見出し画像

博士がゆく 18話「寒いと実験がうまくいかない②」

↑↑↑↑↑↑↑↑
本文を読む前にフォローしてください!
博士(ひろし)の研究室ライフを平日午後6時に毎日更新中です!
フォローすればTLに「博士がゆく」が表示されるので最新情報を見逃さずに済みます💪
なので(2回目ですが)フォローよろしくお願いします!
それでは本編をどうぞ。
↓↓↓↓↓↓↓↓

前回のつづきから)

年末に実家に帰るまではうまくいっていたのに、新年が明けてこちらに戻ってきてから全然うまくいかなくなってしまった。実家にいたのは2週間ほど。変わったことといえば体重が5キロ増えたことだが、おそらく実験には関係がないだろう。あったら困る。

研究室では学生個人に実験スペースは与えられておらず、複数の学生でスペースをシェアすることになっている。そのため神経質な博士(ひろし)は(研究室に入るまではこんなことは気にしていなかったが)、Pipetman、チップ、チップ捨て、油性ペン、マイクロチューブ、そしてプロトコルの位置を自分用に調整しなおしてから実験を始める。

今日もプロトコルを1から順に追っていく。反応液を調整してインキュベーターに入れる。設定温度は適温だ。ドン・キホーテで購入したタイマーをセットして反応時間をより正確に測る。

反応時間の間に、やってきた同期の学生と二言三言交わして雨が降り始めたことを知る。早く家を出て少し得をしたな。そんなことを考えているとタイマーが反応時間の終わりを告げた。

反応後のチューブを氷の上に放置する。反応がこれ以上進まないように、かつ反応後のタンパク質が分解されないようにするためだ。続いてSDS-PAGEの準備をしていく。ポリアクリルアミドゲルは先日まとめて作っておいたから、冷蔵庫から出して器具に設置するだけだ。

この間にヒートブロックを105℃に設定しておくのを忘れてはいけない。タンパク質をSDSと混ぜて煮沸することでタンパク質の3次構造がほどける。3次構造をほどくことでアミノ酸配列の長さ、つまり分子量ごとにタンパク質を分画できるようになる。

加えて、SDSはタンパク質を負に荷電させるから電気を流すことで負から正方向に移動してくれる。これがSDS-PAGEの基本だ。博士は半年前に教科書から学んだことを頭で復習する。

ヒートブロックが設定温度に達したことを温度計で確認してから自分で作成した反応液とSDS-PAGE用のバッファーを混合する。

このバッファーは魚の腐ったにおいがする。

だが嫌いじゃない。

紫色のバッファーを自分の反応液と混ぜ、軽く振ったのちにヒートブロックにセットして3分間煮沸する。この間にできることは特にない。丸椅子でくるくる回っていればいいだろう。そうしているとタイマーが3分経過したことを知らせる。再度軽く振って10microLをゲルにアプライする。マーカーも忘れずにとなりにアプライした。

パワーサプライを20mAにセットして60分ほど電気泳動を行う。この間に使った試薬やプラスチックを片付けておく。共用の実験スペースは、使い終わったら片付けておくのがマナーだ。などとまじめな学生を気取ってみるが、研究室に配属されたばかりのころはどうでもよかった。博士が実験スペースをキレイにするようになったのは実験が楽しくなってからだ。

(つづく)

「博士がゆく」を読んでの感想や細胞くんに解決してほしいお悩みは質問箱へ!

あなたの悩みが「博士がゆく」に掲載されるかも…?


いただいたサポートは、博士へのより正しい理解を広めるための活動資金として使わせていただきます。