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小学生の時に、最も影響を受けた作品はリック・ライアダン先生の「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」シリーズだ。ギリシャ神話に出てくる神々はまだ生きていて、現代を生きる神々の血を引く英雄が、冒険や激闘を繰り広げ、世界を救うファンタジーだ。初めてといっていいくらい小説に没頭した。図書館にはなく、母親にねだって天神のジュンク堂で全巻買ってもらった。何回も読んだ。

小学5年生だったか6年生だったか。とある授業で、小説を書いてみようという授業があった。お馴染みの作文用紙が配られ、各々それに物語を書き記し、最後は画用紙で挟んで、世界に一冊だけの自分の本を作るといった内容だった。私が書いた内容は、この「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」シリーズの主人公であるパーシーを日本の学校に転校させて、水泳を通して、友情を育むといったものであった。原作では、パーシーはポセイドンと人間の間にできた子供で、水を司る能力を有している。よって、本作では水泳が超速いという設定。タイトルにして「マイフレンド」。ベタにも程がある。ただ、純粋という意味では人生最高傑作に違いない。

中学生の時に出会った、クリストファー・パオリーニ先生の「ドラゴンライダー」シリーズはまさに最高である。15歳の少年エラゴンとドラゴンの出会いが彼らの人生と世界を変えていくファンタジーだ。これが今でも私にとってのファンタジーの王道にして頂点である。家族、欲望、力、絆、別れなど森羅万象が絡み合い、物語は進んでいく。ハリーポッターやナルニア国物語を超える熱量で毎日できる限りの時間を投げ打って読み耽った。
 読了後、物語に登場する彼らと共に、壮大な人生を過ごした錯覚に陥ってしまい、数ヶ月は自分の人生が借物であるかのように感じながら生きていた。

同じく中学時代で、少し毛色は変わるが、司馬遼太郎先生の「竜馬がゆく」も歴史小説でありながら、私にとってはファンタジーであった。フィクションと知っていながらも、教科書に出てくる坂本龍馬やその他の幕末の偉人に対してのイメージとして刷り込まれてしまった。
 ここで「歴史」という「今」を形成してきた膨大な無数の時間に気づき、圧倒され、強く興味を持った。同時に自分の死に対して恐怖したことを覚えている。竜馬ほどの人物でも33歳にして世を去る。

これらが影響してか、高校では日本史よりも世界史をメインに勉強した。件の流れを見ると、日本史に更なる興味を抱きそうではあるが、「今」を知りたいならそうではないと思っていた。竜馬たちの人生も黒船来航、つまり世界史としての時間軸で左右されていったのだから。当時、教師たちによる世界史の方が難しいという謎の圧力があったせいか、世界史選択者が20人くらいの少数精鋭で、学年の個性的な人たち選抜みたいになったのは余談である。
 世界史を勉強すると、全世界の各地域でそれぞれの歴史があり、その全てが影響しあって、徐々に今の世界が形成されていく様が、紐解かれていって面白かった。おかげで、今起きてる社会問題や世界情勢に対して基礎的な知識が備わったため、ニュースに対して前向きになった。

私は少年期、青年期をファンタジーと共に歩んできたみたいだ。あの時入り込んだファンタジーの世界で抱いた希望やワクワクは次第に遠い感情となってしまった。現実を見て立ち止まるな。本質を見抜いて常識を疑え。今まで私の物語の中で出会った誰かに言われた気がする。せっかく書店で思い出の本を見かけて思い出せたのだから、忘れないためにメモとしてここに記しておこう。ここからはファンタジーと繋げてみせる。21歳にもなってこんなことを言えるなんて。




あとがき

表紙の写真は大分県湯布院市の金鱗湖です。12月3日の早朝にスマホで撮影しました。めっちゃファンタジーじゃないですか???「金鱗湖」という名前も相まってとても幻想的でした。ドラゴンいるでしょここ。

書店で児童書のコーナーの前を通った時に、たまたまドラゴンライダーシリーズの第一作目である「エラゴン」を見かけて、小中学生の頃の想い出がたくさん蘇ってきました。あの頃は自分のことをこの世界の主人公に見立てて考えていました。世間一般的に言えば厨二病です。でも思えば大事な感情だったし、別に今でも間違っていないと思います。変に正論や、一般常識、世論にとらわれずに、もう少し面白くなろうよって思います。非現実的な空気感で良いです。繋がっていくと思いますから。


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