鵜飼文化の守り方って?お菓子屋さんのやり方のお話
こんにちは。「東海ヒトシゴト図鑑」編集チームの青木と申します。
今回は、「東海ヒトシゴト図鑑」で「企業図鑑」の執筆を担当させていただいている私が、ページに入りきらなかったお話の一部を、個人的な感想も交えながらつづるシリーズの第2弾。
今回取り上げるのは「長良園株式会社」です。
突然ですが、皆さんは長良川鵜飼を見たことがありますか?
1300年の歴史を持つ長良川鵜飼。清流・長良川を舞台に、昔から変わらない篝火の光のもと、鵜と鵜匠が一体となって、舟で川を下りながら魚を捕る漁法です。現代では岐阜県岐阜市と関市の2カ所で行われていて、岐阜を代表する伝統技術の一つです。
長良園では、この鵜飼をモチーフとした「鵜飼せんべい」を販売しています。
戦後、創業者が大阪の奉公先からふるさとの岐阜に戻ってきて、1300年の歴史がある鵜飼の文化をお菓子として形にしました。
私自身、岐阜に帰省した際に、駅のお土産売り場でいつも見かけていて、家族に買って帰ったこともあります。長年支持される岐阜銘菓の一つです。
鵜飼に原点を持つ長良園。鵜飼が行われるためには、長良川が鮎などの生息する、きれいな川である必要があります。そのため、以前からサステナビリティや地域とのつながりなどを大切に考えてきたといいます。
近年、ミッション・ビジョン・バリュー等の整理などリブランディングを進める中でも、こうした意識が今につながっていると再確認されたそうです。
長良園では今、その意識をお菓子以外の形でも表現しています。
例えば、「長良園 やさしさの森」。岐阜県および岐阜市と協定を結び、岐阜市安食の森の一部を、下草刈りや遊歩道の整備、鳥の巣箱の設置などを行って管理しています。
他にも、岐阜市が長良川上流域の自治体にある森林の整備に携わる「たずさえの森」事業に、売り上げの一部を寄付しています。
こうした活動によって、お菓子メーカーでは現在のところ唯一、「世界農業遺産「清流長良川の鮎」プレーヤーズ」の一員として登録されてもいます。
実は私は、10年以上前から長良川鵜飼の魅力にはまっていて、個人的に、長良川鵜飼の魅力発信のお手伝いもさせていただいています。
その中で、鵜飼に直接関わる方々や、道具づくりなど間接的に関わる方々、そして公的機関や市民などの活動については見聞きしてきましたが、地域企業の中にもこのように鵜飼やそれが行われる環境を大切に思い、行動しているところがあるとは正直なところ知りませんでした。今回の取材で長良園の取り組みを知り、鵜飼好きの一人として、とてもうれしくなりました。
企業が取り組むことで、公的機関などによる広報だけでは届かない方々にも、地域の文化を大切に思う気持ちが広がっていくのではないかと思います。
そして、長良園がお土産菓子とは違う分野のお菓子に取り組んでいることも、鵜飼せんべいのイメージを強く持っていた私にとっては驚きでした。
どんな分野なのか、ぜひ「企業図鑑」のページで確かめてみてください。
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