外食企業同士の交流会で考えた、業界の「今」と「未来」
こんにちは。モバイルオーダーサービス「ぐるなびFineOrder」の企画運営を行う株式会社ぐるなび オーダー事業推進部 営業企画担当の吉川です。
今回は、去る2023年7月20日にオーダー事業推進部が主催となり開催しました外食業界の未来を共に考える「外食企業交流会2023」についてご紹介します。
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外食企業交流会は、外食企業の皆さまに参集いただき、参加企業間での人材交流や情報共有をサポートすることで、同業他社の付加価値の高い情報を入手できる環境を提供することを目的としています。2022年に初めて開催した際にご参加いただいた皆さまから寄せられた「ぜひ来年も!」という声にお応えする形で今年も開催することとなり、25社45名にご参加いただきました。
「外食企業交流会2023」では、多種多様な職種の方々にご参加いただく運びとなったことを踏まえ、参加者ご自身の業務領域に関連する課題や事例について意見交換いただけるよう、「DX推進」「マーケティング・販促」「人材戦略」の3つをテーマとした分科会で構成しました。
それでは、分科会の様子を振り返りながら、議論によって導かれた「今、外食企業が考えるべきこと」についてお伝えしたいと思います。
DX推進
「DX推進」の分科会は、情報システム部など各社が取り組むDX推進に携わる方々にお集まりいただき、以下3点について議論いただきました。
一口に「DX推進」と言っても多様な観点があるところ、本分科会ではとりわけ“飲食店における省人化”に関する意見交換が活発に行われました。
ぐるなびが提供するモバイルオーダーサービス「ぐるなびFineOrder」のほか、テーブルトップオーダーのような注文業務をサポートするツールに加え、配膳ロボットや調理ロボットなど、飲食店業務の省人化に役立つDXツールを効果的に活用することは大切。一方で、「飲食店が元来持つ魅力である“活気”や“人気(ひとけ)”、“賑わい”が、DXツールの導入によって失われることを防がなければいけない」というのが参加者の総意でした。
そこで語られたのが、「人がすべきこと」と「機械ができること」を明確に定義することの重要性でした。
具体的には、活気や賑わいを失わないための「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」といった挨拶の徹底、あるいは注文業務を機械に任せる分、配膳の際のより丁寧な商品説明の実施など、DXツールによって削減できた時間を如何に有効活用し、来店客の満足度向上につなげるかをセットで考える必要性が共有されました。
どんなに優れたツールでも、100%飲食店スタッフの代替になることはないでしょう。
例えば、配膳ロボットはスタッフによる指示がなければ思い通りには動かず、臨機応変に対応することはまだまだ難しい状況です。またモバイルオーダーやテーブルトップオーダーといったデジタルサービスを難なく使いこなせる世代もいれば、操作に不慣れな世代がいるのが実情です。
なかには、「どのようなDXツールも、導入していきなり浸透することは難しく、ある程度使いこなせる状態となってはじめて“これはすごく便利なものだ”と理解され、利用が広がる。」という意見もありました。
こうした外食企業の皆さまの意見を踏まえ、“飲食店DXのベストパートナー”を目指すぐるなびとしては、単にツールを提供するのではなく、飲食店・消費者双方に寄り添い、ツール導入から店舗における最適な運用を支援し、来店客の楽しさや利便性の向上につなげるサポート体制の大切さを再認識しました。
飲食店の皆さまと共に、DXツールの力と人の力を組み合わせベストな飲食店経営のカタチを追求する決意を新たにした次第です。
マーケティング・販促
続いて、営業やマーケティングに携わる方々にお集まりいただいた「マーケティング・販促」の分科会についてご紹介します。
トピックスは、以下3点です。
現状の取り組みについては、「従来は自社の方針を重視した、いわゆるプロダクトアウトの手法で取り組んできたが、近年はマーケティング観点を重んじるようになった。」「アパレル企業などとコラボした商品を打ち出すことで顧客接点を増やし、顧客体験の向上やメディア露出の拡大に取り組んでいる。」など参加企業ごとによってさまざまな様子でした。
