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半生と反省⑦

ー凸凹ー

この頃にはある程度、心に余裕が持てるようになっていたので入学して直ぐにクラスの全員と打ち解ける事が出来た。

嫌いな同級生は居なかった気がする。私は人見知りはしないので、相手が明るかろうが暗かろうが誰とでも仲良くなってしまう。反面、長い事付き合うのが難しい、疲れてしまうのだ。

Tは入学早々に停学になった。同じクラスの男をロケットのように床に叩きつけてしばらく学校に来なくなった。あれだけ私に「一緒に高校楽しもう」と言っておきながら勝手な奴だ。

Tはなんでもパワーで解決させようとする。

私も人の事は言えない、三年生の男の子に殴られた同級生の仕返しをするためにわざわざコンポスターから大量の蛆虫を捕まえて口一杯に食わせてやった。

あれだけ威勢のいい歳上の男の子も泣きながら「やめて下さい」と叫ぶのだなと思った。最初から後輩をいじめて楽しまなければこんなことにならなかったのに。

なんて思いながら無理矢理食べさせると、直ぐにバレて私も停学になった。理由を話すと三年生の先輩も暴力を振るった事実で停学になり、同級生からは感謝された。

今思えば無茶苦茶だと思う。わざわざ私が復讐する必要は無かった筈だ、余計なお世話だったと思う。

学校に母親が呼ばれ、その日は帰って顔面蒼白になり寝込んでしまった。理由を話しても

「なんでそんなことをしたの」

と私のやり方が間違っていると散々に言われた。この頃には自分でもわかっていたのだ、こうなる事も。それがダメな事も。わかってやったのだ。

ただ調子に乗っているという理不尽な理由で同級生が殴られているという事が許せなかっただけだ。

私の通った高校では停学になると反省する為に坊主頭にしなければ学校に出れないという暗黙のルールがあった。勿論男だけ。ここにも納得がいかなかった、余り言うと差別主義者みたいになりそうだから書かないでおく。

Tが坊主頭になっていたので私も生まれて初めて坊主にした。

似合わなくて笑ってしまった

それから数ヶ月、自宅で大量の課題と反省文。毎日毎日別の教師が訪問して確認する。

停学が解け、私が学校へ行くと三年生も二年生も萎縮してしまっていた。一年生に手を出す人間はいなくなった、とても過ごしやすい環境になって満足した、これで高校生活を満喫出来ると思った。

やり過ぎなくらいやっておかなければ、弱い人間は傷付けられてしまう。それが昔からよくわかっていたので、不本意ながらそうしてしまう16歳の子供だ。

Tは日頃から私のことを頭がおかしくて好きだと言っていたが、Tも頭がおかしい、だから好きだった。

この頃、高校に進学しなかった友達や高校を辞めてしまった友達のほとんどが、自分のバイクを持っていた。

原付、二半のアメリカンやネーキやビクスク(世代や地域によって呼び方が違うのか気になる)

それを見ていると羨ましくなってしまう。

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