PR視点のイッポテマエ〜PR業界を志す学生とPRの見えない壁に絶望してしまうかもしれない3年目までの若い希望たちへの手紙〜
prologue.PRに希望を抱く、すべての若い希望たちへ
この時期になるとOB訪問が増えていて、毎年可能な限り10人弱くらいは、お受けしています。
僕自身、大学以来で初めてPR業界に就職した人間らしく、OBOG訪問ができず、情報武装ができないまま、就活で知り合ったいわゆる上位校のみなさんが、イケてる先輩方かた聞いた、情報のおこぼれに預かるというなんとも社会の縮図的な、就活をしてきた人間でございました。
そんな苦い記憶もあり、極力いろんな学生さんの力にもなりたくて、直接会って話をするようにしています。
ただ、僕の場合は、新卒で大手広告代理店や大手PR会社に入れなかった、いわゆる就活劣等生です。いろんな企業を転々としながら、得た経験や考えたことをベースに、なるべくリアルにPRと向き合いことの意味を伝えています。
学生たちの多くは、こんな僕のことを“辛辣”と評し、「他の先輩たちの夢見がちな就職像を打ち砕いてくれた」と言ってくれる反面、「自分のやりたいことはPR会社にはない」と路線変更をする若者たちにも多々出会ってきました。
だからこそ、しっかりとPRを仕事にしていきたい。そして、PRという仕事を突き詰めてみたいと思ってもらえるように、ここに普段話していることの要点を書いてみたいと思います。
そして、これは、就活生だけではなく、若手と呼ばれる人たちにも参考になればと思っています。僕自身、常に迷い、悩み、PRという仕事から距離を置いたり、視点を変えたりしながら、やっとPRという仕事の価値と意義を自分なりに見えてきたからです。
正直、自分のキャリアや生き方なんて、誰かに相談するのは、本当に勇気がいることです。本音でそれが話せる人がいれば、“真の根明”であり、人生あんまり悩まないのではないかと嫉妬するレベルです。
ただ、そんな強い人ばかりではないはずだから、ここで一通の手紙を書きます。このブログが誰かのgoodstoryにつながることを信じて。
episode01.学生の多くが言う“価値を社会に伝える仕事がしたい”が迎える末路
多くの学生さんに会うと、必ず口にするワードが、“価値を社会に伝える仕事がしたい”という言葉です。
御多分に洩れず、僕もその言葉を発していた学生の一人でした。
PRの仕事をはじめて約13年。
ここで言えることは、“伝えた先をどうしたいか?”の視点を追求する覚悟があるか?。そして、そのためなら、“なんでもやる”覚悟があるか?と言うことです。
これまで多くのPR会社やPRに関わる人と出会ってきましたが、PR業界から去っていく大体の理由が“PRの仕事では何も変えられない”という、ある意味の諦めであり、ある意味での真実でした。
でも、ここでいう、彼らのいう“PR”は、あくまでもパブリシティを獲得するという仕事を指しています。
つまるところ、パブリシティの獲得だけでは人が動かない、そして、クライアントの課題解決に繋がらないということに気がついた人たちほど、この業界に見切りをつけて、後にしていきました。
では、どうすればいいのか?
その答えは、とてもシンプルなことです。
経営や事業を成長させる、課題を解決するためにPRをどのように活用するのか?を考え続けること。
そして、実践を継続しながら、自分の中の引き出しを増やしていくしかないということです。
ちょっとまとめると、“価値を社会に伝える仕事がしたい”が迎える末路は、諦めることではなく、企業や事業、プロダクトの設計に対して、PR視点で、コンテキストを組み込み、イシューを内在させる仕事ができるようになるということです。でも、それって“PR会社の仕事で身につくものなのか?”という問いが生まれてきます。ここで考えるべきは、自分がどうありたいか、です。
episode02.PRの仕事がしたいのか?PR会社の仕事がしたいのか?
