井原 琢麻

自転車家。自転車のスピード感に魅せられ、高校・大学とトラック競技に没頭。2006年サイ…

井原 琢麻

自転車家。自転車のスピード感に魅せられ、高校・大学とトラック競技に没頭。2006年サイクルショップ「goodspeed井原自転車店」を開業。ロード、トラックのみならずMTBやシクロクロス、グラベル、ブルベなどへも独自の理論を応用し省エネ走法から高速走行まで実践テクニックを伝授。

最近の記事

アルミのTopstone

今までTopstone Carbonについて熱く語ってきましたが、今回はあえての入門機「Topstone アルミ」の価値についてお話しします。 まず購入に至った背景 昨今の自転車の進化は目まぐるしく、油圧ブレーキや電動シフト、カーボンホイールにチューブレスタイヤ、エアロハンドルなど高価なパーツを一般ユーザーも使うようになってきました。 その分、自転車の値段は高くなり全部盛りすると100万円に迫り、ずいぶん高額な趣味になってきています。 ほんの10年前は…ロードバイク始めるなら

    • 子猫が来た

      グッドスピードに子猫がやってきたのは8月18日の夕方のこと。この日は翌日のシマノ鈴鹿に遠征する準備と平常営業で頭も身体もまったく余裕のない日の夕方。20時30分の出発に向けて忘れ物がないように集中していた最中にスタッフ飯田が「子猫がいた」と抱いて戻ってきたのです。 なんでも道路の脇にちょこんと座っていたとのこと。それは…保護するしかないな。と思いながらもタイミングの悪さに怒りを感じる。とりあえず出発したら土日は面倒見れないので、隣のHY CYCLE上川さんに押し付けてなんとか

      • 【ここが違う!】cannondaleのエアロコクピット

         エアロコクピットが各メーカーから発表され、最近では珍しくなくなっています。その構造はメーカーごとにさまざまですが、cervelo S5のような特殊な場合を除いて、どうやら一つのパターンに収束されつつあります。 上側のベアリングを大径化して内側にブレーキホース(シフトケーブルも)を通す方法です。 そんな中、cannondaleのステアリングはちょっと違います。ブレーキホースをヘッドベアリングの前に通しているのです。 この方法によりヘッドベアリングを1.5インチに大径化す

        • TOYO FRAMEの誘惑

          TOYO FRAME 今、本物のクロモリを知っている人はどれくらいいるだろうか… クロモリは古い?骨董趣味としてではなく、今の流行りと水準と技術で最高の自転車をクロモリで作ることができるとしたら乗ってみたくないですか?それはカーボンより優れているのか? ロードレーサーに乗り始めた1990年頃、流通していたフレームはほとんどクロモリ。または安いハイテンションスチール。フレームにはパイプのブランドを示す「TANGE」「COLUMBUS」などのステッカーが貼られており、使われてい

        アルミのTopstone

          【15周年】グッドスピード井原自転車店

          12月15日はグッドスピード井原自転車店の開業記念日です。 2006年12月15日に西条下見にわずか13坪の敷地でOPENした自転車屋ですが、みなさまの支えのお陰で15周年を迎えることができました。 心より御礼申し上げます。 今でもOPEN当初のことはよく覚えています。最初のお客様は一般車の後輪のタイヤ交換。外装変速機つき。スポーツバイク用のワークスタンドに一般車を載せるとあっという間にバランスを崩して倒れそうになり、店内でひとり焦ったことを覚えています。それから1年く

          【15周年】グッドスピード井原自転車店

          Dream-Seekerと今中大介

          2021年10月13日夜 長野県富士見町の山荘にオリンピック4回出場の山本幸平とDream-Seekerの新エース北林力選手と弟の仁選手。それから日本人で初めてTOUR DE FRANCEを走った今中大介が集いました。 山本幸平が長年選手を続けるにあたって目標にしていた世界ランキング10位以上(ヒトケタ)には11位を最高に達成することはできませんでした。彼はその目標、あるいはそれ以上の目標を次世代の選手に託して、次のステージに突入していきます。 多くの選手は引退と同時に第二の

          Dream-Seekerと今中大介

          プロショップが持ち込みを嫌がるワケ

          今どき、インターネットを使えばいろいろな情報が手に入り、海外の機材もわりと簡単に手に入るようなりました。買うだけでなく個人でも出品することができるようになりとても便利です。 そんな時代だからこそ、われわれ店舗型のプロショップは重要な役割を担って、なくてはならない存在だと考えています。その理由をいくつかご紹介しますのでインターネットで買い物をする際の注意点やプロショップと付き合うメリットを理解した上で、安心・安全なサイクリングライフを送って頂ければと思います。 まず大前提に

          プロショップが持ち込みを嫌がるワケ

          2021年の自転車選び(秋)

          前回「2021年の自転車の選び」について書きましたが、9/1を境に未確定だった部分が晴れてきましたので改めて投稿したいと思います。 内容は前回同様、今自転車を買おうとしている方へ向け、自転車業界がどう変わったか、またスペック・相場などお伝えし、間違いない自転車選びの参考になればと思います。 まずは2021年9月1日。何があったかと言うと・・・ 新型DURA-ACE、ULTEGRA発表! 今年私たちが待っていた情報はこれです。シマノが今後どの方向にコンポーネントを作って

