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“ここを考えて欲しい”に応えるコンサルタントでありたい【小笠原剛:最終回】

こんにちは、ゴール・システム・コンサルティング&リ・デザイン研究所の但田(たじた)です。チーフコンサルタント小笠原へのインタビューということで、どんな仕事をしているかから始まり、過去にさかのぼって小笠原ができるまでを探り、前回はいまの「小笠原らしさ」について聞いてまいりました。今回第5回はとうとう最終回、小笠原の、仕事における人との接し方や、コンサルタントとして目指していることを聞いていきます。

これまでの連載は、以下の小笠原マガジンからまとめてご覧いただけます。

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生産管理屋で学んだ、人に動いてもらう方法

但田:小笠原さんって、ご自分でも「根っからのお節介」というだけあって本当に面倒見が良いしフットワークが軽いですよね。一方で「期待したのに裏切られた」というような怒り方は見たことがありません。相手に尽くせば、相手への期待値が上がっちゃうこともあると思うんですが、小笠原さんはそのあたり達観してるのかな?と感じることがあります。

合理的な動きを期待しても、相手が合理的に動くとは限らないから仕方ないよね」とお話していたこともありました。その感覚はどうやって身につけたんですか?

小笠原:それは、自分が生産管理の仕事をしていた影響が大きいと思います。生産管理をしていると、自分に関係ないところで色々な問題が起きる。不良で数が足りなくなったとか、トラックに乗らなかったとか。そんなことは自分には未然に防げないし、自分のせいではないんだけれども、起きたことを何とかするのが仕事だから何とかする。そういう仕事をしているうちに、「私のせいじゃない」とかいう感覚が無くなっていくんです。生産管理屋さんは割とそういう人が多くて、職種の特徴なのかなと思ったことがあります。

但田:確かに、前も生産管理屋さんの案件に行ったときに、自分で直接できないことが多い仕事だと話していましたね。

小笠原:ある意味、少し冷ややかな感じがあるんです。「こんなに頑張ったのに」とか思わなくなる。生産管理の仕事をしていると、頑張っても頑張らなくても、出来上がらないものは出来上がらないよなって。

但田:一方で生産管理の経験から、うまく働きかければ動く、というような経験も積んだと聞きました。

小笠原うまいやり方とそうでないやり方があるな、というのはありました。問題が起こったら言ってくれる関係を作るのもそのひとつ。そうするとものすごく楽になるから。

但田:相手がダメなことをやっても、相手を悪く言ったりはしないんですね。

小笠原:ええ。気付くのにだいぶ時間がかかりましたけれどね。その前は、自力で何とかしようと、夜遅くまで端末を叩いて在庫の停滞を調べたりしていました。データ分析をやめたわけでは無いけど、問題があれば言ってくれるようになると、自分から情報を嗅ぎ回らなくて良くなるのでずっと速い。コンサルティングの立ち位置も、近いところがあります。こちらからあまり強引には行きません。

但田:実際、現場でもビシバシとデキる感を出すのではなく、少しおどけて、和気藹々とやっている様をよく見ます。その辺も、人の動かし方や成果につながるといったところから意識しているんですか?

小笠原:できればずっと笑顔でいたいです。笑顔でいて損がないので。難しい顔をすると損はあります。近寄り難い状態を作っても得することは一つもないので。きちんとスマイルができるように練習しました。本音でやり取りできる方が良いから、そのために必要なことをたくさんやるようにしています。

但田:確かに。どうやって安心して話してくれるまでに辿り着くかが大事ですね。

小笠原:こいつは敵ではないというふうに思ってもらえるように。会社に対しての関心というよりも、相手の仕事に対しての関心を示します。信頼関係を築くときはまず個人だろうな、と思っています。経理課長のあなたの心配は何ですか、というような感じで。人の話を聞くのが、そもそも好きですしね。

「“ここを考えて欲しいんだよ”を考えてくれている人」になりたい

但田:それでは最後に、コンサルタントとして目指しているもの、実現したいことを教えてください。

小笠原「お客様から相談された全ての問題を解くこと」です。理想は打率10割です。結構何でもやりたい方なので。悪く言うと絞り込めていないのですが。

但田:「生産性向上コンサルのプロになりたい」というような考え方ではないんですか?

