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グッテnote就労  IBD就労イベントレポート「IBDとともに働き続けるコツ〜就職活動編〜」

みなさんこんにちは。グッテnote編集部サポートスタッフのランです。
毎日暑いですが、いかがお過ごしでしょうか。

さて、IBD(潰瘍性大腸炎・クローン病といった炎症性腸疾患)患者さんとそのご家族・パートナーの方のオンラインコミュニティ「Gコミュニティ」では、IBD患者さんの就労に関してイベントを開催しています。

今回は、2022年7月23日(土)14:00-16:00に行われた、田辺三菱製薬株式会社様とグッテ共催就労オンラインイベント「IBDとともに働き続けるコツ〜就職活動編〜」のご報告をいたします。

【イベント概要】

【参加人数】
〈パネルディスカッション〉
一般参加者の方:32名(スタッフ、登壇者除く)
〈交流会〉
一般参加者の方:4名(スタッフ、登壇者除く)

【開催形式】
オンライン (Zoom)

【内容】
IBD患者さん3名によるパネルディスカッション・参加者同士の交流会

まずイベントの最初に、Gコミュニティ内で事前にご協力をお願いした、就職活動・転職活動に関するアンケートの結果を共有させていただきました。
アンケートの結果は下記のnote記事でも公開しておりますので、ご興味ある方はご覧ください。


アンケート結果の共有後、登壇者3名の方のプロフィール紹介がありました。

今回の登壇者の方は、以下の三名でした。

きっしーさん(潰瘍性大腸炎・男性・医療業界営業職)
そういちろうさん(潰瘍性大腸炎・男性・公務員技術職)
のめさん (潰瘍性大腸炎・男性・通信業界営業職)

ファシリテーターは、今回も就労支援ネットワークONEの中金さんに務めていただきました。
スライドを使用して本日のテーマの説明と中金さんの自己紹介の後、パネルディスカッションとなりました。

【パネルディスカッション】


Q1:自己分析について取り組んだことや工夫、意識したこと
きっしーさん)自分にとって何が一番大切なのかなっていうところをベースにどういう仕事に就きたいかっていうことを考えて、
その中で自分がどういったことに強みがあって、どういうところが弱点か棚卸ししていった。
あとはそれに病気があることが他の方とは違うので、病気があることによって、
自分が望む仕事ができるかできないかも情報収集しながら活動していた。

そういちろうさん)自分のことは知っているようで知らない。
紙に書き出して、自分の強みや弱みを箇条書きにしたりした。
それまでの人生を思い返してどういったことをしてきたかっていうのを堀り下げながら考えないと、なかなか自己分析できなかったな、難しかったなっていう印象。
自分の弱みも言い方次第では強みを引き立てることができると思うので、
そういった作戦を立てながら就職活動に臨んだ。

のめさん)性格だったり今まで自分の行動を振り返って、紙に書いて自己分析した。
紙に書いて、いわゆるモチベーショングラフじゃないですけど、
こういう自分の分岐点ありましたよねっていうのは一通りやった。
あとは、自分の性格をことばにするのは意外に難しいので、面接で使いたいワードを紙に書き出していた。

Q.2:エントリーシートで持病のことを伝えたか
きっしーさん)エントリーシートの段階ではあまり病気のことを書く欄がなかったと記憶しているので、
その時点では潰瘍性大腸炎ということは書いてはない。
面接で体調について聞かれたら、病気のことを言うようにはしていた。
けど、それについて深く突っ込まれたりっていうことはあまりなかった。
後でばれて不利益を被るくらいなら、最初から言っておいた方がいいかなという思いだった。
説明としては、普通に病名と、ちょっと悪くなるときにはトイレの回数が多くなったり、という簡単な症状。
向こうからのリアクションとしても、「あ、そうですか」というかんじだった。
たぶん人事部の人も潰瘍性大腸炎についてあまりよく知らなかったのではないか。

のめさん)ESに持病を書く欄はないけれど、自分がこれまでしてきた活動の背景として、自分が患者だったと書いていた。
なので、行動背景として書くことはあった。
特段自分の中で、就職活動においては、病気のことは隠すことではなかったので、面接中に聞かれたら答えるといったような感じ。
自分が学生時代にやってきた体育会での活動だったり、
他の対外的な活動というところでも、今まで病気によって制限されたことがほぼなかったので、
「こういう病気を持ってましたけど、私これだけ活動してきましたよ」と、逆にそういう伝え方をした。

