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PR視点の危機管理〜スタートアップ企業が知っておくべき、危機管理広報の一歩前のキホン〜


prologue.はじめに

さて、突然ではありますが、みなさん、危機管理広報の準備はできていますか?
危機管理広報が大切と言われますが、実際に何からはじめて良いか、わかりませんよね。

実は、僕、あまり発信していないのですが、社会人のスタートは、危機管理広報を強みとしてる会社でした。(その分野のプロたちを目の当たりにしてるので、烏滸がまして言えなかったんすよね...)
その会社で、約3年半ほど、クライシス対応やメディアトレーニングの仕事にみっちりと取り組んで、”守りの感覚”を身につけたのでした。独立した今も、クライアントの危機案件の対応やそもそも危機が発生しないようなリスクヘッジができるようになったのも、この時の基本があったからです。

これまで多くのスタートアップ企業の経営者やPRパーソンたちとお会いしてきましたが、あまり危機管理広報に関しての知見や意識を持っている方は少ないように感じています。また、意外と危機が発生した後のことを発信している人は多いのですが、その前段階のステップを発信している人が少ない印象を持っています。(たしかに実際の対応の方が、みんな欲しいナレッジなので!)

今回のnoteを書こうと思ったのは、危機管理広報という得体のしれない、恐ろしいイメージのある言葉に実体を持たせ、最低限の備え方をみなさんにお伝えしたいと考えたからです。特にスタートアップ企業は、急速な成長を目指すことから、さまざまな視点での危機が潜んでいます。ただ、事前に対応方法を意識しておくだけで、気がかりなことが可視化されるだけで、事業成長にアクセルを踏むことができるはず。

実際問題、危機を発生させないことが最大の危機管理広報だったりするのです。そのために「転ばぬ先の杖」を用意したいと思いました。

このnoteが、誰かのgoodstoryにつながることを信じて。


episode01.【基本のキ】危機には2種類があるという事実

危機管理広報の「危機」という言葉には、実は2つの種類が存在しています。それは「リスク」「クライシス」です。

「リスク」とは・・・一言でいうと「顕在化していないもの」
ただちに、会社を危機的な状況に追い込む事象ではないが、顕在化すれば、会社を危機的な状況に追い込む事象のことを指します。


「クライシス」とは・・・一言でいうと「顕在化しているもの」
顕在化することで、ただちに会社を深刻な状況に追い込む事象のことを指します。早急な対応を行い、ダメージを最小限に抑えることが必要です。

ということで、この二つの違いを理解しているだけで、最低限、備えておくべきことが理解できます。


episode02.【基本のホ】リスクとクライシスを見える化する

「危機」という言葉の種類を理解したら、あとは備えるべき事項を見える化します。
なぜ、見える化する必要があるかというと、「起こるとわかっていることを把握しておくだけで、初動に違いが出る」からです。
 危機管理広報のクライシス時は、初動の判断と対応の速さが、受けるダメージに大きな違いを生み出します。
 サッカーのDFで例えると、相手選手のクセや動きを知っておくことで、対処することは相当楽になりますよね?それと同様に、まずは、どんなことが発生するのか?を把握しておきましょう。

やるべき順番は、下記の通りです。
まずは、書き出して、整理していきましょう。

<リスクを見える化する基本Step>
1.自社の事業継続に対して、深刻なダメージを負う事象はなにか?

2.その事象は、どんなことから派生するか?

3.1と2に対してが発生した場合の対応はどのようなことが考えられるか?

