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ちびたの本棚 読書記録「死が最後にやってくる」アガサ・クリスティー

イギリス人が一人も出てこないクリスティーの作品。古代エジプトが舞台だ。
馴染みのないエジプトなので、取っ付きにくくて読むのを後回しにしていたが、読み始めた途端に物語に引き込まれた。

裕福な墓守の一族に、ある日を境に一人また一人と家族が殺されるという事件が起こる。家族は皆、次は誰の番かと怯え疑心暗鬼になっていく。犠牲者が増えるに従い、全てを知っていると思い込んでいる家族の内面を、実は何も理解していないことに気付く。
そうそう、その人の心の内は他の人には分からないのがあたりまえ。その人の性格や考え方を何もかも知っている、と自分が思い込んでいるだけなのだ。

祖母のエサと家長の右腕のホリ。感情をあらわにする登場人物が多い中、この二人の冷静で知的な判断が際立っている。

とにかく登場人物が短い名前で書かれていて、するすると読みやすい。イギリス人の場合だと、ファーストネームに加えて、〇〇夫人、〇〇侯爵、〇〇夫妻のように書かれる場合があり、え、誰だっけ?と何度も人物紹介のページをめくることがある。その度に物語の世界から引き戻されて、なかなか捗らないのだ。

この作品のいくつかのレビューでは、犯人がすぐに分かった!と書かれていたけれど、わたしは最後の最後まで分からなかった💦

また、ラストで主人公のレニセンブが迷いに迷って夫に選んだ相手にホッとした。うん、あちらの彼より、こちらの彼の方が良いに決まってる!


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