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妖の唄

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呪符師『麒麟』の不思議なオムニバス形式の物語。 過去作3つありますが、こんな世界観で遊んでくれる方募集。 スピンオフも大歓迎✨ なんなら妖しいお話でもありあり(笑) 『タイト…
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妖の唄ーエゴの果てにーその弐【スズムラ氏コラボ】

妖の唄ーエゴの果てにーその弐【スズムラ氏コラボ】

『西條邸』
立派な日本家屋。
余程の商才か、『ゆり』の力か。
門を潜るや否や、怒号が響いた。
「みなみ!今まで何処へ行ってた!ゆりはお前が居ないと言うことを聞かんのだぞ!!ん、誰だ?その男は」
拓磨が捲し立てて来るのをしり目に、
「奥の部屋に居るんだね?」
拓磨を無視してみなみに聞く麒麟。
「うん」
無視されたことに更に激高する拓磨。
「みなみ!ちょっと来い!」
かなりの勢いで娘の腕を掴み、引っ張

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妖の唄ーエゴの果てにー【スズムラ氏コラボ】

妖の唄ーエゴの果てにー【スズムラ氏コラボ】

「助けてください……」
ようやっと探し当てた喜びとそれまでの疲労が溜まりに溜まって、掠れた声で助けを求めて来たこの娘はとある地方に財を築いた『西條家』の娘、『西條みなみ』高校生だ。
「おやおや、随分と遠くからお越しのようで」
麒麟は街中での占い師スタイルよろしく、小さいテーブルを出して、腰掛けて言った。
「どちらでわたしのことを?」
「座敷わらし様から」
「おやおや、懐かしい名前だねぇ、『ゆりちゃ

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妖の唄ー源さんのおでんー

妖の唄ー源さんのおでんー

或る夜の麒麟。

またおでんが恋しくなって『闘魂』に足が向いた。
屋台の明かりが既に温かさを演出しているのがたまらない。

「やあ、ごしゅ……」
暖簾をくぐって主人に声をかけようとした麒麟は言葉を続けることを止めてしまうくらい面食らってしまった。
『よお、麒麟ちゃん』
源さんが『闘魂』の屋台に立っていた。
「どうしたんだい!?源さん」
『いやね、実はーー』

源さんがひとりで『闘魂』に呑みに来たあ

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妖の唄ー凛、麒麟の家へ行くの巻ー

妖の唄ー凛、麒麟の家へ行くの巻ー

ちょいと飲みすぎたな。
源さんと嬉しくなって『闘魂』でやり過ぎてしまった。

面白い『妖』にも会えたし。

ーーん?やれやれ。

玄関に張った結界に触れたヤツが居るのだが、昨日の『凛』の気配だった。

玄関ドアを開ける。

「凛、何やってんだ?お前は」
『あ、あの……つい、匂いを追いかけて来てしまって』
「昨日飲んでた酒の匂いか」
『は、はい……』
「飯でも食ってけよ」
『ええっ!?』
「まぁ、入

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妖の唄ー幸せを奪う神様その弐ー

妖の唄ー幸せを奪う神様その弐ー

『オラが憑いているだけでオラの異能は無差別に発動する。オラが意図的に不幸を呼ぶことは出来ねぇ』
「ん、聞いたことあるよ」
『その母子には申し訳ないんだが、その大変な暮らしをしている母子達の『幸せ』ってのは何なのか知りたくなってな』
「源さんが憑いてることで、その母子から何が消えていくのか知りたくなったわけか」
『そう、話が早いなぁ、麒麟ちゃん』
源さんは日本酒をチビリと口へ。
『憑いて歩いてたら、

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妖の唄ー幸せを奪う神様ー

妖の唄ー幸せを奪う神様ー

『なぁ、聞いてくれよー麒麟ちゃん』
麒麟、行きつけの屋台おでん『闘魂』でみすぼらしい爺さんが縋るように話を始める。
「はいはい、わかりましたよ……」
少々酒が回っていて軽い泣き上戸であるのか、爺さんは涙ぐみながら話す。
『色んなところを渡り歩いて決めたことがあってなーー』

このみすぼらしい爺さんの俗称は『貧乏神』
住み着いた所から金や幸せを奪い、不幸を置いていく。
人々から忌み嫌われた神様だ。

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妖の唄ー宴の後にー【スズムラ氏コラボ】

妖の唄ー宴の後にー【スズムラ氏コラボ】

「コン、飲み過ぎだ」
「何を言う?わらわには宵の口じゃよ?」
滔々と舞い降りてくる雪。
「まったく、幼女の姿で酒をがぶ飲みっていうそのギャップが……」
「萌えるじゃろ?」

静かな雪の夜に野暮な声。
「おー、楽しそうだねぇ……」

下賎の妖が絡んできた。
「去ね。わらわはこやつと呑んでおる」
「言うこと聞いた方がいいですよ??この方、こんな形してますけも古代の大妖ですからねぇ」
コンより妖力が放た

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