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WALES BONNERに恋をした話。服好きの皆さんの話。

 ※このアカウントは明日から周りの人に言いたくなる、ファッション豆知識を日本だけでなく世界の情報媒体から皆さんに共有しています。


 皆さんがありとあらゆるもの良しとする価値観とはどのようなものでしょうか。
その価値観は人それぞれだと思いますが、例えばデザイナーの思想が好き。服のディティールが美しい。アーカイブが好き。この色が昔から好きだった。等々あると思います。
誰のどの価値観が良いなど悪いなどそんな事はどうでもよくて、、、

多種多様な価値観にある種『気付き』のようなものを感じさせてくれる、様々な価値観をミックスして新しいクリエーションにする。今回はそんなブランド。

wales bonner デザイナーの名前はグレースウェールズボナー。2016年にLVMHプライズでグランプリに輝いた。日本でも数多くのセレクトショップが同ブランドをセレクトしている。
彼女の服作りは具体的な物語から始まる。
彼女は歴史や文学、映画、経験、人種、宗教など様々な分野からインスピレーションを受けており、毎シーズンテーマが明確に決められており独自のフィルターを通され服に落とし込む。
彼女はもともとレディースウェアから服作りを始めているが、なかなか結果が出ず試行錯誤の末メンズウエアを作ることが彼女の美学を開花させた。

私的に、彼女のコレクションの18awが大きな転機であり、想いがより明確に詰め込まれた作品であると思っているのでこれを参考に考察する。
このシーズンの主題は映画のタイトルから得ているのだが、その背後にはCreolite Mondialiteという考えがある。どちらもグローバリゼーションの考え方で、均質化に抵抗し、多様性を求める。つまり彼女自身が黒人であったためにさまざまな思いがここに込められている。(もちろん映画とも連動している)このシーズンのカットソーとスウェットにもcreoliteの文字がプリントされており、強い意味を持つ。意味としては彼女自身18awのシーズンのクリエイションに迷いがあったという。そんな最中、流動的で常に変化している世界に対し自分の中のアイデンティティーを柔軟性と可能性に結びつけて考えて新たなものを作り上げることがクリエーションにつながり彼女の服にまた新たな魅力が誕生した。

洋服自体にも彼女ならではの仕掛けが多数見受けられる。
もともと女性の服作りをしていたことから女性服を男性が着ると言うようなイメージがわかりやすい。トップスで例えるなら着丈が短めで肩幅も狭いアームもタイトな仕上がりで、それがしっかりと男性になじむように作られている。この絶妙な性の曖昧さが見るものを魅了させている。
テーラリングにたけている彼女はミニマルで美しい洋服に仕上げている。
さらに生地が最高。ルイヴィトンから提供受けているため生地はもちろんルイヴィトン。シルク100パーで作られたシャツなども展開されておりかなり上質なファブリックを提供。
正直カットソーを持っているが何回洗って汚いシワにならない。ほんとに最強だと思う。

そんな妥協ない彼女だからこそここまで実績もあり、心から素敵と思える人間であり服作りが完成しているのだと感じる。

私個人的にだが彼女の服作りや服の捉え方、考え方は現代において最も適したものだと考える。(個人的な見解だが、現代というのはネット社会で流動的で刹那的な世の中であると感じている、思考よりも先にネットにつぶやくような行為が良くも悪くも蔓延っていることから)

理由は様々な考え方に対しノーではなくそれを柔軟に捉え新たな可能性を見いだすという行為に彼女の物語を感じると同時にとても魅力的に感じた。彼女は様々な文学やアートに触れることで教養を深く理解していた。さらに黒人であることから少なくとも偏見の対象になったことも経験としてあるかもしれないそれを彼女の物語として全てをクリエイティブに変換できるという、知的で新たな考えの提案、文化や思想を表現できるデザイナーがどれだけいるだろう。(もちろんそれだけが素晴らしいデザイナーというわけではない)何かを否定して選択肢を見いだすよりも、何かを受け入れるような思想の方が人生を豊かにすると思わせてくれるようなそんな服。

服を選ぶことは人生を選ぶとはよく言ったものです。

皆さんにとって服って何ですか。お聞かせください。


ごめんあそばせ


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