小笠原:全然ないです。相談されたら、自分の影響力の範囲で何かしたいです。 あと「“ここを考えて欲しいんだよ”ってことを考えてくれている人」だと、お客さんから思われていたいです。

但田:先を見据えて欲しいってことですか?

小笠原先を見据えると言うよりは、同じものを見据える。お客様がコンサルタントに頼んでくるっていうのは、結構よっぽどの事情であるはずなんです。わざわざ稟議まで書いているわけですから。だから、お客様の中に、答えが出せていないものとか、何を目指しているのかはっきりしない、何が問題かをはっきりしていないなど、困っていることがいっぱいあるわけです。

そういう時に、「目標を教えてください、教えてくれたらその通り働きます」というようなスタンスを取るのが嫌です。「そこがわかんないんだから、そこから一緒に考えて欲しいんだよ!」というお客様は結構多いと思います。私はそこを考える役をしていたいですし、 そちらのほうに自分のバリューがあるはずです。そうやって、どういうことが問題かがはっきりすれば、今度はお客様の遂行能力でできることもいっぱいありますから。

但田:小笠原さんにリピート受注を下さるお客様を見ると、そういうところで信頼されている感じがします。

小笠原:自分も誰かに頼むときに「ここを考えて欲しいから頼んでいるのに、それを教えてってなぜ聞くの?」と思うことがよくあるんですよね。自分はそうしたくないんです。お客様が言ったことじゃなくて、お客様が欲しいものに対して強く関心を抱いていたい。コンサルタントは立ち位置がパッシブなので、気を付けないと「何をしたらよろしいですか?」って、すぐになってしまうんですよね。

そうなると、お客様としては「目標はもう伝えてあるじゃん」って思うでしょうから。我々はそれを踏まえて、お客様と一緒にゴールに向かっていく、ひとつのチームであるという前提にたった動き方ってあるはずなんです。それをしたいなと思っています。

話を聞きながら、頭の中のピタゴラ装置を組み立てる

但田:そのあたりをもうちょっと、具体例とかで話してもらえますか?

小笠原:例えば、研究の仕事を手伝っているのはそういうところがあります。研究っていうのは、うまくいくかわからないってことが付きまとうから。なかでも社会課題とかになると、もやもやとしたよくわからないことをやっていることが多いです。

もちろん、お客様も大きな理想像はフォーマルに持っている、でも、具体的に何をどうすれば良いのか分からないところがある。そういう時に一緒に入っていって、じゃあまずこういうワークをやってみましょうと提案したりします。そうやって、一緒に考えて、あれこれ捏ねているうちに道ができてくる。

但田:フォグランプみたいな役割ですね、もやもやしたよくわからないところを照らし出すと、進めそうになる。そういう時って、あれこれ質問していくんですか?

小笠原:話を聞くけど、質問することって時にはパワフル過ぎて、イエスかノーかを迫るようなことが効果的ではないことも多いです。自分がよくやっているのは、お客さんに色々な話…事実とか環境とか業務プロセスとか、いろんな角度で聞いていく中で、自分の中で像を形作っていきます

例えば「あなたの会社は派遣がいない、ということは出図作業から図面書きまで全部プロパーの設計者がやっているということですか」とか、聞いていくうちに情報がつなぎ合わされていきます。そこから問題を見付けて解きに行くこともあるし、他の方向に進めることもありますが。

但田:実際、そういう振る舞いをしている小笠原さんをよく見かけますね。

話を聞いていくスタイルとして「するってぇと何かいはっつぁん」というような、落語でよくある感じを武器にしています。色々教えてもらえれば必ず何かが見つかるはずだと思って聞いていて、いくつか聞いていくなかで、頭の中でガシャガシャと、Eテレのピタゴラスイッチの装置みたいに頭に浮かんでくる

それで、その装置を頭の中で動かして、「そのやり方だとうまく流れないのではないか」とか「この先のあそこで詰まるから、ここを変えないとな」とか考えが発展していく感じです。そこが、自分にとって一番得意なところなんでしょうね。

ここまでご覧いただきありがとうございました!小笠原剛という人物のオモシロさを、果たして文字で伝えられるんだろうか?と思いつつも、インタビューという機会にいろいろ聞いていくのが楽しくて、あっという間の全5回でした。これからも「コンサルの横顔」でゴール・システム・コンサルティングの面々の素顔をお伝えしていきます。ご期待ください!

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