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ジャック・ダニエルに溺れて

琥珀色の誘惑は瓶の中
何もない夜を鮮やかに
忘れたい夜を賑やかに
溺れたい夜の慰めに

ボトルの中で炭酸が笑う
琥珀と混ざり黄金となっても
匂い立つ酒精と共に
どうしようもない夜を笑ってくれる

たまにはいいだろう
酔ってばかりの人生だ
今日ぐらいはいいだろう
自分にではなく酒に酔っても

喉が燃える
肺腑が燃える
思考が燃える
どうにもならない夜が燃えていく

飲み込まれる
足が着いた現実が
足の着かない酩酊に
ベッドの上から流されていく

ああ、贅沢な夜だ
山のようにある考え事を投げ出して
なんて贅沢な夜だ
長い夜を一瞬で使い果たして

沢山は飲まないさ
私は弱いから
癖になる前に止めよう
私は弱いから

琥珀色の誘惑を振り切って
炭酸と笑う黄金に背を向ける
まだ、依って存える程ではない
また、酔って永らえた例もない

それでもきっと戻るのだろう
何もかも上手くいかない夜に
酒に笑って笑われに
愛しいジャック・ダニエルに溺れるために

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