【ゲームレビュー/Legal Dungeon】法とモラルの警察事務シミュレーション
レビューを簡潔にまとめ!
本作は警察官となって、被疑者の人生を左右する「意見書」を作るシミュレーションゲームです。独創的なゲーム進行ですが法律・判例、事務手順などかなりの作り込みを感じる作品です。証拠材料をもとに被疑者を問い詰めていきますが、警察にとって都合の悪い証拠があった場合は…?
基本情報
シングルプレイ
言語:公式日本語対応
配信プラットフォーム:PC、iOS、 Android、 Nintendo Switch、 Xbox One
価格:720円(2021/11/2時点、steam価格)
【どんなゲーム?】
ニュースで「書類送検」という言葉を聞いたことがあると思いますが、そもそも「送検」の意味をご存知でしょうか?それは「事件を警察から検察へ移すこと」です。
警察と検察では権限が異なります。警察の役割は犯人を逮捕して検察へ引き渡すこと、そして犯人を起訴or不起訴にするかは検察にのみ与えられた権限です。起訴されるとようやく裁判所の出番となります。
では、検察が犯人を起訴するか否かをどのように判断するか。その材料のひとつが警察が作成した『意見書』です。
警察は検察に引き渡す際に、捜査や取調べによって集めた証拠などを書類にまとめて、起訴すべき案件か不起訴で済ませるべき案件か意見を添えた『意見書』を送検します。
このゲームは警察官となって、意見書の作成する警察事務シミュレーションゲーム…いや、このゲームの本当の面白さは自分たちの都合で意見書の内容を変えることができてしまう泥臭い人間ドラマなんです…
【どんな人におすすめ?】
意見書の作成は言い換えれば公文書の作成ということになりますが、なんだか煩雑そうに聞こえるかもしれません。
でも大丈夫!プレイヤーがやる作業は資料を読み込んで空欄を埋めるためのキーワードをドラッグ&ドロップするだけです。それに文書作成ヘルパーの「あおい」が常に画面を歩き回って手助けしてくれるので安心。
ゲームの流れとしては、発生した事件の捜査書類から必要事項ををまとめあげ、最後に犯人(被疑者)と相対して事実確認を行いながら最終意見を作成します。これが本作の肝となる論理バトルです。
ここで被疑者に対する適用条項や用いる証拠によって起訴か不起訴か、つまりストーリーが分岐していくようになっています。
クリアまでは約8時間でした。論理バトルでは正しいキーワードを用いないとヒットポイントが減ってしまうのでキーワードが見つからないと詰んでしまうかもしれません。正直のところ私も2回ほど詰んでしまったので攻略記事を参考にしました。
【進め方のヒント!】
攻略記事は別の方がすでに作っているので詰んでしまったらそちらを参考にしてみてください。「そこかよ!」っていうキーワードが眠っているので初見ノーヒントでのクリアはなかなか難しいかもしれません。
詰まらないためのヒントとしては、検索機能を活用するのを忘れないことと、ドラッグ&ドロップできるのは色が付いていない文字も対象になっていたりするのでカーソルを当てながらよく資料を読んでいきましょう。
論理バトルではラウンドが開始されると剣または盾が準備されます。犯人を追及する証拠材料を用いると剣で攻撃、擁護すると盾で守りダメージが入りません。警察側に剣、犯人側に盾が準備されているときは用いる証拠によって起訴or不起訴が分岐していきます。
【ゲームを終えて、考えたこと】
仕事柄公文書なども読んだりするのですが、このゲームは非常によく作り込まれていると思います。ゲーム内で言及していた「街の防犯カメラの映像は一定期間経てば削除される」なんていうのも本当の話です。
最初は様々なケースの事件を取り上げて所定の手続きに従って意見書を作るシュミレーターなのかと思っていました。
しかし、論理バトル後の会話パートを聞くと、警察官の点数稼ぎのために犯罪を誘発させているかのようなエピソードも登場します。警察自ら犯罪を起こしやすい状況を作っておくことが果たして正義なのでしょうか?それによって逮捕されてしまった人は起訴されるべきなのか?
先ほども書きましたがこのゲームの最も面白かったポイントは、警察の都合に合わせて意見書の内容、すなわち起訴するか不起訴とするかを変えることができてしまう点です。
法律に基づいて判断することが大前提ですが、人間はそんな簡単な生き物ではありませんよね。社会規範、組織の軋轢、地位の獲得、様々なしがらみのなかで最善を尽くすしかありません。
法とモラルの警察シミュレーションをぜひ堪能してみてください。
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