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マイクロマネジメントの自己診断方法について

業務効率を下げる原因の一つとしてマイクロマネジメントが挙げられることがあります。ウィキペディアによると、「マイクロマネジメントを行う管理者は、業務のあらゆる手順を監督し、意志決定の一切を部下に任せない」とされています。また、マイクロマネジメントを実施している「上司がそのことを自覚することは稀であるとされる」との記載もされています。

特に、自身が過去に経験したことのある業務の場合、良かれと思い、過去の経験から自身のやり方を教えているつもりが、押し付けてしまっているというケースも有り得るかと思います。今回は、自戒の念もこめ、どのようにすれば、自分がマイクロマネジメントを行っていないか確認できるかの自己診断方法について書きたいと思います。

人材が配置されるべき業務

もし、既に、効率的な業務フローが確立されているのであれば、それを、とにかく繰り返しできる人材を配置した方が、効率性が上がると考えられます。よって、その業務フローが確実にできるよう、マイクロマネジメントを通じてやり方を徹底的に指導する方が効率性から考えると有用だと考えることもできます。よって、このような場合、必ずしもマイクロマネジメントが悪い訳ではないとも言えます。

しかし、上記のように、効率的な業務フローが確立されており、それを複数繰り返すことで、生産性をあげることができるのであれば、実は、それは、人材をアサインするのではなく、IT等を利用し、自動的に業務が遂行されるフローを組んだ方が、より効果的です。よって、既に業務フローが確立されており、単純にリソースの投入が必要な業務については、人材をアサインするより、自動化等を検討した方が良いことになります。

そのため、人材が配置されるべき業務というのは、ある程度の業務フローがあったとしても、環境によって、最適な判断が異なる業務であったり、トヨタのカイゼンのように、業務フローをまだまだ、人の知恵によって、改善できるような業務であると言えます。このように、情報が不完全な中での意思決定や、より効率的な業務システムの創造といった、自動化ができず、AIでも代替できない部分に、人材は配置されるべきだと考えられます。

マイクロマネジメントの欠点

一般的にマイクロマネジメントは、業務遂行者に意思決定権がない状態のことを指します。こういったマイクロマネジメントにおける欠点として以下の点が挙げられると考えます。

自律性の低下
マイクロマネジメント下では、自らの意思でやりたいと思ったことが拒否される状態ですので、自ら何かを行うということを抑止してしまいます。よって、例えば、問題が起こった際も、自律的に動くことはなく、問題を認識していても、指示があるまで、問題を放置するといった状況を作り出しかねません。

モチベーションの低下
言われたことだけを実施するよう求められると、そこに、自分のクリエイティビティや影響を与えることができません。よって、マズローの欲求5段階説における、自己実現欲求が満たされる機会が与えられないため、モチベーションの低下につながってしまいます。

非効率な業務の持続
もし、業務フローに非効率なことがあったとしても、それを改善することを認められなければ、改善する意欲も削がれてしまいます。よって、非効率な業務があったとしても、それを黙認し、非効率な状態を改善せず持続され、結果的に生産性向上の機会を逃してしまうことにもなりかねません。

スケーラビリティの低下
結局のところ、一人の人間が管理できる人数には限界があります。極端な例ですが、100人の部下に対して、毎日何をどうしていたかを確認し、指示を出すことは、不可能です。仮に、それを実施できたとしても、あまりにも多くの人が、確認待ち状態になり、業務が一向に進まないという状況が生み出されてしまいます。よって、スケーラブルな組織にするためにも、誰かに任せるということが必要となってきます。

マイクロマネジメントかどうかの自己診断

では、どのようにすれば、マイクロマネジメントをしているかどうかを自己診断できるのでしょうか?鍵は、意思決定の幅になります。つまり、どの程度、業務を実施する人が意思決定の幅を持っているかを考えることが有用になります。中でも、最も意思決定の幅を狭める行為というのは、アクションを指示する場合だと考えます。逆に、意思決定の幅を広げる行為というのは、結果や成果等ゴールに対しての状況確認をする場合だと思います。

例えば、お客様から成約をとりたいという場合、「今日、先方のAさんに連絡して、次回の打ち合わせの日程を決めてください。」という指示は、アクションに関する指示になってしまい、マイクロマネジメントと言える状況になってしまいます。逆に、「今週末までに、先方の成約に関する現状を教えてもらえますか?」と質問した場合、期限は設定されているにせよ、連絡のタイミングおよび連絡手段は、担当者に委ねられていることになります。

目標の設定および管理が、しっかりされている場合は、目標とした数字と実態がかけ離れている場合のみ、状況の確認をし、設定された目標通りに数字が推移している限り、担当者にやり方を委ねるという方法がとれるため、マイクロマネジメントになっているかどうかの心配をする必要がありません。よって、マイクロマネジメントからの脱却の第一歩としては、しっかりとした目標管理の体制構築とも言えるかもしません。

業務の助走にはマイクロマネジメントは必要

何かと悪者にされがちなマイクロマネジメントですが、必要な場合も、もちろんあります。

山本五十六の名言に「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。」というものがあります。新人等、業務に慣れていない場合は、どのようにやるか等、細かく指示をしなければ、一人で業務を回すことができません。よって、そういった状況においては、アクションベースで指示をするマイクロマネージメントが必要となります。

しかし、この山本五十六の名言の後半では、「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」となっており、承認し任せなければ、人は育たず、感謝し信頼しなければ、人は実らずとされています。

よって、業務を任せられようになった際には、信頼し承認し、結果に対して感謝ができるようにならなければならないと考えます。また、そう言った状況下では、マイクロマネジメントにならないためにも、アクションを伴った指示を回避し、結果に対する進捗を確認し、進捗に問題がないかを確認するような、コミュニケーションが必要だと考えます。


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