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バルアトルケものがたりⅣ

20
バルアトルケものがたりは読み聞かせられるように、と思って書いています
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#妖精

20*かなしいきもち

20*かなしいきもち

バルアトルケものがたりⅣ*20

ピリルの朝の時間は瞑想ではじまります。ユニコーンのちからをのばすために必要な時間なのだ、とおとうさんユニコーンは言います。まだピリルの本当のちからが何なのかはっきりとしていませんが、毎日欠かさず瞑想を続けています。その瞑想のおかげで、ドラゴンのスカイ、ルシス親子と出会い、たすけることができたのです。

今朝も朝起きてピリルは静かに時間を過ごしていました。

白い世

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19*夢?現実?

19*夢?現実?

バルアトルケものがたりⅣ*19

ぃぃやだー!!

セオナルドは自分の声におどろいて目が覚めました。心臓がどきどきし、全身に汗をかいています。からだは緊張していて、なんだか自分のものではないような気がします。

ふうーっと大きく息をはきました。横になったまま、手のひらをてんじょうにかざします。部屋は真っ暗ではなくうっすらと光が入ってきていて、淡い光の中でセオナルドの手は、いつもより色白に見えますが

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18*ゆめのなか

18*ゆめのなか

バルアトルケものがたりⅣ*18

サクッ サクッ サクッ

雪を踏みしめる音が静まり返った木々の中、きこえています。

どこへいったんだろう・・・?

必死になって探していたのに、何を探していたのかわからなくなるくらい長い時間が経っていました。世界は白い雪に覆われて、それまでのすべての痕跡をみつけることはむずかしく、振り返っても見ることができるのは自分の足跡だけ。やみくもに歩き回っていたのか、いち

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17*ひかりのたま

17*ひかりのたま

バルアトルケものがたりⅣ*17

セオナルド達はアースのともだちの奏でるパイプのおかげで元気になって家に帰りました。

その日の夜のこと。セオナルドはふと目を覚ましました。窓辺がぼうっとひかっています。

なんだろう?

すぐにおきあがらずに、よこになったまま見ているとそのひかりはゆっくりと近づいてきました。

その光の主はみたこともない、いきものでした。手のひらよりも少しだけ大きく、からだに厚み

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16*おんがく

16*おんがく

バルアトルケものがたりⅣ*16

セオナルドたちが村のお祭りで聴いていた音は、細い笛や、木で作った木琴、太鼓、まわりの石をたたいたり、といった身近なもので作る音でした。それらの音も大好きでしたが、アースの友達が練習している楽器は見るからにちがっていました。袋のようなものから笛が何本も出ていて、わきに挟んでいます。アースの友達は頬をおおきくふくらませて音を出しています。

その音は張りがあり、ぴんと

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15*パイプ

15*パイプ

バルアトルケものがたりⅣ*15

ルシスが来てから、4人は森の奥の奥の砂地で遊ぶことが多くなりました。ルシスは毎日ルプアの木のところへ行き、スカイと交信するのです。ルプアの木がメッセージを伝える電話のような役目をしてくれるのです。

「おかあさんは、すごく大変みたい。地下の水脈を調べてみたらやっぱり流れがかわっていたって。なんとか流れるようになったんだけれど、ルプアはまだ元気がないって。」

ルシ

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14*夜の出発

14*夜の出発

バルアトルケものがたりⅣ*14

その日の夜、スカイとルシスがセオナルドの家に来ました。

「アースのおかげでヒントがみつかりました。すぐにでもルミナ島に戻ってルプアの木の世話をしたいと思っています。」

スカイは続けました。

「ルシスはもう少しここにいたいと言っているのですが、すこしのあいだここにいさせてもらえませんか?」

「もちろん、だいじょうぶよ。セオナルドとアリィもうれしいでしょうし。

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13*ルシス

13*ルシス

バルアトルケものがたりⅣ*13

スカイは帰らないといけないことになったのですが、ルシスは帰りたくありませんでした。セオナルドやアリィ、ピリルと一緒に遊ぶのはとても楽しいのです。

ルミナ島のドラゴンは普段は、個々離れて暮らしています。スカイはルプアの世話があり、ルプアはルミナ島でも一番奥深いところにあるために仲間と会う機会は年に数えるほどです。

ルシスは友達がいなかったのです。

はじめてでき

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12*変わった出来事

12*変わった出来事

バルアトルケものがたりⅣ*12

アースの問いかけに、スカイは考えています。

変わったこと。。。

変わったこと。。。

あることにおもいあたり、はっと顔をあげました。

「そういえば、数か月前小さな地震がありました。そのあとほんの数時間でしたがルミナ島の山奥にある泉の湧水が止まったのです。すぐに水が湧いてきたので、泉が枯れたわけではないのです。皆は知りません。水を護っているドラゴンがこっそりと

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11*ルプア(りんご)

11*ルプア(りんご)

バルアトルケものがたりⅣ*11

スカイはアースが仕事をするときには、必ずそばにいき、その様子を見ていました。

アースはルプアの木の根元にある古いウサギの穴を改築して住んでいます。毎朝起きると、まず外へ行き、ルプアの木のまわりをぐるっとまわりながら枝ぶり、風で折れてしまった枝などがないか、など様子をチェックするぐらい。ルプアの木の根元数十センチは歩けるように草が刈ってありますが、刈ってある部分も

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10*バーベキュウのあと

10*バーベキュウのあと

バルアトルケものがたりⅣ*10

バーベキュウには新しい友達、ルミナ島から来たドラゴン、スカイとルシス、森の奥の奥のりんご(ルプア)の木を護っているアースも来て、みんなで楽しい夜をすごしました。

エルダーワインを飲んでいる、男たちセオナルドのおとうさん、アリィのおとうさんのカイト、ピリルのお父さんユニコーン、アースはそれぞれ自分たちの得意なこと、家を建てることや、治すこと、りんごの世話のことなど

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9*ほのお

9*ほのお

バルアトルケものがたりⅣ*9

燃えろ 燃えろ 空高く

その熱はすべてを清める 

形あるものは灰になり 大地へと戻る

炎の熱はおのれのちからをよび覚まし さきへと歩くちからとなる

火のように燃えるその星は夜空にきらめき

地のほのおとともに踊りをおどる

燃えろ 燃えろ 空高く

天と地のちからが結ばれ ひとつになる

そのために

*エルフィの言い伝えより「ほのお」