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博士がゆく 第35話「はじめての学会発表-スライド作成編③」

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前回のつづきから)

「ちょうどオレもスライド作成を始めたところだ。ちょっと見てくれないか?」

「もちろんさ」

博士(ひろし)は簡単にそれぞれのスライドを説明しながら早送りで全部のスライドを細胞くんに見せていく。他人(?)にスライドを見てもらうのは何回やっても緊張する。一通りスライドを見せおわると細胞くんが口を開いた。

「いいんじゃないかな。ちゃんとメッセージにも着目できているし、悪くないと思うよ。でも少しスライド枚数が多い印象があったね。何枚だい?」

「悪くない」という言葉に一瞬安堵したが、それもつかの間。スライドの枚数をラップトップ上で確認する。

「20枚だな」

「発表時間は何分だっけ?」

「10分だな」

「それはちょっと多いね。大体1分に1枚がベストだよ。今回の場合はスライド10枚前後がベストかな」

「そうなのか。それぞれのスライドの情報が少ないからいけると思ったんだけどな…」

「情報が少ないスライドがあまりに多いのも考えものだね。画面がパパッと変わっていくと実験データが聴衆の印象に残らないんだ。講義でも、画面の入れかわりが早い先生の授業についていくのは大変でしょ?逆に1枚のスライドで長々と話す先生の授業はツマらないんだ」

「…そうかもしれないな」

そうは言いつつも、博士は講義の内容や風景についてなにも思い出すことはできなかった。ほとんど印象に残っていない。

「だからそれぞれのスライドに、1分間費やせる程度の情報を入れておくのがベストなんだよ。ひろし君のスライドの場合は実験データが多すぎるから、メッセージごとに実験データを振り分けてみよう。そうすればどの実験データを1枚のスライドにまとめられるかわかるハズだ」

博士がさっそく取りかかろうとすると、細胞くんが続ける。

(つづく)

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