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仮面舞踏会

大学に入って飲み会というものに参加する機会が増えたが、飲み会は私にとってただの親睦を深める会ではなく仮面舞踏会だと思っている。
みんな仮面の下に本当の目的を隠してバレないように笑い合うのだ。

「はい!じゃあね今日は新入生も入ってくれたということで学年を問わず交流しましょ~」

そう言って仮面舞踏会の始まりを告げた幹事Y(大学3年男・最近サウナにハマっているらしい)。
幹事Yは新入生の入部を歓迎していると思いきや、あわよくば後輩女子と付き合えたらいいなと思いながら参加している。

そんなYの隣を疾風の如く押さえにいった裏垢女子S(大学2年女・インスタのストーリーは真っ暗背景に極小サイズで悩み書きがち)。
裏垢女子Sの戦法は可愛い後輩女子ポジで落とせそうな先輩男子の所へ行き、ネタになりそうな言質を取る。

「私はただ仲良くなりたいだけなのにみんなすぐ女として見てくる…今度サシでご飯行こうって言われたけどなんで2人でなのかな…」

これで裏垢投稿完了。
「ご飯行こう」というよくある社交辞令をいかに自分のモテ自慢に繋げられるか。これが裏垢女子業界ではカギとなる。

そして長テーブルの端でヘッドフォンを外さずに足でリズムを取りながら緑茶ハイを永遠に飲み続ける男J(留年のプロで実質大学7年目男・座右の銘は「天才は努力する者に勝てず、努力する者は楽しむ者に勝てない」らしい)。
誰も話しかけないのに参加率100%でみんな謎に思っているが、私が思うにJはそういうミステリアスな自分に浸りたいのだと思う。
だから私も今後話しかけるつもりはない。バイバイ。

「私まだ酔うって感覚が分からないんですよ~えへへ」
「えっ、もう酔ってるって?そんなことないです~」
「も~いじらないでください~」

開始10分で仕掛ける自称天然新入生F(大学1年女・もし明日世界が終わるなら、ふかふかホットケーキを焼いて食べるらしい)。
私の経験上自分から「○○が分からない」「天然ってよく言われる」と申告してくるやつは天然であろうとする策略家である。
ガチで天然な人は自分から申告しなくとも天然さが溢れ出ているし、本人は天然ではないと思い込んでいることが多い。

そしてこんな風に人間観察を永遠にしている私。

この他にも何十人と参加者がいるが、きっとみんな仮面の下に本当の目的をグッと押し込んで参加しているのだろう。

これだから人間観察はやめられない。
そして仮面舞踏会は終わることなく永遠に続く。

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