          2021年の自転車選び(秋)

          2021年の自転車選び

          今まさに自転車を買おうとしている方へ、現状の自転車業界(特に販売店)がどのような状況におかれているか、またはどの自転車をどのように買うべきか。書いてみたいと思います。自転車選びの参考になれば幸いです。 書きたいことは2つ ①いつ自転車を買うべきか ②どんな自転車を選ぶべきか 日本にある在庫はどんどん減っていますあたたかくなり、「今年こそ自転車はじめよう!」という時期ではありますが、今年の自転車の動向は例年とは違います。本来なら4月~5月にかけて、カタログにある自転車は

          2021年の自転車選び

          TIME Alpe d'Huez

          フランスTIME社のフラッグシップモデル「アルプ・デュエズ」をご紹介します。 アルプ・デュエズ(ラルプ・デュエズ)と言えばツール・ド・フランスの名所の一つ。難関山岳区間として知られています。この区間で調子を落とす選手もいれば名前を残す選手もいる。そんな峠の名前が付けられたこのバイクはもちろん最高のヒルクライムバイクです。 1990年から自転車を趣味としている人にはTIMEは特別な存在かもしれません。インターネットがなかった当時は自転車の情報はCycle Sports誌しかなか

          TIME Alpe d'Huez

          campagnolo EKAR 1×13speed

          2020年秋、カンパニョーロが13速を投入しました。MTBやグラベルロードの世界では1×(フロントシングル)が当たり前になっており、このエカルもグラベルロード用という位置付けで発売されたコンポーネントです。 30年以上前からシマノ社とカンパニョーロ社はコンポーネントの主導権を争い、お互い切磋琢磨して開発を進めて来ました。決定打はいくつかありますが1991年、シマノがデュアルコントロールレバー(手元シフト)を発売したのを機に世界のコンポーネント勢力図は一気にシマノに塗り替えられ

          campagnolo EKAR 1×13speed

          cannondale Scalpelの日

          2020年11月1日 京都府和束町で行われましたCoupe du japon湯船MTB国際に参加してきました。 ここ最近のMTBイベントと言えば、昨年の松野四万十バイクレース、泥んこ忘年会くらいでどちらかと言えばエンデューロ的な大会ばかりでしたが、今回はクロスカントリーレースに出てみました。 MTBのカテゴリーはよく知りませんが、OPENの部にエントリー。どうやらCJ-U男女チャレンジというグループと混走になるようです。 夜の間に広島を出て当日朝、会場の湯船に到着。さっそく

          cannondale Scalpelの日

          祝)TOUR DE FRANCE 初優勝!

          今年のTOUR DE FRANCEはCOLNAGOの逆転勝利。 海外の自転車選手の名前はなかなか覚えられないので・・・いつも自転車メーカーで追いかけていますが、ここ数年TREK、SPECIALIZED、PINARELLOが圧倒的でCOLNAGO好きの自分はツール・ド・フランスから気持ちが遠のいていました。今年はSPECIALIZEDの新型(TARMAC SL7)やcannondaleの活躍を見ておかなくてはいけないのでリザルトだけは毎朝ネットでチェックしていました。 する

          祝)TOUR DE FRANCE 初優勝!

          新型SPECIALIZED S-WORKS TARMAC SL7を暴く

          先日7/29に発表されたばかりの新型TARMAC。このバイクの価値を考えてみました。 このバイクは発表前から「VENGEのエアロ性能と旧TARMACの乗りやすさを兼ね備えた次世代レーサーバイク」とし期待され、それを裏切ることなく、まさしく史上最高のロードバイクとしてパッケージ化され登場しました。 ロードバイクの大きな転換期は今までいくつか経験してきましたが、ここ1~2年はまさにの数少ない転換期の1つだと言えます。何が変わったか?それはブレーキです。ディスクブレーキがロードバ

          新型SPECIALIZED S-WORKS TARMAC SL7を暴く

          【連載】cannondale Topstone Carbonについて語ろう vol.4.2

          次はバイクパッキングについて書くなど、呑気なことを言っている間に衝撃的なバイクが発売されました。「Topstone Carbon Lefty」つまりサスペンションフォーク「Lefty」を搭載したモデルの登場です。サスペンションロードのオンロード性能の検証について、やり残したことを少し追加しておきたいと思います。 LeftyとSLATELeftyとはcannondale独自のサスペンションフォークのことです。左側だけの片持ち倒立構造は他に例がなく、重量・剛性・路面追従性におい

          【連載】cannondale Topstone Carbonについて語ろう vol.4.2

          新型cannondale Scalpelについて語ろう vol.1

          2020年5月21日 クロスカントリーレーサーの最高傑作「スカルペル」が新しくなりました。ワークスチームは軽量なリジッドバイク「F-Si」とリアサスペンションを備える「スカルペル」をコースによって使い分けるようなのですが…どうもスカルペルばかり使っているような気がします。クロスカントリーのコースがどんどん過激になっているからでしょうか。 ストーリースカルペルの登場は約20年前。シートチューブの上端にダンパーを備えハンガーからリアハブの間にはピボットが存在しないという衝撃的な

          新型cannondale Scalpelについて語ろう vol.1