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【第2回】常勝! プロジェクトを成功に導くマネジメントの定石 ~自己流の限界を超えるプロジェクト成功のカギとは~

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第二章 必ずプロジェクトを成功に導くマネジメントの定石とは?

知識や経験が豊富でさらに人格のすぐれたプロジェクト・マネジャーであれば、「あの人にならついていきたい」と思われるような人間になることが、プロジェクトを成功させるカギです。
人間力とは、人格コンピテンシー、対人関係スキル、ポータブルスキルなどと呼ばれる場合もあります。人間力には、さまざまな要素がありますが、特に重要と思われる要素を「9つの要諦」としてまとめました。

1.     責任感
2.     指導力
3.     誠実さ
4.     コミュニケーション能力
5.     判断力
6.     探求心
7.     サーバントリーダーシップ
8.     公平・公正・公明に接する能力
9.     向上心

2-1.引き受けた任務は覚悟を決めてやり遂げる責任感

プロジェクト・マネジャーに任命されると、プロジェクトが成功するかどうかの責任はプロジェクト・マネジャーの肩に大きくのしかかってきます。失敗した場合、すべての責任は、プロジェクト・マネジャーにあるといっても過言ではありません。
プロジェクトは、進むにしたがってどんどん大きな壁が立ちはだかってきます。最後まで諦めずに「私は、このプロジェクトを絶対に成功させる」覚悟が必要です。覚悟を決めてプロジェクトの目標に向かってチーム一丸となって邁進します。

2-2.基本を学び自ら応用、率先垂範できる指導力

リーダーは、率先垂範で指導力を発揮しなければなりません。自ら進んで人の先に立って行動し、メンバーの模範となる必要があります。
メンバーには、「いついつまでにこれやっておいてください」といいながら自分の担当分はやっていない。ということでは、メンバーから信用されなくなってしまいます。
率先垂範と聞くと「やってみせ、言って聞かせてさせてみて、ほめてやらねば、人は動かじ。」山本五十六氏の言葉です。メンバーの手本となる人格者をめざします。

2-3.規定、規則、約束は必ず守る誠実さ

世の中には、さまざまなルールや規定があります。誠実さとは、誰に対しても正直で、自分をごまかしたり他の人に嘘をついたりしないことです。このような精神や態度は、いろんな状況や場面で顕著に表れます。
たとえば、人とした約束をどんなことがあってもきちんと守ること、人をだましたりしないこと、などです。
また、誠実に「真心」という意味も含まれます。どんなことにも真面目さを尽くして、真剣に対応する真摯な態度が必要です。

2-4.良好な人間関係が構築できるコミュニケーション能力

プロジェクト・マネジャーは、業務時間のうち70%~80%の時間をコミュニケーションに費やしているといわれています。
プロジェクトを成功させるためには、コミュニケーション能力は最も重要な要素です。プロジェクトの関係者が増えれば増えるほどコミュニケーションは複雑化、煩雑化します。
プロジェクトの関係者を抜け漏れなく洗いだし、適切なコミュニケーションを通して良好な信頼関係を構築することにより、プロジェクトに対して最大限の協力を引きだすことができます。
そのためには、プロジェクトの関係者と情報共有の方法を「5W1H」で明確にした、コミュニケーション・マネジメント計画的に実行することです。

2-5.どんなに厳しい環境下でも発揮できる冷静な判断力

プロジェクトは、はじめからすべてがわかっているわけではありません。プロジェクトが進むにつれて、だんだんとわかってくることがあります。
現在持っている情報から先々を見越して判断しなければなりません。メンバーは、次から次へと問題を投げかけ判断を迫ってきます。したがって、洞察力やリスクを負う覚悟が必要になります。情報が少ないからといって、なかなか決められないリーダーでは、メンバーから信用を失ってしまいます。

2-6.常に最適な知識やツール・技法を追い求める探求心

世の中には、プロジェクトマネジメントで活用できるツールや技法がたくさんあります。また常に新しい手法が開発されています。自分のプロジェクトにはどんなツールや技法が適しているのかを調査・検討することが重要です。
コロナ禍においては、働き方も多様化し、オンラインが主流となっています。オンラインで活用できるツールや技法の採用がプロジェクトマネジメントには有効な手段となります。
現状のツールや技法にこだわらず、自分のプロジェクトに合致する方法を常に研究・採用することを検討します。

2-7.メンバーの能力を最大限に発揮させるサーバントリーダーシップ

サーバントリーダーシップとは、「リーダーは、まず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」というリーダーシップ哲学です。サーバントリーダーは、奉仕や支援を通じて、周囲から信頼を得て、主体的に協力してもらえる状況をつくりだします。
リーダーといえば、自らが先頭にたってみんなを引っ張る支配型のリーダーが一般的でしたが、ダイバーシティの時代においては、価値観が多様化しており、ワンマンでメンバーを率いるだけでは対応が難しいケースがよくみられます。
メンバーを支え奉仕する「サーバントリーダー」の方が合っている場面もたくさんあります。

2-8.相手の立場を尊重し、公平・公正・公明に接する能力

リーダーが、チームメンバーを公平に見ていなかったり、自分の好みによって特定の人を優位に立たせたりすると、信頼および良好な人間関係はすぐに損なわれます。
メンバーの誰もが、公平で平等な扱いを受けていると確実に感じるためには、リーダーは、チームメンバーを対等に扱います。あなたには特別な才能があるように、チームメンバーもそれぞれに特別な才能をもっています。
メンバー一人ひとりの貢献を認め、それを言葉にして伝えること、そして、公平に評価することが必要です。判断や言動などにかたよりがないようにします。

2-9.実践を振り返り、内省し自分のスタイルを創りあげる向上心

実践したことを振り返りできなかったことは、なぜできなかったのかを究明します。どうすればできるようになるのかを再考し、自己実現に向けてチャレンジを続けます。
できたことは、強みとして徐々に自分のスタイルを創りあげていきます。

これらの行動は、できている人からすれば当たり前かもしれません。しかし、ほとんどの人はできていないのではないでしょうか。できているとしても時々であったり、たまに行動していたりという人が多いのではないでしょうか。これらの行動は、意識しないとなかなか身につきません。無意識のうちにできていることが重要です。つまり、「習慣化」されなければ、身についたとはいえません。すべて、一度に習慣化することは困難です。できる自分を想像し、何度も何度も繰り返し、習慣化することです。

著者プロフィール

小山透

プロジェクトマネジメントをわかりやすく伝えるエバンジェリスト(伝道師)。ソニー一筋40年以上勤務。2011年、米国プロジェクトマネジメント協会認定のPMP(Project Management Professional)資格を取得し、半導体製品開発プロジェクトのPMO(Project Management Office)を担当する。また、米国プロジェクトマネジメント協会の日本支部では、プロジェクト・マネジャーに必要な知識やスキルとともに『人間力』についても10年以上研究を続けている。2012年からプロジェクトマネジメントの研修を体系的に構築。プロジェクトマネジメントの研修講師として、6,000名以上を教えている。

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