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香川 隆登/GOCKO
2021年4月24日 00:46
『イニシエーション』生きる事は別れと共にある。あらゆる別れが人生にはあるが、親子間の別れは自分の思想や存在そのものに影響を与えかねない重大な事件だ。マリユスもまた、父の死を機に帝政主義へ、そして共和主義へと目覚めていく。父の死をきっかけに、マリユスの物語は動き出す。生前は何の接点も無く、父の死に際に立ち合った時でさえなんの感慨も持たなかったマリユスだが、後にその思いは畏敬の念へと変わり、崇拝す
2021年4月16日 23:59
『賢者タイム』"リハーサルは嫌い。だってセックスの前にリハーサルはしないでしょ。"これはアイスランドの音楽家、ビョークの有名なパンチラインである。芸術家が自身の表現行為を性行為に例えるのは、今となっては手垢にまみれた紋切り型の常套句だ。だが、何かを生み出す表現行為と性行為に、何らかの共通点が存在するであろう事実を私は否めない。性行為と表現行為が交錯するタイプの芸術家が世の中にはごまんと
2021年4月10日 02:05
『門野推し』本作は、重苦しいテーマを扱いながらも登場人物の心情が、花やその花の香り、その色と共に鮮やかに描かれている。父に呼ばれ佐川の娘を貰うよう言われた後、気分の優れない代助は真っ白な鈴蘭を鉢に漬ける。そしてその花の香を用いて世間との調和を図り、眠りに落ちる。そして白い大きな百合は代助と三千代にとって特別な花だ。その花の香りと共に、二人の思いが何度もこの花の存在を通して描かれている。
2021年4月3日 00:44
『野生のENERGY』インディアン酋長の血をひく老人サムの元で、少年アイクが狩猟を通じて魂の成長を遂げる物語。作中では様々な興味深いエピソードが幾つも目についた。アイクが初めて大熊"オールド・ベン"と遭遇する場面がある。その運命の遭遇に至るまでの経緯が面白い。(引用始め)彼はもう自分をハンターだと思わなかった。そんな傲った思いを捨てていた。なぜなら謙遜した平和な心にならねば出会えな