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腰痛について(パート5)

腰痛の予防・改善におけるその他のポイント

腰痛の予防または改善には以下のポイントも重要です:
 1.     腰椎および筋にかかる負荷を減らす。
2.     個々のアライメント・動作パターンを評価する。
3.     日常動作におけるパターンを改善する(正しい動作パターンに戻す)。
4.     脊柱の自然な湾曲を保つ。
 
トレーニング時に脊柱にかかる負荷
 先ず覚えておいてもらいたいこととして、トレーニングと脊柱にかかる負荷の関係です。
  脊椎(腰椎は5個)は椎骨とよばれる骨が連結したものです。椎骨は前方と後方の2つの部分に分けられます。前方には椎体、後方には椎弓、棘突起などが含まれ、体重の支持機構としての役割は主として椎体で担っています。
 
 椎体のみの圧縮試験では6000~8000[N]の破壊荷重を有しており,体重の約10倍の負荷にも耐えることができます。しかし,これは加齢によって減ることは避けられず、特に40歳を超えるとその強度は減少していきます。従って40歳を過ぎたら、筋トレをする時は高重量でのトレーニングは避け、フォームやレップ数、セット数、セット間の時間などを調整することで安全に鍛えることが重要です。
 
例えば:
 27kgの重さをスクワットで男性が持ち上げた場合の腰椎にかかる負荷は、約7000N(710kg)と言われています。
え、たったの27kgで、、、そうです、わずか27kgの重量で既に7000Nの負荷がかかるのです。男性の場合、重量に拘る人が多いですが、注意してください。特に40歳を超えたら高重量を扱うのは、ほぼ止めた方が良いでしょう。最悪、半身不随になります。
 
 因みに腹筋運動(シットアップ)では腰椎に約3300N(331kg)の負荷が、腕立て伏せでは約1838N(187kg)の負荷がかかります。
 
その他にも:
バックエクステンション(ローマンチェアー)でかかる負荷=約4000N(400kg)
バックエクステンション(フロア)でかかる負荷=約6000N(589kg)
ワンレッグエクステンションでかかる負荷=約2000N(200kg)
バードドッグでかかる負荷=約3000N(300kg)
となっていますので、腰に不安のある人は注意してください。
 
参考:The National Institute for Occupational Safety and Health(NIOSH) 国立労働安全衛生研究所は、腰椎の圧縮限界値を3300N(331kg)としている。この数値を超えた場合、腰痛を起こす確率が高くなる。
 
●注意すべき(または避けた方が良い)運動
 腰痛のある人は以下の運動を行うときは注意が必要です:
腹筋運動:シットアップではなくクランチを推奨します。
シットアップは腰を丸める動作が入るので避けた方が良いです。
デッドリフト:基本的にはNGですが、どうしてもデッドリフトをやりたいときは軽い重量(自分が挙げられる最大重量の半分以下)で、腰が丸くならないように注意しながら行ってください。ハーフデッドリフト(トップサイドデッドリフト)がお薦めです。またバーベルではなくダンベルまたはスミスマシンを使用する方が安全です。
 ワンハンドローイング、ベントオーバーローイング:これらも重量は自分が挙げられる最大重量の半分以下にして、腰が丸くならないように注意しながら行います。
 回旋運動:腰をひねる(回旋)させる動作は出来るだけ避けましょう。

●無理なストレッチは逆効果
「腰痛を改善するためにストレッチしましょう」とよく言われますが、実はストレッチは、やり方や体の状態によっては腰痛を悪化させてしまうことがあります。腰痛があるときは筋肉の柔軟性が失われているので、無理なストレッチは避けてください。もしストレッチをするときは軽くゆっくり筋肉を伸ばすようにします。
 
 筋肉はあまり速く伸張されると、筋紡錘という筋肉を保護するためのメカニズムが筋肉の収縮を促します。これが伸張反射と呼ばれている作用です。筋紡錘は筋繊維に存在し、筋肉の伸張の長さと速さの変化を感知し、筋肉が伸びすぎないように保護します。この筋紡錘と逆の働きをするのが、骨と筋肉を繋ぐ腱の中に存在するゴルジ腱器官(GTO)です。GTOは筋の緊張を感知すると、筋肉を弛緩させて保護します。筋紡錘は筋の伸張を感知し、ゴルジ腱器官は筋の緊張を感知する役割を果たします。
 
メモ:伸張反射とは
 伸張反射とは筋肉が伸ばされ切れそうになると筋肉の中の「筋紡錘」というセンサーがそれを感知し、筋肉が切れないように筋肉を収縮させる作用のことです。
 従ってストレッチをするときは、出来るだけこの伸張反射を起こさないように、ゆっくりと伸ばすことが重要です。特に腰痛では大切なポイントとなります。

重要:筋トレを行うときは、ベルトを使用することを強くお薦めします。特に腰に不安のある人には必須です。

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