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博士がゆく 第28話「はじめての学会発表-いそいで実験編①」

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それでは本編をどうぞ。
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1時間の反応時間を待っている間に近くのコンビニに夜ご飯を買いに行く。おにぎりとおかずになりそうなものを適当にあさり、レジに並ぶ。ひとつ前の客が会計を済ませている間、チキンの香りに負けて1つホットスナックを購入することを決めた。いつものことだ。仕方がない。

会計を終えてコンビニを出ると、同期の学生に遭遇した。久しぶりの再会で会話がはずむ。実験はうまくいっているのか?どんな研究をしているのか?そんなちょっとした会話をしたのちに、彼をコンビニへと行かせてやる。オレも実験しなくちゃいけないしな。時計を確認すると、すでに3時間が経っていた。

急いで時計を確認する。反応が終わるまでまだ10分あった。最悪の夢で仮眠から目覚めた博士(ひろし)は寝過ごさなかったことに安心して、痛いくらいに鼓動する心臓を落ち着けるために深呼吸をした。寝過ごしたくないときは大抵、時間に遅れる夢を見る。博士はこれが自分だけに起きることなのかどうかが気になったが、そんなことよりも実験を進めなければならない。

2ヶ月前に学会への要旨を無事に提出することができた博士は、指導教員と相談したうえで、学会までの4ヶ月の間にもう1つ実験データを出すことを決めた。だが実験はうまくいかず、あっという間に学会発表までの半分の期間を消費してしまった。最後の1ヶ月はスライド作成に集中したいから、あと1ヶ月しか残されていない。

「とれなかったらどうするべきか…」

一瞬研究者として絶対にやってはいけないことを想像する。データの誤植。ポジティブコントロールとネガティブコントロールをちょうどいい塩梅で混ぜれば、サンプルの結果に見えるだろう。これまでさんざん実験に失敗してきたため、コントロールの扱いには自信がある。

そんなことを真剣に考えながら実験をしていると、実験棚から久しぶりにアイツがのぞいていた。

(つづく)

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