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野球の育成年代における飛距離を出すために影響する打撃能力とは

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こんにちは!
株式会社Noble Actionです!

弊社は、野球の測定をしながら、大学の教授のご指導の下、データを分析し論文を投稿しております。
その中で、皆様に参考になる内容を提供していきたいと考えております。

難しい理論などは極力避けて、分かりやすさをモットーとしています。
内容に興味を持っていただけましたら、ぜひともご購読よろしくお願いいたします。




要旨


 小学生から高校生までの育成年代における野球選手を対象に、打撃能力と飛距離との関係について明らかにすることを本研究の目的とした。
 その結果、小学生では打球角度によって飛距離を出すことが明らかになった。高校生では打球速度や打球角度を打ち分けることで効果的に打撃をしていることが明らかになった。
 小学生は打球角度と上げることで飛距離を出しているものと考えられ、身体の成長とともに打球速度が向上していくことで、打球角度を調整しながら飛距離を伸ばす、または長打を狙うような打撃をしていることが考えられた。
 BMIの体型との関係から、中学生以降では筋肉量の増加やスイング技術の向上によりバット速度や打球速度につながり、長打につながるものと考えられた。
 以上のことから、年代別での打撃特性が明らかになったことで、より長打や出塁につながる打撃への指導についての知見が得られたのではないかと考えられた。



はじめに


 野球における指導は新しい研究などによる時代の変化によって大きく変容してきている。打撃については、「上から叩くように打つ」というようなダウンスイングを強調する指導がされたり、下からアッパースイングを行いフライのボールを打つなどの指導などがされたりと様々である。

 また、バットやボールなどの道具の変化やデータを収集するための精密機器などが開発されるなど、野球における多くの研究がされているが、指導者の経験によって指導されている背景なども存在している現実もある。


 現在のメジャーリーグでは、投球や打撃のトラッキングデータの収集や分析のため、全球場にトラックマンが設置され、ラプソードが全球団に導入されている。
 トラッキングデータとは、投球の変化量や速度、軌道など、主に投球の質に関する詳細なデータを示すものである。
 その機器として、日本においてもトラックマンラプソードが導入され、選手の能力の測定や球速などをはじめ変化球の変化量や打球速度などの収集にも生かされている。
 しかしながら、高価な機器のため高校までの学校やチームなどの導入は難しい問題となっており、選手が自らの能力を知る機会はまだまだ少ない状況である。


 そんな中、メジャーリーグでは、フライボール革命(fly ball revolution)と呼ばれる革命が起こり、飛距離には、打撃能力における打球速度と打球角度が強く関係されるとされ、その中でも、近年のフライボール革命とは、打球角度の重要性が挙げられ、2017年の本塁打の増加についても、飛距離の増加には打球角度の増加が報告されている。


 このフライボール革命の背景には、バレルゾーンと呼ばれる打球速度と打球角度の組み合わせで構成されるゾーンがあり、そのゾーンに入った打球は打率5割、長打率1.500以上とされている。

 このバレルゾーンはプロ野球でも注目され広まってきている。バレルゾーンは打球速度が158km/hから出現し、その時の打球角度は26~30°とされており、初速度が大きく、上向きに約30°で発射された打球が最も飛距離が出ることが示されている。
 この打球速度が速くなることで打球角度の範囲が広がり、打球速度が170km/hになると、おおよそ打球角度は18.5~38.5°に広がると考えられている。このように長打を打つためには打球速度の向上についても重要とされている。

図1 バレルゾーン


 しかしながら、フライボール革命やバレルゾーンといった知識や情報は小学生や高校生までの育成年代において広く浸透しているとはいえず、現場の指導者のかつての経験などをもとにした指導を行っているケースも少なくない。

 先述のバレルゾーンにおける打球速度に到達している高校生もわずかな選手しかいないことから、打球角度を意識することで長打につなげられるものと推察される。
 長打率とチームの総得点との間には強い正の相関関係があることも報告されており、長打はチームにとっても重要な要素である。
 しかしながら、これらの打球角度などについての検討は少なく、この知見を得ることや実際の打撃能力を知ることは選手の能力の把握につながり、より長打を打つために必要な打撃動作やトレーニングなどに活かせるのではないかと考えられる。


 そこで本研究では、小学生から高校生までの野球選手における打撃能力について着目し、飛距離に及ぼす影響について検討を行い、育成年代への打撃指導につながる資料を得ることを目的とした。

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