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冷笑大国日本は何処へ向かうのか。

本日は日本に溢れかえるシニシズムについて書いていきたいと思います。

聞き馴染みのない単語も多く出てくると思いますが、可能な範囲で噛み砕いて書いています。

簡略化する事で説明不足になる部分もあると思いますがご了承下さい。

シニシズム
ギリシア哲学のキュニコス派の立場。 また社会の道徳や規範など、すべてのものごとを冷笑的にながめる見方、態度。 犬儒主義。 冷笑主義。

まずは簡単に用語の説明ですが。

キュニコス派の考え方


人生の目的とは自然に与えられたものだけで満足して生きることにあると定めている。

理性的生物として、厳格な鍛錬を積んだり、富・権力・名声といった従来のあらゆる欲求を放棄して自分達にとって自然な暮らし方をすることで、人々は幸せを得ることが出来ると考える一派。

キュニコス派の生活
キュニコス派は派手な装飾品や家を持たず、路上生活を行っていた。生活は主に説話や説法を行い食べ物を分け与えて貰い、従来の常識では恥と捉えられる行為も躊躇なく行っていました。

そのライフスタイルこそが理性があるからこそ生まれる苦しみや、葛藤から自信を切り離すとされていました。

シニシズムに関しては東洋哲学でも老荘思想も近しいものを持っており、批判的な立場から幸福を再定義するという形では差し当たりなく納得出来るものかと思われます(極端ですが)。

ただ現在ではこういったシニシズム的態度が徐々に広まっていることが一つ問題であると思います。

権力や名声、またそれを得ようと努力する企業や個人に対しても、時折シニカルな批判を目にする機会があります。

例としては現政治に対する批判、高級車や高級品に対する批判。居住地区など、価値があるものに対して、実際は〇〇の様な批判的な意見が多く出ていると思います。

ブランド品?ただの布でしょ(笑)

こんなこと溢れているのではないでしょうか。

シニシズムのポジティブ/ネガティブ

・ポジティブ

本来のシニシズムとはあくまで人々の生活を変えるためのポジティブな側面を持っていました。
キュニコス派は古代ギリシャの上昇志向ムードの中で、それだけが幸せなのかと自身の生き方を通して人々に説いていました。

そこには並々ならぬ信念があり、路上生活など客観的には苦しい中でも明るく、そして聡明に過ごす事で街ゆく人々の意識を少しずつ変えていくことが出来ました。

それは極端な方法ではありましたが、過度な上昇志向のストッパーとしてとても有意義な活動だったと現在も評価されています。

・ネガティブ

そして現代はネガティブなシニシズムが蔓延しています。原因は様々あるとは言われていますが幾つか挙げると

①長きに渡る経済の停滞
②自己無力感
③長期的な視点の欠如
④信頼関係の希薄化

これらが挙げられています。

①では現代では努力した所でリターンが少ないと思わざるを得ない局面に遭遇する事が多々あります。昔の様に働けば働くだけ給料が貰えた時代とは違い、働きすぎることはコスパを下げるといった考え方も多く見られます。

②は①と近いものがありますが、ネットの普及によりコミュニティーが爆発的に拡大したことにより1人の影響力が相対的に下がりました。なので何を言っても誰にも届かないと考えてしまう人も多いようです。またこれがSNSにおける誹謗中傷に逆転的に作用してしまっています。

③は両親や親族などロールモデルの不在によって自身の将来像が描けなくなっている事が起因しています。メディアで見る成功者は現実離れしており参考にはならず、身近な存在が少なくなっています。

④は接触機会の減少や損失回避などの心理的な作用から、人と深く関わることは損であるといった風潮が広まっています。浅く広く繋がる事は身軽な一方で、信頼を希薄化させる原因にもなっています。

実際に生活意識調査「MINDVOICE®」の合計46.369サンプルの統計結果でも日本人は

社会とは一定距離を置き、刹那的に生きる方が良いと価値観が変化しています。

ネガティブなシニシズムのこれから

ネガティブなシニシズムは最悪な結果をもたらすと危機を訴えている学者も多く存在します。

それはシニシズムは時としてファシズムへと変化する可能性が論じられているからです。

ファシズムは反体制、反ユダヤ、反共など否定の形を持ってしかその主張が表現されていません。

ただ否定の力というのはとても強いもので、否定は誰でも行うことが出来ます。

何もかも信用ならないのであれば何もかも壊れて仕舞えばいいとさえ思えてしまう意識を持ってしまう可能性があります。

まさか、企業や権力者を陰で笑って馬鹿にしてるだけでそんな、、、(笑)

と思うかも知れませんが、実際に批判を毎日何万回と何人もが繰り広げた結果、国政に関しては期待できる政党はあるでしょうか?

また、どの商品もどのサービスも揚げ足を取り続けた結果、日本の企業は今世界と戦えているのでしょうか?

日本の医療は教育はその機能を正しく保てているのでしょうか?

素人の言う芯を食った発言というものは、刹那的な盛り上がりのためにしかなっていない様に感じます。

正しいかも知れないが必要ではない批判というものも多くあるのではないでしょうか?

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