書き出してくださいと言っても、考えてみると、意外とさまざまな切り口があることに気が付きますよね?
では、一緒に視点を整理してみましょう。


episode03.【基本のン】成長フェーズによってリスク要件は変化する

スタートアップ企業は、事業規模が大きくなっていくため、フェーズによって、危機要件は刻一刻と変化していきます。そのため、フェーズが変化するたびに、episode02の事項を見直してみましょう。
項目としては、大きく分けて、下記が考えられます。

○プロダクト/サービス的リスク・・・
プロダクトに関わるリスクです。
 例)プロダクトの不具合、顧客クレーム、法令等のルール変更等
○人的リスク・・・
経営メンバー、社員など、自社を運営するヒトに関わるリスクです。
 例)犯罪や離職時のトラブル、コンプライアンス違反等
○財務的リスク・・・
PLに関わるリスクです。
 例)資金ショート、調達時の機密事項の漏洩等

事業によって、こればかりではありませんし、すべての要因が複合的に絡み合って起きることが多いのですが、それぞれどこが一番のトリガーになるのかを整理しておく必要があります。
SNSの普及による人類総情報発信社会だからこそ、意外と大きな危機につながる可能性があります。
見落としがちな視点なので、慎重にチェックしてみてください。

冒頭にも書いたとおり、危機が起きない組織を作ること。それが一番の危機管理です。ですが、起きた時に、素早く対応すること。「速さ」と「正確さ」こそ、初動でもっとも大切になるので、その視点を養うためにも、常日頃から意識してみることが勘所を養うために必要な心がけになります。


episode03.他社の振り見て、我が振りに備えてみる

 さて、キホンで見える化をしましたが、実際の対応をどうすれば良いのよ?という声をあげたくなるかもしれません。
 みなさん、大丈夫です。こんなことをいうのはアレですが、他社がすでに似たようなリスクやクライシスに対応しています。そして、ありがたいことに、記者会見は、すべてYouTubeで公開されている時代です。その一問一答を見ながら、さらにSNSの反応やメディアの反応をチェックしましょう。
 何が成功で、何が失敗か?を思いめぐらせてください。
 さぁ、あなたが対応する時、自分だったら、どのように状況を整理して、どのような対応をするのか、イメージができてくるはずです。
 見えないものをみるときは、見えているものを見て、頭の中にイメージするのがもっとも確実な方法です。ぜひ、日常からアンテナを張って、引き出しを増やしてみてくださいね。


epilogue.“見える化”すれば、“知っている”に変わり、不安は小さくできる

 整理していくと意外とあぁ、こんなことも危機につながるのね、と気がつくかもしれません。危機時に、PRパーソンに求められるのは、Publicの視点から、そして、コミュニケーションの視点から、どのように事態を最小限のダメージで食い止めるか?の対応力です。
 初動をどのようにするか?を意識できているだけで、思考の深さや考えるスタート地点は大きく異なってきます。
 でも、実際に危機を経験していないと、ずっと不安になりますよね。特にtoC企業であればあるほど、生活者の日常を侵害する可能性があり、コミュニケーションの重要性がグッと高まります。もしも、不安であれば、危機管理広報のプロフェッショナルと連携して、マニュアルを作成したり、メディアトレーニングをするのも一つの手段です。
 ご相談いただければ、そもそもそれらを取り組むべきフェーズか否か、のお話ができるとかと思います。
 ただ、一番大切なのは、わからないものをわからないもののままにしないこと。すべての定義を見える化することです。
 PRパーソンたるもの、一つひとつの定義を明確にしていきたいですね。
 このnoteが誰かのgoodstoryにつながることを信じて。
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【ご参考】
僕がリスペクトしている危機管理広報のプロフェッショナル

僕がリスペクトしているのは、こちらの方々です!

1.株式会社エイレックス
僕が新卒からお世話になった会社です。
代表の江良さん、平野さん、畑山さんが危機管理のプロフェッショナルです。2010年には、危機管理広報で初めて日本PR大賞PRアワードグランプリを受賞した実績があります。

2.ピーアール・ジャパン株式会社
独立してから、お仕事をご一緒させていただいたプロフェッショナル!
代表の中村さんは、もともと産経新聞の記者をなさっていた方で、メディア視点からの対応はもちろんのこと、豊富な危機対応実績があります。


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ヤマダヤスヒロ
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