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ライター・作家 権藤将輝(ゴンドーマサキ)
2019年8月31日 09:36
幼い頃によく聴いた歌は、どうして、いつまでも離れてくれないのだろう。メロディーは一音も飛ばず、フレーズは一言一句ただしく浮かび上がってくる。私は今年で50歳。中には45年ほど前に耳にしたはずであろう童謡さえ、この有り様だ。歌とは、記憶の再現装置として、写真に次いで有能だと私は考えている。いや、現実をありのままに映した写真より、想像を働かせる余白が広い分、ときに歌のほうが記憶を自由自在に呼び