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グッドデザイン賞の「“審査の視点”トークセッション」とは?

グッドデザイン賞では毎年、すべての審査が終了した後の10〜11月に、担当審査委員が何を考え、どんなポイントを重視して審査したのかを解説する「審査の視点トークセッション」を実施しています。

2022年度は、カテゴリーごとに20のユニットに分かれて審査を行い、その後、ユニット別に審査委員が集まって、オンラインでのトークイベントを開催しました。

具体的には、主にそのユニットから選出されたグッドデザイン・ベスト100受賞作を中心に、デザインの背景やストーリーを読み解きながら、「評価のポイント」と「今年の潮流」について話し合ってもらいます。

この記事では、審査委員のみなさんが実際にどんなことを語っているのかについて、参考例として、2022年度審査ユニット19(地域の取り組み・活動)トークセッションの冒頭部分をお伝えします。

もっと続きを見たい方は、このユニット19をはじめ、全セッションをグッドデザイン賞のYouTubeチャンネルで公開していますので、ぜひご覧ください!

2022年度グッドデザイン賞審査の視点[Unit19 - 地域の取り組み・活動]
担当審査委員:
岩佐 十良さん(クリエイティブディレクター/編集者)*ユニットリーダー
飯石 藍さん(都市デザイナー)
田中 元子さん(グランドレベルデザイナー)
水口 克夫さん(アートディレクター)
山阪 佳彦さん(クリエイティブディレクター)

ユニットでの審査について

岩佐:グッドデザイン賞のサイトに掲載されているユニットの審査総評には、熱意・継続・発明と書きました。

今年度は、応募者のみなさんが熱意を持って継続した結果ひらめいた、“発明”と呼べるものが非常に多かったのが印象的です。本当に、今後の社会を大きく変える可能性のあるものが、たくさんありました。

人は大人になると、問題に直面したとき、もうダメなのではないか、難しいのではないかと弱気になってしまったり、社会状況のせいにしてしまったりすることがあると思います。

ですが、今回の応募作を見ると、熱意を持って続けていけば、必ず状況を打破する力が生まれるということに気付かされ、励まされ、勇気づけられた思いがしました。

ユニット19リーダー岩佐さんの審査総評

受賞作の紹介

地域の魅力を発信する市民PRチーム [いこまち宣伝部]

いこまち宣伝部

田中:このデザインの受賞者は奈良県生駒市で、行政からの応募でした。
街の情報を有機的に共有していくしくみとして、市民の中から毎年10人前後を生駒市の宣伝部に迎えて、住民自身に魅力を発掘してもらう取り組みです。
開始から8年間続いていて、一年で部活への参加は終わるのですが、終了後もみなさんが生駒市に関わって、OB・OGでカメラ部を立ち上げたり、多様な活動につながっていくしくみにもなっています。
行政自身が手探りで多くの時間をかけて取り組んだことも大きなポイントであると思っています。

番組コンテンツ [ローカルフレンズ滞在記]

ローカルフレンズ滞在記

飯石:NHK札幌放送局から応募されたコンテンツです。
いま、各地域の情報発信としてローカルメディアが沸々と湧いてきている状況ではありますが、この取り組みはマスメディアのチャレンジでした。
地域の案内役としてローカルフレンズという役割を募集して、そこに集まった方とディレクターが一ヶ月その地に滞在し、生活を共にして、街の暮らしや、住む人たち、そして地域の魅力を引き上げていくという番組の作り方をしています。
これは、マスメディアのあり方そのものを問い直すようなプロジェクトになっていると思います。誰もが知っているNHKというメディアが、地域の細やかな部分に目を配って足を運んで一緒に体験をし、コンテンツを作るというところまで踏み込んだことがすごく示唆的でした。

Paw Wurf Music Festival [A Music Festival Project that Rocks the Animal Protection Education for the 23 Million]

A Music Festival Project that Rocks the Animal Protection Education for the 23 Million

山阪:台湾の高雄市が、動物と市民との関係をリデザインできないかと考え、その一環として、動物の保護施設でミュージックフェスティバルを開催しました。施設の中でイベントを行うことで、たくさんの人が動物保護の実態を知り、実際にどのような動物が保護されているということを認識しました。それにより、動物を預かりたいという人が増えたり、企業が活動に協力し始めたりと、フェスティバルがきっかけになって、動物保護の運動が台湾中に広がっているということです。行政の活動によって、社会に大きなうねりが巻き起こったというところにポイントがあると感じています。

地域再生のための活動 [BEPPU PROJECT]

BEPPU PROJECT

岩佐:これまでにみなさんが紹介してくれたデザインは、問題を解決することに前向きであるという特徴があると思います。このBEPPU PROJECTも、ポジティブな活動をずっと続けてきたというところがすばらしいポイントです。
BEPPU PROJECTは、2009年から別府市でアートを中心にした活動を行っています。これまでは、行政がレールを敷いて、民間が乗っかる、というまちづくりの形態が多かったのですが、別府では、民間から発生したものが、政策にまで影響を与えています。これは公民連携、官民連携の仕方として最も理想的なあり方なのではないかと思います。
民間が長く続けて市民のみなさんが理解を示しているものに対して、公や官が後押しし、協働して実施していくという姿は、これからの地域づくりにとって、非常に重要なことなのではないかと感じました。

地域で子ども達の成長を支える活動 [まほうのだがしやチロル堂]

まほうのだがしやチロル堂

水口:この取り組みは、このユニットの審査委員の5人全員がファンになりました。それぐらいキュンとする事例です。孤独を抱えている子どもたちを支える放課後ケアの活動は全国にあるのですが、それに携わっていた人たちが限界を感じてはじめたものです。
自分の家庭環境を他の人に知られたくないという子どもたちにとって、放課後ケアには参加しづらいという状況があり、どうしたら気軽に参加できるのかを考えた結果が駄菓子屋でした。
駄菓子屋という昔からあるコミュニケーションの場の価値をあらためて見出し、子どもたちに自然な形で集ってもらうことに成功しています。
また、入店時に100円でガチャガチャをするとチロル札という通貨が出てきます。子どもたちは、その札を使って駄菓子を買ったり食事をしたりすることができて、後ろめたい気持ちを持たずに放課後を過ごせるのです。そのしくみを支えているのは実は大人たちで、駄菓子屋は夜には居酒屋になり、飲食をした分が子どもたちへの寄付になっています。大人たちの消費が子どもたちに還元されるという新しい価値の循環をつくった点が重要です。
早くも第二の店舗が石川県金沢市にできたのですが、そうやってどんどん真似して広げていけるようなしくみを作ったというところもすばらしい事例だと思っています。

*続きは以下の動画からご覧ください!

*過去3年のレポートもnoteで掲載しています。