高橋剛

フリーライター/エディター。千葉県いすみ市在住。バイク乗ってクルマ走らせ猫愛でて釣りし…

高橋剛

フリーライター/エディター。千葉県いすみ市在住。バイク乗ってクルマ走らせ猫愛でて釣りして音楽聴いて映画観て本読んで風呂入って寝てからの原稿書き。

最近の記事

二輪レースを感動ポルノに

もともと感動屋の泣き虫なので、映画でもテレビ番組でも何でもかんでもよく泣く。というわけで、北京五輪もとにかく泣いた。 誰かがメダルを獲っちゃ泣き、獲らなきゃ泣き、という具合で、つまり常時泣きまくりだ。五輪そのものについては複雑な思いや考えがあるけれど、スポーツという行為自体は本当に素晴らしいと思う。 報道の仕方など「感動ポルノ」などと揶揄されることも多々ある。安っぽい、という意味合いで使われる言葉だが、メディアの端っこにいる人間としては、「おいおい」と思う。人を感動させる

    • 人への興味

      インタビュー仕事の現場には、話の聞き手である僕のほかに何人か同席することがある。たいていは静かに話を聞き、相槌を打っている。 でもたまに、「あのう、ちょっと伺いたいんですけど……」と、遠慮がちに会話に割って入ってくることがある。その瞬間が、僕は大好きだ。 なんてことを言うと、たいてい驚かれる。「邪魔された」と腹を立てるインタビュアーは少なくないそうなのだ。僕はまったく逆だ。邪魔だと感じることはほとんどないし、むしろ、同じ部屋の中にいて人と面と向かっているのに、聞きたいこと

      • 大人になったノリック

         日本グランプリは、阿部典史のためにある。'94年には、鈴鹿サーキットで劇的なGPデビューを果たした。そして歓喜の涙でぐしゃぐしゃになった'96年の優勝。ファンも、そして阿部自身も、あのレースの再現に期待しているのだ。……もっともそれは、阿部がまだあの1勝しか挙げていないことを際立たせるのだが。  '98年の日本グランプリは、阿部(Yamaha Team Rainey)にとって散々なレースになってしまった。決勝12周目、テールを振られた岡田忠之(Repsol Honda)の

        • noteがあった

          何かを書き留めておきたいと思った時に、ブログはなかなかいい存在だ。まったく人に見せない覚え書きにiPhoneのメモアプリを使っているが、やはり緊張感がなく、とりとめもない。このnoteにしても多くの人の目に触れるわけじゃないけれど、一応は公の場だ。いすみの田舎でもパジャマで出歩くことはなく、最低でもジャージぐらいは身につける。その程度の緊張感──文章として最低限の身だしなみは調えてもいい。 NIFTYにもブログを持っているけど、たまにはフォーマットを変えたくなる。刺激が欲し

        二輪レースを感動ポルノに

          「人体の衝撃耐性」と「バイクに乗ること」

           交通事故関連の学術論文をいくつか拾い読みしていて知ったのだが、どうやら「55歳を過ぎると人体の衝撃耐性はひときわ低下する」というのが定説らしい。交通事故によって同じような外傷を負っても、55歳未満より55歳以上の方が重篤化しやすい、というのだ。 「年齢を重ねるにつれて、人体は衝撃に弱くなる」とは、いかにも想像しやすい話だ。年を取れば外郭である筋力が落ちていき、柱である骨が脆くなるのだから、当たり前といえば当たり前、自然の摂理というものだ。しかし、自分の体に当てはめると、な

          「人体の衝撃耐性」と「バイクに乗ること」

          世界王者・原田哲也の伝染力

          (BGM:中盤「地上の星」、後半「ヘッドライト・テールライト」by 中島みゆき) その日、世界チャンピオンの原田哲也さんは、いかにも具合が悪そうだった。風邪だった。 取材が進むにつれて、顔色が悪くなっていく。でも、その日の仕事はインプレッションだった。サーキットで、多数のバイクを走らせる。風邪引きの身には、楽な仕事ではなかった。 「大丈夫ですか?」 気遣う、スタッフ。 「全然平気だよ」 原田さんは、そう繰り返した。 具合の悪さを感じさせない、力走

          世界王者・原田哲也の伝染力