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「活力ある企業」の条件③著者:赤岩 茂

【活力ある企業の7つのポイント】
1.経営理念を明確化して実践する
2.経営理念を社内に浸透する
3.自主・創造できる人づくりに取り組む
4.長期的な視点で人づくりに取り組む
5.従業員への動機付けに取り組む
6.信頼感と一体感を高める組織づくりに取り組む
7.経営者力向上に取り組む

【従業員を動機付ける方法について】

「活力ある企業」の条件②では、人々の動機は内発的なものですが、その目的が、より高次かつ、その達成過程で幸福感が得られるということなのです。経営者にとって、従業員のこの高次かつ崇高な目的を引き出すことが重視されると同時に、人生の意味や目的を個々人が自ら考える機会を持つことをうったえたり、研修を施したりするなど、全人格の人間教育が必要とされる時代になったと述べました。

今回は従業員は束ねるリーダー(経営者)にフォーカスして、リーダーはどのようにしたら従業員を動機付けることができるのかについて、論じていきたい思います。
そこで論じていくに当たって、参考にした本を紹介します。
今回はリーダーということで「『キングダム』で学ぶ 乱世のリーダーシップ (集英社学芸単行本)」から学んだことや従業員の動機付けにつながることを論じていきます。


10個の「リーダーの条件」

【1】エンロール力(協力者を巻き込み仲間にする力)
「『キングダム』で学ぶ 乱世のリーダーシップ (集英社学芸単行本)」では、リーダーを「二人以上の集団(組織)をある目的地(目標)に向けてリード(導く)する人」と定義しています。

►「利害」や「損得勘定」を越えた信頼関係を形成していること、リーダー自身が本気であることを示し、熱量の高さで共感を呼び込めるかが大切なのです。

「活力ある企業」の条件でも「長く経営を続けていれば、不況などによって商品が売れなくなり、資金が不足することもあるでしょう。そのような時でも、経営者と従業員の信頼感・一体感があれば、苦境を乗り越えることができるはずと記述されています。ピンチな時こそ、エンロール力が求められるということです。

【2】率先垂範力
いざというときに率先して先頭に立って奮い立たせることが大切です。リーダー自身が頑張っている姿を示してこそ、フォロワーも自分たちがやるしかないと奮起し始めるのです。

►戦(ビジネス)において先陣を切って敵に飛び込んでいくということは、かなりの勇気と覚悟が必要です。リーダーだからといってただ単に指示命令をするだけでなく、戦(ビジネス)において仲間がピンチなった時には自分を投げ打ってでも仲間(従業員)を守ろうとします。そのような率先垂範の態度が仲間たちからの信頼につながっていくのだと思います。

「活力ある企業」の条件
本書では、率先垂範として株式会社 飯田製作所の数年前の経営危機が例で挙げられいます。
数年前の大口取引先の倒産によって飯田製作所は大変な経営危機に陥りました。しかし、そのときでも従業員はほとんど辞めなかったのです。その理由は「自分の責任であるから自分の給料をゼロにしてでもこの危機を乗り切ると、社長が腹をくくってる姿勢を見せたことが信頼に繋がり、ついてきてくれたのではないかと社長は振り返っています。
いざという時には、現場に降りて泥臭く戦えるよう準備しておくことが肝要です。


【3】細心配慮力
無謀に見えても細部まで気を配る繊細さが必要であり、小事をおろそかにすると大事は為せないと説きます。自分たちと相手、現状と将来の全体像を把握して判断することが大切です。

►外部環境・内部環境を十分に分析する必要があるということです。

孫氏は、外部環境・内部環境分析の重要性を次のように指摘しています

「彼を知り、己を知れば百戦して殆うからず。
彼を知らずして、己を知れば一勝一負す。
彼を知らず、己を知らざれば、百戦して殆し。」(『孫氏』謀攻編)

これを現在に当てはめると、外部環境・内部環境を十分に分析し事に当たれば、失敗をすることはないということです。

【4】非情合理力
リーダーの決断は、ときに非情であり、フォロワーからは冷たい、きついと思われることもしばしばです。だからといってフォロワーに迎合した判断をしていては組織が弱体化するばかりです。常に目的と照らし合わせて、不可能だと判断すれば撤退、中止を命令しなければならないのです。合理的判断に基づく非情ともいえる決断を下してこそリーダーのリーダーたるゆえんです。

経営コンサルタント一倉定氏は、「事業というものは、『やり方』の上手下手で決まるものではない。『決定』によって運命が決まるのである。
『決定』は社長、『実施』は社長の役割である。そして任せるのは『実施』であって『決定』ではない。」

経営者は意思決定により、企業の方向性を決定する役割を担う人ということです。時として冷酷と思われても苦渋の選択をしなくてはならないときがあるのです。


【5】部下愛育成力
筆者自身、第四の条件である「非情合理力」と裏腹の力と指摘しているが、その両者の矛盾した力を絶妙なバランスで両立させることがリーダーには求められます。
「部下の成長を期待しつつ、場を与え、共有し、時に問いかけをしつつ、部下を啓発」するのです。

►人に任せることで、従業員に「信頼され、期待されている」という意識が芽生え、モチベーションアップにつながるのです。

【6】明朗快濶力
濶(かつ)の字は、単に明るく元気にとどまらず心を広く前向きに持つという意味を込めて快活ではなく快濶としていうようです。ピンチのときこそ前を向き、そのリーダーの言動や行動でその場の空気、雰囲気を前向きなものへと変換することが大切で、そうすることで事態が好転することが少なくないです。深刻であればあるほど、フォロワーが落ち込んでいればいるほど明朗快濶力は活きてくるのです。

