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【映画感想】 『ルックバック』〜忘れられない傑作

『ルックバック』 原作:藤本タツキ、監督:押山清高

俺たちの新宿バルト9で観賞。

描き続ける。

 この世で最も面白い漫画のひとつ『チェンソーマン』を描いている藤本タツキ先生の短編漫画を、58分の中編アニメ映画化。
 
 学級新聞の4コマ漫画の連載を任されている小学4年生の女の子は、絵が上手いとクラスの人気者だった。しかし、ある号から隣に並んで掲載されるようになった不登校の生徒が描いた4コマの画力は、彼女を上回っているように見えた。小学校の中で自分が一番だと天狗だった彼女は大ショックを受ける。 
 不登校の生徒の4コマをライバル視した彼女は絵が上手くなるために、ひたすら描き続ける。
 そして卒業式の日、彼女は教師から不登校の生徒の家に卒業証書を持っていくよう頼まれる…

幅広い「創作」についての映画

 原作はいわゆる「漫画家漫画」の一種であり、漫画を描くこと、そして絵を描くことを題材にしている。しかし、ひたすらの鍛錬/作品を完成させること/他の作品から影響を受ける/自分の作品が知らない誰かに影響を与える、ということがメインテーマになっている。絵や漫画に限らない、あらゆる創作に当てはまる広い射程を持っている。

 原作同士で比較すると、『チェンソーマン』の方が作品の力は圧倒している。私も原作の発表当時にマンガアプリで読んだが、記憶が薄れかけていた。 
 しかし、アニメ映画版の今作では、劇中で描かれる漫画がシームレスでアニメーションする他のアニメでは見たことがない美しい演出と、絵を描く二人と映画館の中で同じ時間を過ごすことで、感情移入度合いが数倍に増幅され、忘れられない傑作になった。クリストファー・ノーランを超えている。

 素晴らしい場面は無数にあるが、二人が最初に出会う場面、主人公が、自分の描いていた作品が他人に強い影響を与えていたのだと知る場面が最も感動的。

絶対に映画館で観た方がいい傑作映画です。

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