そういちろうさん)最初の新卒での就活では、「既往症」欄にはUCのことを書かなかった。
すごく悩んだが、何かしら不利になるかなってのはすごく怖くて、書けなかった。
どうしても就職したかったので。
なので1回目の就職のときは、正直隠して何も言わずに就職した。
で、転職の時は、バリバリ書いた(笑)。
「病気はあるけど、薬でコントロールできている。病気はあるけど、前の仕事ではちゃんと働いてきた」
ということをちゃんと伝えたら、そんなに深堀りされなかった。
発症してから学生時代は2年に1回は再燃していたが、新卒で就職してから6年間は入院していなかった。それが自信にはなった。
仕事的にもがんばってきたという自覚もあったので、
私を不採用にするならすればいい、くらいの気持ちで受けさせてもらった。

Q3:配慮を求めたことがあるか。求めたとしたら、誰にどう求めたのか。
きっしーさん)上長にはUCについて伝えているし、性格的に周りにも普通に開示している。
そんなに開示してることで弊害があるっていうことは全くない。むしろプラスに働いているかな。
トイレについては、会社にいればすぐトイレが近い状況なので特に問題ない。
仕事が営業で外回りなので、出先でもよおした時が一番困るが、
大体自分の中で営業するルートで、どこに行きやすいトイレがあるかは頭の中に入っているので、
そこのトイレをはしごする。

のめさん)今入社して4ヶ月目くらいだが、まだ上長には伝えていない。
人事には入社するときに一応面談で伝えてはいる。
そんなに仕事上支障がない。自己解決できる。
もちろん、もし今後症状がひどくなったら伝えようと思っている。

そういちろうさん)最初の職場では個別面談で病気のことを言った。
今のところは大丈夫だけれども、もしかしたら入院するかもしれないと伝えたら、配慮してくれた。
毎月の出張で行き先を近場にしてくれたりとか、
上司の方から体調はどうかという声かけをしてもらったり。
その時、周りに迷惑をかけないためにも伝えていることは大事かなと感じた。
また、転職した今の職場に偶然IBDの同僚がいた。
周りから大丈夫?と声をかけてくれるのがありがたい。
業務はきちんとみんなのためになることをして、お互いの理解を大事にしながら、
自分にできることをやっていこうと思っている。
トイレに関しては、朝お腹痛い事が多いので、
定時の一時間前には職場に着くようにして、職場で朝ごはんを食べている。同僚のIBDの方への配慮としては、入院などで休んでいる時はできる限り自分も仕事をカバーする。
あとは、調査などで車移動をするときは、トイレ休憩を取ったりといった気遣い。
症状も違うので必ずしも分かりあえるとは思っていないが、できる限りのことはしなきゃいけないかなと。

Q4:向いている職種について
きっしーさん)自分は製薬会社の営業で向いていると思っている。
仕事の内容としても、自分の裁量で一日のスケジュールを組み立てられるし、
通常の業務の中では自己判断でいけるので、トイレも好きなように自分のタイミングで行ける。
そういう意味で向いてる。
また、業種的にも周囲が病識が高い人が多く、非常にありがたい。
やっぱり入社したときは仕事がよくわからないのでストレスとかもあったと思うし、
結構昔は夜の会食とかも多かったりしたが、だんだん裁量という点は結構増えてくるので、
今は寛解状態でのびのび仕事をさせていただいてる。
病気であるということに関わらず、1日のスケジューリングをしっかりと組み立てておくことが大事では。
少しゆとりのあるようなかたちでスケジュールを組んでおけば、何かイレギュラーなことがあっても対応できる。
最初からアクセル全開でやると、必ず体が潰れるので、まあ8-9割くらいの気持ちでやればいいんじゃないかな。

のめさん)自分の会社の場合、今は対面での業務と在宅での業務がかなりボーダーフリーで、自由にやっていい。
基本的に営業活動はリモートでZoomを使っての商談というところが、もう9割以上になっているので、
特段外の環境に行かなければいけないということが今のところない。
リモートで商談ができる営業にどんどんシフトしていっているので、そういったところであまり不安はない。

そういちろうさん)自分は技術系の公務員でちょっとタイプが違う。
例えば2年に1回など異動はかなり多いので、経験上、公務員は仕事の面では大変ではないかと思う。
ただ、休みは取りやすい。福利厚生の面では安心感はある。

Q5:勉強と就活の両立、モチベーションや体調の維持について
きっしーさん)就職活動をする直前ぐらいに入院して、インターンに行けなくなったことがあった。
幸い単位の方はある程度しっかり取れていた。
やっぱり就職活動する時期に単位を残していると大変だと思うから、しっかり単位を取った中で就活に専念できるように。
また、まずは体調を整えることが一番大事。
自分も退院した後は、しっかりと体調をコントロールして就職活動に臨んだ。

