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キム・ジュレ
2022年8月8日 15:10
四月九日 『アーッ アーッ アーッ』窓を見たその光景が、何時もよりも高くから眺めている事にも気がつかない程、ボーッとしていた。『何、ボーッと外眺めてんだよ』こいつは横室岸弥。日ノ出学園の二年生で、俺の同級生。幼稚園からのくされ縁で、その頃から玩具のギターを弄って遊んでいた。そうして気がつけば、中学、高校といつも一緒だ。だが、いつも一緒にいた俺と違うモノが岸弥にはあった。それ
2022年8月20日 18:47
四月二十八日 それから暫く経ち、東のしたけを感じる頃、俺とYは、それぞれギターバッグを肩に背負い、学校へと向かっていた。その時の会話で『始まっちゃえば、あっと言う間だよなぁ~』なんて、Yが言うのも無理もなく、始業してから二週間が経っていた。『しっかし、何時からかマリーはその髪型だよなぁ…。その髪型、いつかやめるの?』『うるせぇな。Yだってそのツンツンとした髪型、変わってないだろ。…
2022年8月28日 22:45
五月二日待ちに待ったゴールデンウィーク。遮光カーテンから日射しが差しこみ、俺の顔を直接照らした。その眩しさに、俺は目を覚ました。学校が休みであるほど、ガバッと勢いよく身体を起こせる。早く起きれた。しかし、そう思っていたのだが、目覚まし時計を手に取ると、既に九時を回っていた。『…寝すぎた…』そう思い、くしゃくしゃに乱れた髪を整えに階段を下りた。『麻利央?ご飯出来てるわよ?食べ
2022年8月29日 17:57
五月八日 ゴールデンウィークもいつの間にか終わってしまった。そんな休み明けの学校初日の朝を迎えるが、中々身体を起こすことが出来ない。所謂五月病だ。そう自覚をした俺は、無理矢理にも身体を起こして、髪をセットし、朝食を済ませて、鞄を玄関まで持っていき、靴紐をきつく縛った。『いってきまぁす』の声と同時に、扉の取手に手を掛け、外に出た。暖かい日差しと、涼しい風が折り合い、心地がよく、一つ思いき
2022年8月29日 17:59
五月二十一日 それから二週間が経った。学校に着いた俺は、自分の机の上に鞄を置き、窓を眺めた。枝葉が小さく茶色が目立っていたその窓の向こうは、今日は青々としていて、風に乗って左右に踊っている。一日経ったのにも関わらず、まだ高揚が沈まっていないのに、この時やっと気が付いた。『マリー!ギター置きに行こうぜ!』と、Yは俺の肩を一つ叩いて手招きした。俺はそれに頷いて教室を出ていった