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今週のグッドデザインを紹介します(9/30 〜10/4)

今日は、 9月最終週〜10月1週(9/30〜10/4)のとれたてグッドデザイン5点をまとめてご紹介します!



9/30 子ども見守りGPSサービス[BoTトーク]

親子の安心安全をサポートする、「トークのできる」見守りGPSサービス。自宅や学校、習い事などのよく行く場所、行動範囲などを学習するAIを搭載。SNS、動画やゲーム等の機能はないため、安心して学校に持たせることができる。

BoTトーク

受賞者によるデザイン紹介
BoTトークは「AIが子供に付き添い、見守る」ことをコンセプトに開発された子供見守りGPSサービスである。小型端末を持ち歩くだけで、クラウドGPSを基にAIが子供の足取りを学習し保護者に通知する「位置情報見守り機能」や、親子間で音声メッセージを無制限に送りあえる「トーク機能」によって、親子の日常の安心安全をサポートする。

審査委員からのコメント
見守りGPSサービスは一般化してきたが、AIを活用した見守り機能と、音声メッセージを無制限に送りあえるトーク機能を加えることにより、携帯電話を持たせるにはまだ早い児童の見守りニーズに的確に応えた点が高く評価された。画面がなくLEDの点滅に絞ったUIとそれによる長時間のバッテリーライフの実現というプロダクト面、シンプルで機能を絞ったアプリ面の双方が評価された。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/18842

10/1 複合施設[iti SETOUCHI]

街と接する一階部分のみを改修し、屋内に公園のような半屋外の空間を創出。「部分的改修・スピード再生」という再活用の新しい在り方。

iti SETOUCHI

受賞者によるデザイン紹介
廃業した百貨店の改修。多くの地方都市に共通する駅前の巨大な空き家に対する解決策の一つのモデル。全面改修ではなく、グラウンドレベルのみのリノベーション。オフィスやマーケット、フードビレッジなどの多様なコンテンツの配置と空間の50%以上をパブリックスペースとし多種多様な人々が出会い、新しい価値を生み出す場所のデザイン。

審査委員からのコメント
百貨店の廃業は日本全国どの地域でも大きな課題になっている。駅前の好立地に立つ大きな建物から賑わいがなくなることは地域の衰退を象徴するかのようで、良いことは一つもない。一方でどの地域でもその再活用方法にこれといった答えを見出せないでいる。そんな中、このプロジェクトがその突破口となる可能性を秘めていることを大きく評価した。ポイントは、欲張らずに1階だけ使うこと・最小限かつ効果的なスケルトンの変更・商業に頼らないプログラムの三つだ。まずは7年間という期限付きとのことだが、ここから街にどんな活動の芽が生まれるか、大きな期待を持って応援したい。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/20470

10/2 ポータブルシアターシステム[HT-AX7]

ケーブルやコンセントがなく、家中どこでも“持ち運べる”シアターシステム。手軽に3Dサラウンド空間が楽しめる。パッケージ、スピーカー本体にも再生ファブリックや再生プラスチックを採用。

HT-AX7

受賞者によるデザイン紹介
家中に“持ち運べる”シアターシステム。3つのワイヤレススピーカーを置けば、そこがホームシアターのような立体音響の空間に。いつものスマートフォンやタブレットでの映像/音楽鑑賞を臨場感あふれるサウンドで楽しめます。動画配信の2chの音を立体音響に変換できる他、多様な人に使いやすい操作性、環境への配慮にも注力しました。

審査委員からのコメント
これほどまで手軽に、ストレスなく立体音響空間を実現してくれるものはこれまでなかった。まず、一見小さなインテリア小物のような佇まいから想像出来ない迫力あるサウンドを響かせるのだが、本体から充電されたワイヤレス・リアスピーカーを持ち上げ、自分の背後左右に置いた瞬間、本格的なホームシアターのような立体音響空間に包み込まれる。ワイヤレススピーカーとして不可欠な充電という行為を、非常に巧みに、必然的にデザインしている事が、この立体音響体験をより気軽で身近なものとしている。力業ではなく軽やかに、必然的に導き出されるようにUXを実現した素晴らしいプロダクトである。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/15819

10/3 電気機関車[交通部臺灣鐵路管理局 電気機関車 E500]

モジュール構造のプラットフォームによって、カスタマイズしやすく、メンテナンスも容易な機関車の製造を実現。現地の美学専門家と協働して、地域になじみ愛されるフォルムやカラーを選定している。

電気機関車 E500

受賞者によるデザイン紹介
台湾全土で運用され様々な既存車両と接続できる旅客/貨物兼用の電気機関車。モジュールデザインにより保守性とカスタマイズ性を向上させ、エンジニアと運用者の共創により、運用に寄り添った機関車の提供を可能とした。30年以上を想定する長期の運用のなかで、さりげなく風景に溶け込んでいくような合理性の中にある美しさの表出を目指した。

審査委員からのコメント
モジュール構造の機関車プラットフォームを開発することにより、地域にあわせたカスタマイズ性と、30年以上にわたる長期運用を想定したメンテナンス性の両立を実現したことを高く評価した。車両の印象を決める先頭部形状は、独立した構造となっており、乗員の安全を確保すると共に、用途に応じた柔軟な変更が可能となっている。また、本車両が運用される台湾の美学専門家と協力して、地域になじみ愛されるデザインを創出するに至ったプロセスも高く評価したい。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/18004

10/4 創業支援・移住促進施設[SCOP TOYAMA(富山県創業支援センター/創業移住促進住宅)]

高校教員と生徒が描いた構想をもとに、創業や移住のための支援施設として改修。地域に開かれ、まちの「これから」を築くプロジェクト。

SCOP TOYAMA(富山県創業支援センター/創業移住促進住宅)

受賞者によるデザイン紹介
築50年の旧県職員住宅3棟を創業や移住のための支援施設に改修した。多様なスタイルのオフィスや店舗、シェアハウスを含む住宅などから構成される。縦割り構造の既存建物(階段室型住棟、並行配置)に対して横断的な空間を挿入・付加することで、団地全体を職住一体の有機的な環境として再生した。

審査委員からのコメント
旧県職員住宅を創業や移住支援の施設に改修したきっかけは、地元高校生が全国競技会で提案したリノベーション構想案であった。子供の叫び声に耳を傾けない親などいないように、未来ある若者が訴える課題解決のアイディアを地域の大人たちが真剣に受け止めたことからこのプロジェクトがスタートした。富山の中心市街地には家族のような地域の絆がいまも存在しているのであろう。綿密に計画されたアウトプットの質もさることながら、高校生のビジョンを実現するというこの大胆なデザインプロセスを最大限に評価したい。応募者自身も訴えている。デザインとは、若い世代が地域に誇りを持ち、地域社会に継続的に関わる契機であると。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/16785

この連載では、グッドデザイン賞インスタグラムで毎日1点ずつアップしている受賞作品をまとめています。
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