のめさん)私は診断されたのが中学3年の12月末くらいで、入試直前で病気にかかってっていうところから
大学受験を1回失敗し、浪人してもう1回大学受験して、就職活動して、というような感じで今来ている。
試験だったり就職活動は、緊張が多分すごくたまるような場面だと思うので、下血が増えたりもした。
もう体調悪くなるのはしょうがない!という割り切りで臨むしかないと思っている。

そういちろうさん)大学生の時、研究室の先生には病気について伝えて、
就職活動できるよう、卒業論文作成をしやすいような態勢づくりをした。
モチベーションについては、1年間自己分析して、どうしてもやりたい仕事が見えたので、
ここに行きたいというそれだけの気持ちでなんとか乗り越えたかなと思う。

Q6:就活をするみなさんへのメッセージ
きっしーさん)どういう仕事を自分がしたいかをまずはしっかりと軸として持ちながら、
ただ、入りたい会社の社風がどういうものかわからないので、知り合いや大学のOBやOGなど
勤めてる方から話を聞いて、入社してからのギャップをなくすのも大切なのではないかと思う。

のめさん)潰瘍性大腸炎になって9年ぐらいだが、今の社会はダイバーシティのような、病気の人もみんなが認められるような社会に向かっている。
あまり塞ぎ込まずに、自分の病気があるからっていうふうに選択肢を狭めるのではなく、
意外とこれをやってみたいというような思いがあるのであれば、
多少病気があるっていう心配はありつつも、飛び込んでみてはいいんじゃないか。
病気に捕らわれすぎないようにするのもいいのでは。

そういちろうさん)IBDでも症状は色々なので一概には言えないが、
個人的には何をしたいかっていうのを決めることが大事じゃないかなと思う。
好きな、好きになれる仕事でないと続かないので。
好奇心を持って、自己分析をして、自分って何なのかをしっかりと見つめて、
時には人から聞いてみたりして、やりたい仕事を見つけてもらえればと思う。


★私もパネルディスカッションを視聴していましたが、とても聞きごたえのある内容でした!
自己分析の大切さを3名とも仰っていたのが印象的でした。
ついつい、私もそうですが、持病があると「何ができるか、しやすいか」を考えてしまいがちかと思います。
でも、まずは自分が「何をしたいか」をしっかり考えることが一番大切なのかもしれませんね。
その上で、したいことの実現可能性を高めるために、
情報を収集したり作戦を立てたり行動するといいのかな、と個人的には思いました。
私も自己分析しよう…。

【交流会】


交流会では、登壇者の方にもご参加いただき、2グループに分かれてお話しました。
質問内容としては、以下のようなものがありました。
・どんな興味があって参加されたのか。
・異動の頻度
・行きたい業界や業種があるが、ハードワークだと聞く。病気と両立しやすいところのがいいのか悩む。
・病気の開示/非開示…開示するタイミングは?

交流会にご参加いただいた方から、
「少人数のグループだったので、深い話が聞けて満足だった」
「人数が少なくて話しやすかった。ほかの患者との相互のやり取りができるのもよかった」

といったご感想もいただきました。

交流会では、登壇者の方に直接質問できるのに加えて、
他の参加者の方ともざっくばらんにお話ができるところが良さなのかなと思います。
今回は少人数だったこともあり、皆さんのお声をじっくりと聞くことができました。
ご興味ある方は、ぜひご参加ください~。


さて、ここからは交流会で学生さんたちの悩みや質問を聞いていたおせっかいオバちゃん・ランの個人的な感想なのですが。

新卒就活に臨む方たちのお話を聞きながら、病気のない学生さんたちだってストレスのかかる就職活動なので、
IBDの方たちは病気の心配もあるし、余計大変なんだろうな…とひしひしと伝わってきました。
学生さんたちは治療をしながら学業や就職活動も行って、もう十分頑張っていると思います!
だから、少しリラックスしながらマイペースでやっていってほしいな、と思いました。
IBDの患者さんは、まじめで頑張り屋さんが多い印象なので~。

自分として一生懸命やったのなら、最終的にはきっとなんとかなる。
たとえ第一志望の企業じゃなくったって、大丈夫、ちゃんと生きていけるよ。
転職だって普通の今、そうやってキャリアを築いていく人もいっぱいいる。

そんな事も、交流会で一緒のグループになった登壇者の方ともお話しさせていただきました。
参加者のみなさんが納得いく未来をつかめますように!

登壇者・参加者の皆さん、お忙しい中どうもありがとうございました^^

私たちグッテも、みんなの不安が軽減し、楽しく前向きに歩んでいけるようなイベントをこれからも企画していきたいなと思った、今回の就労イベントでした。