学生たちに「他の会社の先輩たちは、PRの仕事をどんな風に説明してくれた?」と聞くと、「芸能人と記者発表会やったり、プレスリリース書いたり、メディアの人に会いに行く仕事」と答えます。最近だと「SNSでバズらせる」っていうのも仕事として説明している方もいらっしゃるそうです。
PR会社の仕事という意味で、ある種、正しいのですが、その仕事の意義ってなんだっけ?という部分を、多くの会社の人たちが理解せずに仕事をしているのではないか、とも思ってしまいます。
僕はここで、選択すべき2つの道があると思っています。
1つは、PR会社の仕事がしたいのか、
それとも、PRの仕事がしたいのか、
という道です。
前者のPR会社の仕事がしてみたいのであれば、大手のPR会社に入社することができれば、大きなクライアント、大きなプロジェクトに関わることができます。そして、前述したような仕事を基本的にはルーティンで繰り返していくことになります。ここを楽しみたいという人にはうってつけの環境が揃っていると言っても過言ではありません。
ただ、後者のPRの仕事がしたいという人にとってみては、物足りなくなる時期が必ずきます。
そして、自分の存在価値でさえ、疑い始める人さえ出てきます。
そんな人たちこそ、より経営の視点、事業の視点、プロダクトの視点を得る必要があります。
その理由は、PR会社の仕事では、”経営や事業、プロダクトのリアル”を感じることができないからです。
基本的には、広報部が窓口となり、会社内の情報や意志を取りまとめてくれます。
でも、それって、広報部のみなさんが一次的に編集してくれた情報を取り扱ってくれている状況です。
つまるところ、生々しい事情が排除されてい、経営や事業成長について、考える機会が損なわれているとも言えます。
一方で、マーケティング部が窓口となり、売るためにはどうすればいいか、
という視点でPRを考えて行ける状況は、ゴールが明確なため、まだそのリアルに触れられる環境だと思います。
ただ、ここで気をつけないといけないのは、PRを手段と考えることで、本来的なPRの意義を軽視してしまうこと。
なぜなら、PRは、合意形成であり、参画をしてもらうための体験の設計であり、提供のプロセスです。だからこそ、ベースには社会と人間、メディアのリテラシーを身につけていることが必要不可欠です。そのためには、学び続けることが求められるのですが、それはコチラのブログにて。
episode03.経営や事業の苦悩が少しでも伝わる場所へ
「学生のうちから学んでおいた方が良いことや読んでおいた方良い本ってありますか?」
という質問をいただくのですが、可能であれば、企業の規模は問わず、
“経営や事業のリアルを感じられる場所”に身を置くことができればベストだと思います。
“経営や事業のリアルを感じられる場所”というのは、一つ一つの言動や行動が、どのように事業活動につながっているのかが見える場所であり、自覚できる環境です。
その感覚を一度でも体験しておくと、たとえPRの仕事でなくとも、「自分がなぜ働くのか?」の意義と意味が見えてくるので、仕事への充実感が変わるはずです。
そして、それは若いPR会社の人たちも同様のことが言えます。
もしも、PR会社での仕事に迷ったり、意義や意味が見出せなくなったら、
ボランティアでもなんでも良いので、“経営や事業のリアルを感じられる場所”との関わりを持ってください。
きっと、そこで自分たちがそれまでに取り組んできた仕事の意味や意義を見つけられるはず。
結論何が言いたいかというと、
「自分たちがなんのために働くのか?の意味と意義を知ること」となる、
基本的なマインドセットを作ってみることがオススメだということです。
ちなみに本を読んでも良いですが、頭でっかちになるので、できれば就職してからの方が良いと思います。あくまでも、業界の空気を知るっていう程度にとどめておくと、より就職してからの学びが多いはずです。
epilogue.それでもPR業界を目指す、すベての人たちへ
最後に大事なことを書きますが、PRパーソンにおいて、メディアリテラシーは基本スペックです。
それは、なぜかというと、大きな社会の合意形成を得るためには、メディアのみなさんの参画が必要不可欠だからです。そして、そのためには、メディアの方と会話すること、考え方を理解することは避けては通れないのです。
正直、メディアリレーション活動をできる人たちのことを心から尊敬しています。僕が考えるメディアリレーションが得意で、メディアの方々に好かれる人たちって、ホットリーディングができて、なおかつコミュニケーションスキルのある、まさにヒューマンスキルが高い人たちだと思います。
僕は、どうしてもそのあたりの力が弱く、“企画屋”という方向に逃げています。
つまるところ、メディアリレーションを本当に得意として、なおかつ企画もできる人こそ、日本国内において最強のPRパーソンなのかもしれません。
だって、ヒューマンスキルの高い人たちは、いろんな人たちとリレーションシップを築けて、協力してもらう力を持っているはずだから。
本当に大事なことは、“人”を理解する力であり、“人”に協力してもらう力です。どんなに発想が豊かでも、どんなに文章力が豊かでも、“人”を動かすことができない人がPRを名乗るのはイケてない行為だと思っています。
だからこそ、ヒューマンスキルを身につけること、これが本当に身につけて欲しい力なのかもしれません。なぜなら、すべての企業活動のゴールは、最終的に人が動かなければ成し得ないからです。
とかとか偉そうに書いていますが、ぶっちゃけ僕にはない力なので、嫉妬であり、あくまでも一意見として、受け止めてください。
このブログが、これからの若い希望に、そして消えてしまいそうな希望に少しでも、明かりを灯せると嬉しいです。
いつかどこかで、あなたのストーリーを聞かせてください。
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