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【7】リスクテイク力
責任と権限は表裏一体であり、責任を負ってこそ権限が与えられます。また必要があれば冒険するリスクも大切となる。そこから得られる利益が大きいからです。同時に蛮勇では困ります。そのため、勇気と蛮勇との分けるあたりの判断力を含めたリスクテイクが求められます。

ユニクロ柳井社長から学ぶリスクテイク力
►柳井社長は戦略を考えるときに「ひょっとしたら、これはすごく儲かるかもしれない」が起点にあるのです。「確率は0.1%かもしれないけどゼロじゃない。ひょっとしたら世界一になれるのだから、その方法で考えてちょっとやってみよう」と行動に移すのです。


【8】人間理解力
リーダーが率いるのは生身の人間です。感情があります。人間だから、愛憎、怨念、嫉妬、金への執着など醜い部分が当然です。そのことを理解したうえで、「人間を信じないこと」と「人間を信じること」とを併せ持つことが大切となるのです。
「不信による疑いではなく、信じるための疑い。汚く醜い部分も持ち合わせているが、綺麗で純粋な部分も持っているのが人間。人間の理解にゴールはありません」

【9】ビジョン構想力
リーダーはビジョンを示す必要です。

「中華統一」というこの単純明快なメッセージに登場人物は皆、心を動かされます。

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そして、ビジョンを達成するための道すじ(ストーリー)を熱く語ることこそが、人を動かす鍵となってくるのです。

「リーダーには、ビジョンを作り、それをフォロワーに示して、実現可能性を信じてもらい、そこに「真・善・美」の価値を感じてもらう力が必要」

「活力ある企業」の条件
本書では、会社の姿勢・スタンスを明確にすることの重要性について説いています。

経営理念は「何のために経営するのか(将来の姿・事業の目的・存在理由など)」をあらわしたものであり、また「どのように行動すべきか」という従業員の行動基準となるものです。

【10】使命挺身力
「その立場に置かれ、やるしかないと覚悟を決め、それが自分の人生なのだと使命感を確立することで、誰しもリーダーになれるのです。」

「人間、その気になって、やるしかないと覚悟を決めたら、おのずとリーダーシップを発揮できるようになるものです。」

►今回のコロナで倒産せずに新しい事業やサービスを始めて会社を維持できた会社こそ「ピンチにこそチャンスあり!」と考え、荒波を乗り越えていく強い会社であることは間違いないでしょう。

(まとめ)
今回はリーダーはどのようにしたら従業員を動機付けることができるのかについて、論じてきました。
リーダーの条件から分かるように、リーダーに求められるものはたくさんあります。そこで私が「活力ある企業」の条件の中で共感し、新しい論点として発見したことを最後のまとめにしたいと思います。

株式会社恒電社の恒石社長が日々の準備やトレーニングについて次のように言っています。
「サッカーでも試合で出せる力は練習の7~8割程度です。トレーニングして準備しなければ本番の試合で結果は出ません。そして、ベンチでいいやと思っている選手は絶対にレギュラーになれません。向上しようという意識がないと伸びないのです。」

私は恒石社長のおっしゃったことに自分の過去を思い出しました。
僕は中学のときに硬式野球クラブチームに所属していました。そこで試合に出れば、監督や親からも怒られ、「どうせ、怒られるならベンチの方が楽でいいや」とずっと逃げてきました。もちろん、向上しよう意識がなかったので、野球が上手くなることはありませんでした。

野球の道を諦めて、高校ではバドミントンを始めると、最初は全く出来ず、学年ランキングでは20位中19位でした。そんな下手くそな僕はバドミントンクラブチームに行き、上手な人からバドミントンを教えていただけるようになりました。そこで出来なくても、「お前ならできる」と背中を押してくれるコーチに出会い、そこからバドミントンが徐々にうまくなり、高校3年では学年ランキング1位になることができました。

中学のときと高校のときでなぜこんな差が生まれたのかを考えてみると、以下のような理由が考えられました。

【上達した理由】
►バドミントンが楽しい、もっと上手になりたいと心の底から思えた
►「お前ならできる」というコーチの言葉が自信に繋がった
►コーチやプロの選手みたいな尊敬できる選手に自分のなりたい思った

以上が大きな要因だと思います。
上達した理由について、会社、ビジネスでも言えると私は考えています。
「お前じゃ無理だよ」から入ったら誰も何もできないですが、「お前ならできる」とその人の可能性を信じ続けることがリーダーにとって、重要なことだと私は思いました。
リーダーに限らず、企業文化として、従業員1人1人がアドバイスをし合うときに、0.1%でも可能性があるなら「できる」「大丈夫」「可能性あるよ」と声を掛け合える会社が私は本当の強い企業だと思いました。


人の足を止める側でいたいですか?

それとも、人の背中を押せる側でいたいですか?

私が考える動機付けは、お互いを信じ合う信頼関係にあるのだと考えました。

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「活力ある企業」の条件(赤岩 茂)

『キングダム』で学ぶ 乱世のリーダーシップ (集英社学芸単行本)

(参考文献)
https://sanchanne.com/2019/02/08/impressions-1/



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