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【凡人が自伝を書いたら 100.一片の悔いなし。と言えば、それは嘘になる】


長くない!?


「自伝」って言っても、「100」は長くない!?


はいすいません。

あるがままに書いていたら、こうなってしまったのですよ。

これでも割と、細かいところはしょっ引いたつもりなのですよ。

これはもう仕方ないと思うのですよ。はい。

もう終わります。

もう終わりますから、書かせていただきます。はい。


僕がこの店の店長を外れる。

今までとは違って、全く理由が分からなかったので、虚を突かれたような思いだった。

上司もだいぶ抵抗してくれたようだ。

多分、「あの時の電話」はこのことだったのだろう。

結局、抵抗虚しく、この話が決定となってしまい上司も不満だったのだろう。なんだかテンション下がっているような、悔しがっているような想いが言葉の端々から読み取れた。

「そうですか。。」

僕は、そんな「薄めの反応」しかできなかった。

上司はその理由を続けた。


会社全体の売上も回復傾向が続き、コロナ前の水準に戻る目処もついてきた。

このタイミングで、もう一度社員の配置を見直し、会社の基幹となる売上の高い店舗には、実績のある経験豊富な店長を配置する。

上司は会社全体のことも話してくれた。

会社の「基幹店舗」と言われる店から、僕のような若手の店長が全て外され、「元エリアマネジャー」などの経験豊富なベテラン勢が代わりに配置される、とのことだった。

「分からんでもないがなぁ。」

そう思う気持ちも確かにあったが、全く逆の気持ちもあった。

僕は、

「苦しい時に教育を辞める組織は衰退する。」

そういう言葉を知っていた。

そして、そうならないように、方針に反してでも教育を続け、上司も高く評価する、強い店を創り上げることができたという自負もあった。

そんなことを頭で思ってはいたが、唖然としていて、口には出なかった。


「それで、僕の後には誰がくるんですか?」

「そこやねん!」

上司は少し感情的になり、そう言った。

聞けば、それは僕の知っている名前だった。

それは、以前僕がヘルプに行って、店舗の状態改善を果たした店の店長だった。(この自伝の60〜62話「焼け野原の復興」で書いた店である。)

「必殺仕事人(自称)」の仕事先の店長だったのだ。

それには、それまで黙って聞いていたチーフも、「は!?」と口を開いた。


その店長は、社歴も倍以上の先輩だったし、元エリアマネジャー。

店長ランクは僕も最高ランクだったので、そこは同じだったが、社歴や経験なんかは確かに負けていた。

ただ、おそらく僕を含めた3人とも、同じことを思っていた。

「そういうことじゃないだろう」

チーフが代弁してくれた。

「いや、確かに元エリアマネジャーだし、経験もあると思いますけど、正直、レベルが違うと思います。」(ちょっと言い過ぎ)

「この店のこと考えるなら、絶対替えない方が良いと思います。」

基本的に、ルールとか指示遵守、いわゆる「イエスマン」のチーフがそういうふうに言ってくれたことは嬉しかった。

ただ、僕は何も言わなかった。

「きっと上司もそんなことは分かっている。」

そう思ったからだ。

だからこそ、抵抗してくれていたのだ。


「正直、俺も全然納得しとらん。悔しい気持ちもある。」

「でも、もう正式に決定になったことやし、もうすぐ人事異動の発令も切られる。。すまんなぁ。」

上司もばつが悪そうにしていた。


「そうですか。。」

思えば僕は、「そうですか」としか言っていなかった。


なんだか、ぼーっとしたまま話が終わり、僕は、店の裏でタバコをぷーっとふかしていた。

ガチャっと、静かに裏口を開け、上司がやってきた。

一瞬、沈黙があった。

「すまんかったなぁ。」

上司が口を開いた。

「いえいえ、、こればっかりは仕方ありませんから。笑」

そう、力なく笑った。

「そう言えばお前、さっき、なんで反論せんかったんや?正直ツッコミどころ満載やろ?いつものお前やったらゴリゴリで反論するところやろ?」

「いや、どういうキャラっすか。笑」

「さっきも話したけどなぁ、俺もだいぶ抵抗したんやで?」

「ええ、すいません。ありがとうございます。」


「なんで、なんも言わんやったんや?」

何故なんだろう。僕にははっきりとした理由など無かった。

「うーん、なぜでしょう。なんか何も浮かんでこなかったんですよ。ただ、そうなったか。。ってしか思わなかったんですよ。。」

「そうかぁ。」


「で、どうすんのや。」

吸っていたタバコをひとふかしして、僕は答えた。

「ちょっと、考えさせてもらっていいですかね。笑」

「そうかぁ。。分かったわ。」


上司は、少し残念そうに「肩を落として」、了解してくれた。

僕の「2択」を上司も理解したのだ。


会社の人事異動に基本的に「従わない」という選択肢は無い。

だから「2択」なのだ。

「従う」か「辞める」か。

その2択だった。

僕の選択肢に「辞める」が入ったことに、上司はきっと、「肩を落とした」のである。


とわいえ、僕の任期は約1ヶ月あった。

このままのテンションで働くわけにいかなかったので、僕はタバコの火を消し、気持ちを切り替え店に戻った。

スタッフと話していたチーフに言って、その時店にいたメンバーをできる限り集めてもらった。

そして僕は、無理矢理の空元気で言い放った。

「突然ですが!俺、今月で異動になっちゃいました!すいません!」

「え〜〜〜〜!!」

突然のことだったので、スタッフたちは驚愕していた。

「え、なんでですか!」「どうしてですか!」「いきなり、なんですか!」

みんながある意味「盛り上がっている」中、隣にいたチーフだけは、なんだか静かで、落ち込んでいるようだった。


つづく






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