニケーションの量と質。それをオンラインによって飛び越えることができることができるようになり、目的や思いや行動を共にする「心理的に近い」方たちとコラボワークする機会が増えたように思います。これは、社外の関係においても同じなのだろうと思います。
心理的距離としては、オンラインミーティングのツールでの特徴として「反応を得られない」ことによる不安感や、もっというと一対他の「発表会スタイル」にならざるを得ないことは、対話の場づくりや演出においてかなり致命的だなと感じます。これらが解決されるような、仕組みを個人的には切望しています。

まとめ

このプロジェクトに参加したことで、リモートワークに対するインサイトの理解も深まり、また新たな仲間といえる方たちとも交流することができ、プロボノ活動ではありましたが、大変有意義な機会でありました。またこのチームbで活動したいなと思っています。


チームは同じではないですが、同じプロジェクトにいた方のnoteもありました。うんうんとうなずくことばかりでした。


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