飲食店にとって“マーケティング・販促”とは、一言で言うと「消費者の来店意欲を高め、お店の売上アップにつなげる活動」となりますが、大きくは以下3つのとおりお客様のフェーズごとに合わせた取り組みが必要となります。
①初回来店のきっかけづくり
②リピート来店促進(1度の来店で終わらせず次につなげる)
③リピーターの来店頻度を上げる(常連客化)
②以降のリピート促進に関しては、お客様の来店データをいかに活用するかが非常に重要であるところ、長く多くの飲食店では予約台帳やメニュー伝票にレシートなど紙ベースでは大量の喫食情報などのデータがあるものの、それが顧客の属性ときちんと結びついた状態で蓄積できていないため、「誰が」「何を」好むのか?いつ「注文」したか?といった顧客把握は現場感覚に頼らざるを得ないものでした。
しかし、昨今消費者の飲食店予約行動においてネット予約サービスが浸透したことにより、顧客情報をオンラインで蓄積することが可能となっていることに加え、足元においてモバイルオーダーサービスが広がりを見せていることから、「顧客の属性データ」と「喫食データ」を容易に掛け合わせることが可能になってきています。こうした変化を踏まえ、参加者からは「お客様への情報発信の方法も変えていかなければならない。」との意見があがりました。
具体的には、「メールマガジンやLINEなどを用いて顧客全体に一斉に情報配信する」という従来のスタイルから、「●カ月前に来店したお客様」や「ビールをよく注文されるお客様」といった細かなセグメント分類のうえ、「それぞれのお客様に最適な情報配信」を行うことで、販促効果をより一層高めることが重要ということです。
前述のお客様のフェーズや好み、来店目的などごとに「どのような手段でアプローチをするのか(HOW)」、「何を提案するのか(WHAT)」。今後の飲食店の収益力向上は、DXを推進すると同時にDXツールが集積するデータを駆使したより効率的かつ効果的な“マーケティング・販促”を行えるかどうかに大きく左右されると考えます。
人材戦略
最後に、経営や人材育成に携わる方々にお集まりいただいた「人材戦略」の分科会についてご報告します。
上記2つに焦点をあてた意見交換を進める中、「離職率を見越して大量に採用する以前のやり方は通用しない」、「経営者として考える教育と店舗運営の現場における教育では違いがある」といった問題提起がなされるなど、今後さらなる深刻化が懸念される人手不足を踏まえた活発な議論が繰り広げられました。
本分科会のテーマである「人材戦略」をフェーズに分けると以下の3つになります。
①採用をする
②長く働いてもらえるように育成・教育をする
③最終的には経営陣を育成する
特に②③に注力している企業様が多くおられる中、「入社前後のギャップを減らす」ことを目的に、内定が決まった次年度の新卒新入社員と相性が合いそうな店長を検討し、任意でアルバイトスタッフとして店舗運営に参加してもらうほか、入社前に面談を行うといった取り組みが紹介されました。
その他、別の企業様からは、日報の内容や定期的に実施するアンケートの結果から、離職可能性の見込まれる人物を見定め、早期にケアし問題の温床を取り除くべく匿名性を担保した面談を行うことで、離職抑制を図っているといった事例が報告されました。
③においては、「女性の幹部登用」に関する議論がとりわけ白熱。
「ロールモデルがまだまだ少ないため、働く女性側も目指すキャリアが“店長”に留まっているのではないか?」「経営陣から、幹部を目指す女性人材を求めていることをより強力に発信すべき」といった意見が飛び交うなど、業界全体の意識改革が必要との認識が確認されたことが非常に印象的でした。
さらに、①②③のフェーズごとに取り組むべき施策は異なれど、「外食産業で働くことの楽しさ」を絶えず発信することが重要であり、将来自身の店を持つなどの可能性を示し続け外食産業での就業モチベーションを高めることが、離職率の低下はもちろんのこと、新たな“飲食店で働きたい”を生み出すこととなり、就業人数の増加につながるといった業界全体の未来を捉えた意見も聞かれました。
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