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微信支付と支付宝 in 小樽 からみたキャッシュレスの進行

㈱クロスデジタル CEO・㈱ブロックチェーンハブ CMO の増田 剛です。

先日、まだ残雪が見られる北海道小樽市を訪れました。

冬前後の北海道はインバウンド観光客にとって人気が高いエリアですが、小樽もその運河沿いの倉庫群や街並みを目当てに訪れる人が多いようです。

北海道観光統計によれば、北海道を訪れる訪日外国人旅行者数は約280万人(2017年度)。また、小樽市観光入込客数によれば、小樽を訪れた(宿泊した)のは約20万人(2017年度)で、そのうち3/4が中国・韓国・香港・台湾からの旅行者とのことです。

出所: 平成 29年度 小樽市観光入込客数の概要(小樽市)

実際、街を歩いていてもホテルのなかでも、日本語よりも中国語・韓国語が聞こえてくることが多い気がしました。

さて、札幌市ではクレジットカード払いにさして支障はありませんでしたが、小樽市ではやはりというか勝手が異なりました。特に運河周辺の土産物屋や海産物屋ではクレジットカードは受け付けて貰えないことがしばしば。
一方で、現金のみ、の表示の隣には大きな↓のマークが。

AlipayとWeChatPayが使えるのに、クレジットカードが使えない!

これには、正直、驚きました。
思い返すと、現金のみを貫いてきた行きつけの店が”祭り”に乗っかってか、気付いたら同じQR決済のPaypayを導入していたり、QR決済はじわりと増えている感覚はありました。しかし、現金+和製QR(+中国QR)ではなく、現金+中国QR。

確かにこれだけ中華圏からの旅行者が多ければ、AlipayとWeChatPayは有効な販促手段となるでしょう。店舗側に決済手数料はクレジットカード同様に発生しますが(3.5%程度)、初期費用はかからないようです。
一方で、「現金のみ」+「Alipay・WeChatPayはOK」というコンビネーションを目の当たりにすると、

1. 日本人の高い現金依存度
2. 中華圏(Alipay・WeChatPay流通圏)からの訪日旅行者の力
3. 中華圏「以外」からの訪日旅行者に対する障壁

の3つを感じます。

1.に関しては、いまさら語る必要もありません。私は通常ほとんど現金を持ち歩かない主義(震災などの非常時には危ないかもしれませんが・・)の為、危うく文字通りキャッシュ「レス(不足)」になるところでした。

2.と3.についてはやや気になります。一時の勢いに陰りはあるとはいえ、引き続き中華圏からの訪日旅行者の数はかなりのもの。しかし、隣国であるがゆえに政治・経済の問題などの事情によっては大きな変化もあり得ます。

小樽市の発表によると、2017年度の欧州からの旅行者は約3800人、北米からは約5800人、オセアニアは約4900人でした。前掲の中国(含む香港) 約8万人と比べると明らかに少ない数値です。近年、オセアニア地域からのスキー旅行客が増えているという話はよく聞きますが、まだまだ。少ないことは伸びしろがあるということなので、訪日旅行者の分散ポートフォリオのためにも、クレジットカードも使えるようになるといいですね。

最近では、Airpay(リクルートライフスタイル)が訪日旅行者への訴求という点を押し出して、CMを流していますね。QR決済も決済手数料(ランニングコスト)が大なり小なりかかるのは同じなので、ハード等の導入コスト(イニシャルコスト)が安くなると普及も後押しされるのでしょう。

導入が容易な端末としては、シリコンバレー発の”Square"が有名です。創業者は、Twitterの創業者でもあるJack Dorsey。日本ではSMBCグループの三井住友カードが戦略的業務提携を結んでいます。

出所:三井住友カード

Squareはモバイル端末のイヤホンジャックに挿すだけという手軽さがうけていましたが、2019年3月に発表したSquare Readerは

ICクレジットカードに対応したほか、NFC Type A/BとFeliCaをサポート。非接触式クレジットカードのほか、2019年後半のアップデートで電子マネーでの決済にも対応予定だ。スマートフォンやタブレットとBluetoothで接続でき、POSレジアプリと連携する。価格は税込7980円。

とのことです(CNET Japan記事)。

スマホやタブレットの普及は都市部のみならず地方にもかなり進んできているので、Squareのようなデバイスを通じて、幅広い訪日旅行者にフレンドリーな決済体験が広がっていくことを期待します。